環境マネジメント


川崎重工グループ環境基本方針

川崎重工グループでは、2024年6月、従来の「環境憲章」を廃止して新たに「川崎重工グループ環境基本方針」を制定しました。これまでは、1999年に制定した「環境憲章」(2010年改定)の中で、グループが共有すべき価値観、環境経営活動の原則ならびに従業員一人ひとりの日々の行動に求められる指針を定め、環境経営活動を推進してきましたが、環境経営に対する社会からの要請の変化を踏まえて内容を大幅に見直すこととしたものです。
新たな環境基本方針の下、カーボンニュートラルの実現、エネルギー消費量の削減、資源循環、生物多様性の尊重などの環境課題に対し、バリューチェーン全体で取り組みを加速していきます。


Kawasaki地球環境ビジョン2050

3つのフリー(CO2・廃棄物・有害化学物質)へ挑戦

川崎重工グループは、パリ協定とSDGsを踏まえ、持続可能な社会の実現に協働して取り組むことを宣言し、2017年に「Kawasaki地球環境ビジョン2050」を策定しました。
2050年の目指す姿である、「CO2 FREE」、「Waste FREE」、「Harm FREE」という3つの目標に挑戦し、地球温暖化の抑制、循環型社会の推進、生物多様性の保全に貢献していきます。

Kawasaki地球環境ビジョン2050

環境経営活動基本計画2024(2024~2026年度)

「グループミッション」「川崎重工グループ環境基本方針」および「グループビジョン2030」に基づき、社会ニーズに応え、環境保全と事業成長の両立、ならびに「Kawasaki地球環境ビジョン2050」のCO2 FREE、Waste FREE、Harm FREEの実現につなげる重点施策として「環境経営活動基本計画」を策定しています。
2021年までは3年ごとに計画を策定し、その進捗を毎年フォローしていましたが、脱炭素への動き、資源循環、生物多様性など、環境に対する要請事項が刻々と変化していることを踏まえ、2022年以降は毎年3年先を見据えた計画を策定しています。
策定した計画は取締役会の承認を得た後、環境管理体制を通じて事業部門に展開しています。
CO2 FREE、Waste FREE、Harm FREEの実現に向けた中期的な活動方針は以下の通りです。

CO2 FREE(脱炭素社会の実現)では、当社グループのカーボンニュートラル戦略を環境計画の中で具現化し、2030年の国内事業所におけるカーボンニュートラル実現に向けた動きを進めていきます。
Waste FREE(循環型社会の実現)では、サーキュラーエコノミーへの対応として、サーキュラーエコノミー型ビジネスモデルの検討を進めていきます。
Harm FREE(自然共生社会の実現)では、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)の要求に対応するため、当社グループの事業が生物多様性に与えるマクロの影響調査結果と対策の開示を進めていきます。

2023年度を対象とした「環境経営活動基本計画2023」では、上記で挙げた3つのFREEの活動方針に加えて、サプライチェーン上流のCO2排出量の見える化、SBT認証取得、水・廃棄物などの環境データの連結データ把握などを新たな取り組みとして設定し、計画通り進めました。
「環境経営活動基本計画2024」では、企業価値向上のための非財務情報開示の一層の拡充を目指し、「環境経営活動基本計画2023」で設定した取り組みを深度化させていきます。

CO2 FREE、Waste FREE、Harm FREEの2023年度の重点施策および実績、2024年度の重点施策は各ページをご覧ください。


環境経営推進体制

川崎重工グループでは取締役会をグループ全体のサステナビリティ基本⽅針と基本計画を審議・決定する最高意思決定機関と位置付けています。
また、取締役会の監督のもと、社長を委員長とする執行側の委員会としてサステナビリティ委員会を設置し、取締役会で定めた基本計画に基づく各種施策を決定し、その進捗状況を取締役会に報告しています。
気候変動に係るリスクと機会を含む環境経営戦略は、グループ全体のサステナビリティ基本方針の一つとして、サステナビリティ委員会にて審議する体制を整え、定期的に取締役会に環境経営に関する活動報告を行っています。

また、環境管理およびエネルギー管理に関する基本的事項を定め、環境経営活動基本計画の事業部門への展開やエネルギーの有効な利用の推進などを目的に、環境管理体制・エネルギー管理体制を定めています。

環境管理体制・エネルギー管理体制

責任者

最高環境管理統括者 代表取締役副社長執行役員 山本 克也


環境法令遵守

環境法令への対応

環境法令等の遵守および法改正の周知徹底や環境担当者のレベル向上を図るため、「環境法令等遵守連絡会」を適宜開催することで本社環境管理部門を中心とした当社グループの環境担当者と共に環境事故等の未然防止に努めています。
これまで、2000年以降のEUにおけるELV指令※1、RoHS指令※2、REACH規制※3などの化学物質に対する法規制や、モーターサイクルにおける排ガス規制(EURO 4)などの対応に取り組んできました。
2023年度は準拠法令の改正はありませんでした。今後も継続して適用対象となる法規制に関する情報収集を行います。

  1. ※1ELV指令:廃自動車に関するEU指令(リサイクル・重金属使用制限等)
  2. ※2RoHS指令:電気・電子機器に対する有害物質使用制限に関するEU指令
  3. ※3REACH規制:化学物質の登録・評価・認可・制限に関するEU規制

環境コンプライアンス

当社グループでは、環境法令を遵守した環境管理活動に努めています。         
2023年度に罰金を受けた事例はありませんでした。

また、環境に関する事故・汚染・苦情の件数はESGデータのページで開示しています。いずれも処置および再発防止策を講じ、解決を図っています。


環境教育

各種研修の実施

環境経営への理解促進を目的に、グループ従業員向けに各種研修を行っています。
毎年、環境経営活動基本計画(3か年計画)を策定しており、その内容に合わせて教育内容を改定しています。
2023年度はe-ラーニングによる研修を実施し、約13,400名(約86%)が受講しました。これからも各種研修を実施し、グループ従業員の環境意識の維持・向上に努めていきます。

対象者 教育内容
教育項目 具体的な内容
KHI/KRM/KMCおよび国内グループの従業員 気候変動対策の戦略や指針に関する説明
  • 川崎重工グループのカーボンニュートラル戦略
  • 環境経営活動基本計画 など
各部門での取り組み
  • 従業員の省エネ意識向上
  • 製品の高効率化、低燃費化
  • 化石燃料からのエネルギー転換
  • 製品製造時の作業効率の向上
  • 水使用量の削減
  • 廃棄物の削減
  • 有害物質の代替技術の検討

環境意識の向上

環境意識の向上を目的に、定期的に社内向けの情報発信を行っています。職場だけでなく、地域社会や家庭においても環境に配慮した行動が実践できるよう、社内報「かわさき」への環境関連記事の掲載、環境月間「社長メッセージ」の配信に加え、イントラネットにおける情報発信(省エネ事例紹介、森づくり活動報告、各事業所の環境活動など)を通じて、継続的に啓発活動を行っています。

有資格者の養成

エネルギー環境マネジメント活動の充実のため、エネルギー環境関連法令で求められている法的有資格者の養成にも力を入れています。直近4年の社内の有資格者数はESGデータで示しています。
また、社内資格としてISO14001の環境管理・監査員養成研修を行っています。2023年度末時点での環境管理・監査員は1,530人です。