コンプライアンス・腐敗防止


コンプライアンス

コンプライアンスに関する考え方

コンプライアンスの徹底は、川崎重工グループのすべての事業活動の土台となるべきもので、すべてのグループ役職員が正しいコンプライアンス意識のもとで業務を遂行しなければなりません。当社グループは多様な事業を抱えており、それぞれの事業分野において求められるさまざまな法令や規則を遵守し、状況に応じて常に正しく行動することが求められます。正しい判断をスピーディーに行っていくためには、従業員一人ひとりが、担当業務において無意識のうちに正しい行動をすることが当たり前になっている状況、即ち「コンプライアンスの深化」が実現していることが理想です。川崎重工グループは、コンプライアンスの深化に向けて、これからもさまざまな取り組みを進めていきます。各種の取り組みを通して、従業員一人ひとりが、「単に法律、規則、ルールに従うことにとどまらず、社会からの信頼を得られるように常に正しく行動する」というコンプライアンスの「本質」を意識し、より一層社会から信頼され、誇りをもって働くことができる持続可能な川崎重工グループを築いていくため、常にコンプライアンスの本質を意識した行動の積み重ねと深化を推進します。

コンプライアンスに関する方針

2017年7月に川崎重工グループの役員および従業員が行動するに際して判断のよりどころとなるべき倫理基準として「川崎重工グループ行動規範」を制定し、同時に本行動規範の解説冊子を発行しました。本行動規範については2019年1月に内容の一部改定を行い、2019年4月に解説冊子の第2版を制作しました。本行動規範は、経営会議に諮った上で取締役会の承認を経て制定したもので、必要に応じて行う改定に際しても、同様の手続きを経ています。
冒頭の社長コンプライアンス宣言において、「『川崎重工グループ行動規範』は、世界各国・地域の全役員・従業員が一丸となり、事業活動において常に正しく行動するためのものであると深く認識し、いかなる困難な状況においてもコンプライアンスを徹底するとともに、ステークホルダーとの対話を重視し、本行動規範に則して意思決定し行動する」と宣言し、当社グループの役員および従業員に本行動規範を遵守することを求めています。

方針の適用範囲

川崎重工グループの役員および従業員

体制

川崎重工グループにおけるコンプライアンスを徹底するための各種施策を審議、決定し、達成状況・遵守状況のモニタリングを行うことを目的に、社長を委員長とする全社コンプライアンス委員会を年2回以上開催しています(2022年度実績は2回開催)。全社コンプライアンス委員会には取締役会メンバーが全員出席し、コンプライアンスに関する事項について監督を行っています。また、全社コンプライアンス委員会の施策を各組織で実施するため、本社部門および各カンパニーにおいて事業部門コンプライアンス委員会を年2回以上開催し、グループ全体への展開を図っています。
さらに、毎年度コンプライアンスに関する全社共通の活動計画を策定し、全社コンプライアンス委員会の承認を経てさまざまなコンプライアンス活動を展開しています。また、各カンパニーにおいても年度の活動テーマを掲げコンプライアンスに関する活動を展開しています。

2022年度は、全社共通の活動計画に基づき、主に以下の取り組みを行いました。

         
2022年度の主な取り組み
コンプライアンス啓発活動
  • 日本国内向けeラーニングのほか、新たに海外子会社でもeラーニングを実施。
コンプライアンス意識調査
  • 日本国内で意識調査を実施。また海外子会社でも意識調査を実施。
贈賄防止体制の整備
  • リスクの高い海外子会社において贈賄防止社則制定。
内部通報制度の充実
  • 公益通報者保護法改正を反映した社則改正および従事者指定などの実施。

コンプライアンス推進体制図

コンプライアンス推進体制図

責任者

全社コンプライアンス委員会委員長 代表取締役社長執行役員 橋本 康彦

責任機関・委員会

川崎重工グループにおけるコンプライアンスの徹底を目的に、社長を委員長とし、取締役(監査等委員および社外取締役を除く)、カンパニープレジデント、コンプライアンス担当役員、本社各本部長などで構成する全社コンプライアンス委員会を設置しています。全社コンプライアンス委員会はコンプライアンス徹底のための各種施策の審議・決定および達成状況や遵守状況のモニタリングを行っています。
なお、業務執行監査の観点から監査等委員である取締役、および広く社外の知見および意見を委員会の意思決定に反映させる観点から社外取締役も出席し、コンプライアンスに関する事項について、取締役会メンバー全員による監督を行っています。
毎年2回以上開催することを社則で定めており、2022年度は年2回開催しました。

