AI倫理・ガバナンス


マネジメント・アプローチ

基本的な考え方

責任あるAI開発・利用の考え方

AIは、製品・サービスの高度化、業務効率化、品質向上、ものづくりプロセスの最適化など、社会や産業のさまざまな領域で活用が拡大しています。近年では、生成AIをはじめとするAI技術の進展により、研究開発や一部の専門領域にとどまらず、企業活動や日常生活にも浸透しています。
一方で、AIの不適切な開発・利用により、人権やプライバシーの侵害、不当な差別やバイアスの助長、説明責任の不足、誤情報の生成、自律化した製品・システムの安全性への懸念など、倫理的・社会的な課題も顕在化しています。こうした状況を受けて、各国・地域ではAIの開発・利用に関する法規制やガイドラインの整備が進んでいます。
川崎重工グループは、世界の人々の豊かな生活と地球環境の未来に貢献することをグループミッションとして掲げています。さらに、グループビジョン2030「つぎの社会へ、信頼のこたえを~Trustworthy Solutions for the Future~」を掲げ、社会課題へのソリューションの提供に取り組んでいます。当社グループでは、黎明期よりAI技術の研究開発に取り組み、製品性能・品質の向上、ものづくりプロセスの最適化など、事業活動における技術課題の解決にAIを活用してきました。
AIの活用領域が、製品・サービスへの実装、業務効率化、品質向上、安全性向上などへと広がるなか、当社グループは、AIの活用が社会や事業活動にもたらす価値とリスクの双方を十分に認識し、人権、プライバシー、安全性、公平性、説明可能性、環境負荷などに配慮しながら、責任あるAIの開発・利用を推進していきます。

川崎重工グループにおけるAI開発・利用の変遷
当社のAIに絡む製品

川崎重工グループAI倫理方針

川崎重工グループは、AIを活用した革新的なソリューションの提供を通じて社会課題の解決に貢献していく一方で、AIが社会・人権・安全・環境に与える影響を十分に認識し、AIの開発・利用において倫理的配慮を組み込むことが重要であると考えています。
こうした考え方に基づき、当社グループは、責任あるAIの開発・利用を推進するために遵守すべき事項を明確化した「川崎重工グループAI倫理方針」を取締役会の承認を経て定めました。本方針では、人間中心のAI活用、安全性・堅牢性・セキュリティの確保、法令等の遵守、透明性の追求、多様性・公平性の尊重、イノベーションの促進と持続可能な社会の実現、AIに関する従業員への教育を基本方針として掲げています。

AI開発・利用に関するガイドライン

当社グループでは、「川崎重工グループAI倫理方針」に基づき、AIの開発・利用における具体的な留意事項や管理プロセスを定めた社内ガイドラインを整備しています。AIシステムの企画・開発・導入・運用におけるリスク管理を定めた「AIシステム開発に関するガイドライン」、および生成AIの適切な利用を支援する「生成系AIの利用に関するガイドライン」により、「川崎重工グループAI倫理方針」を各部門の実務に展開し、責任あるAIの開発・利用を推進しています。

AI倫理・管理体制

川崎重工グループでは、AIの開発・利用に関するガバナンスを強化するため、DX戦略担当役員を最高責任者とし、AI管理を統括する担当執行役員のもと、AI管理統括部門が中心となって全社的な取り組みを進めています。
AI管理統括部門は、「川崎重工グループAI倫理方針」および「AIシステム開発に関するガイドライン」「生成系AIの利用に関するガイドライン」に基づき、各部門におけるAIの適切な開発・利用を支援しています。また、AIの開発・利用に関する相談窓口をAI管理統括部門に設け、必要に応じて関係部門と連携しながら、リスクの確認や対応方針の検討を行っています。
AIの開発・利用に伴うリスクや対応状況については、必要に応じて経営会議や取締役会に報告する体制を整備しています。

AIガバナンス推進体制
AIガバナンス推進体制

責任者

DX戦略担当役員(CIO): 代表取締役副社長執行役員 中谷 浩
AI管理統括執行役員: DX戦略本部長 執行役員 占部 博信

責任機関・委員会

取締役会・経営会議


責任あるAI開発・利用におけるリスク管理

川崎重工グループではAIに関するリスクを適切に管理するため、上記のガバナンス体制のもと、「AIシステム開発に関するガイドライン」および「生成系AIの利用に関するガイドライン」に基づき、企画・開発・導入・運用・改善の各段階でリスク確認を行っています。具体的には、利用目的、利用範囲、影響を受ける可能性のある関係者、社会・人権・プライバシー・安全性・公平性等への影響を確認し、その結果を踏まえ、リスクの特性や影響度に応じた管理策を講じています。

高リスクAI機能・機密性の高いデータへのアクセス制限

顔認識、監視その他の個人の権利や利益に大きな影響を与える可能性のあるAI機能、および機密性の高いデータを扱うAIシステムについては、利用目的や影響範囲を確認した上で、必要に応じて利用範囲の限定、アクセス管理・利用制限、設計方針の見直し、代替手段の検討などを行っています。また、AI開発・利用に用いるデータについても、利用目的に応じてアクセス管理・利用制限を行い、適切な取り扱いを行っています。

公平性・バイアス評価

AIの開発・利用にあたっては、学習データ、出力結果、利用場面において不当な偏りや差別的影響が生じないよう確認しています。特に人権や個人の権利利益に影響を及ぼす可能性があるAIについては、定期的または必要に応じて公平性やバイアスに関する評価を実施しています。

透明性・説明可能性の確保

AIによって生成されたコンテンツや、AIによる判断・推奨・評価結果を利用者や関係者に提示する場合には、必要に応じてAIの関与を明確に表示し、誤認を防ぐよう努めています。また、AIの利用目的、判断結果の位置づけ、利用上の留意点について、関係者が理解できるよう説明可能性の確保に取り組んでいます。
また、AIの利用状況や判断過程に関する情報について、必要に応じて記録・確認できるよう管理しています。

運用後のモニタリング・是正措置

運用開始後も、AIシステムの利用状況、出力結果、精度、想定した利用環境からの変化などを継続的に確認し、モデルの精度低下やデータ・利用環境の変化に伴う判断傾向の変化、想定外の出力傾向、バイアス、人の生命・身体の安全、環境、その他のリスクの兆候把握に努めています。これらのリスクが確認された場合には、必要に応じて人による確認・判断を行い、利用条件の見直し、追加検証、設定変更、再学習、利用停止等の是正措置を講じています。
これらのリスク管理・審査プロセスについては、AI技術、法規制、社会的要請、社内外の利用状況の変化を踏まえ、必要に応じて見直しを行い、関連ガイドラインや研修内容、運用プロセスの改善につなげています。

異議申し立てプロセス

AIによる判断・推奨・評価の結果により利用者または第三者に影響が生じる場合には、既存の問い合わせ、相談、苦情受付等のプロセスを通じて、必要に応じて内容確認、説明、見直し等を行う体制を整備しています。

環境負荷低減

AIの開発・利用に伴う電力使用量や計算資源の増加を、環境面における重要な影響の1つとして認識し、効率的なAI利用、適切なモデル選定、クラウドサービス・サプライヤーとの連携を通じて、AIシステムの運用や学習に伴う環境負荷の低減に努めています。

AIの開発・利用に関する教育・啓発

当社グループでは、AIの適切な利用に関するeラーニング研修を定期的に実施しています。従業員に対し、情報セキュリティ、知的財産、人権、プライバシー等の留意点を周知し、責任あるAI利用の定着を図っています。


新たな価値を創造する取り組み

川崎重工グループはグループビジョン2030「つぎの社会へ、信頼のこたえを」の実現に向けて、社会課題の解決に貢献する新たな価値の創造に取り組んでいます。AIをはじめとする先進技術を適切に活用し、安全・安心で持続可能な社会の実現につながる製品・サービスの提供を推進しています。

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