第三者によるコンプライアンス・システムの監査・外部認証

コンプライアンスの状況については、監査等委員および会計監査人により毎年監査が行われています。

コンプライアンス浸透の取り組み

eラーニング研修

コンプライアンス意識の向上を目的として、国内の川崎重工グループに在籍する全従業員を対象にeラーニング研修を実施しました。2022年度は17,860名(IT利用者の73.3%)が受講しました。海外子会社においては、2022年10月から12月にかけて、川崎重工グループ行動規範を題材にしたeラーニングを9か国語で実施し、3,447名が受講しました。

社長コンプライアンス宣言

川崎重工グループ全体でコンプライアンスを遵守するという決意を社内外に表明するために、「社長コンプライアンス宣言」を公表しています。社長コンプライアンス宣言は「川崎重工グループ行動規範」の冒頭ページに掲載しています。

法令遵守の宣誓書

川崎重工では、役員就任時および幹部職員任用時には、「違反行為は絶対に起こさない」「他の従業員にも法令遵守を徹底させる」という意識を改めて確認させるため、全文を手書きでの「法令遵守の宣誓書」を作成し、会社に提出することを義務付けています。同宣誓書には、「違反行為を行った場合は、処罰や処分を受ける可能性があることを理解している」旨の宣誓も含まれています。

コンプライアンスガイドブック

コンプライアンスガイドブック

社内におけるコンプライアンス徹底のために必要・有用な情報を分かりやすく記載した、「コンプライアンスガイドブック」を日本国内の川崎重工グループの役員・従業員に配付しています。「コンプライアンスガイドブック」では、当社グループのコンプライアンス体制と活動、当社の内部通報制度である「コンプライアンス報告・相談制度」の説明をはじめ、コンプライアンスに関して注意すべき事項をイラスト入りで分かりやすく紹介しています。
また、「川崎重工グループ行動規範」の項目と対比できるインデックスを記載し、コンプライアンス意識向上の資料としています。本ガイドブックは、社内のコンプライアンスに関する教育・学習活動において活用されています。その内容は、2003年に初版を発行した後、世界的なコンプライアンス要望の傾向を考慮し、常に改定作業を行っており、現在は、第6版(2021年4月発行)となっています。

コンプライアンス推進月間

コンプライアンス意識の再確認と向上を目指し、毎年10月をコンプライアンス推進月間と定め、各種活動を実施しています。2022年度は、社長メッセージの配信や、社内グループ報「かわさき」にコンプライアンス意識向上を目的とした記事とコンプライアンス報告・相談制度(内部通報制度)の概要を掲載しました。また、コンプライアンス報告・相談制度(内部通報制度)の利用促進アナウンスや、eラーニングによるコンプライアンス研修などを実施しました。

従業員コンプライアンス意識調査の実施

川崎重工グループは、社内でコンプライアンス違反が発生するリスクをモニタリングするために、定期的に従業員の意識調査を実施しています。
2020年度からは従業員エンゲージメントサーベイの中にコンプライアンス意識に関する設問を設け、毎年調査を行っています。カンパニー別、役職別など複数の要素で従業員意識の変化や推移を分析して、必要なコンプライアンス施策の立案やその他の取り組みに反映しています。
また、2022年度には、海外子会社の従業員に対しても、コンプライアンスに関する意識調査を実施しました。
上記調査とは別に、川重冷熱工業の不適切検査事案を踏まえ、2022年10月、日本国内の川崎重工グループを対象として、品質や検査に関する問題を中心としたコンプライアンス意識調査を実施しました。

コンプライアンス意識調査結果(川崎重工グループ(国内))

(年度)

単位 2018 2019 2020※1 2021※2 2022
調査回答率 % 93.8 - 80.0 85.0 89.0
自社は法令遵守の経営であると回答した人の割合 % 78.6 - 77.0 70.0 70.0
  1. ※1集計対象範囲:川崎重工単体
  2. ※2集計対象範囲:川崎重工および国内主要子会社

内部通報制度、相談窓口

川崎重工および国内子会社

当社および国内子会社の役員・従業員が、業務に関連してコンプライアンス違反の疑いがあるときに報告・相談するために、外部弁護士を窓口とする「コンプライアンス報告・相談制度」を設けています。2019年10月からは、匿名による報告・相談の受付を開始し、より利用しやすい制度とすることで組織に自浄作用が働く風土・仕組みを醸成することを目指しています。
「コンプライアンス報告・相談制度」では、外部弁護士が直接報告・相談者からの相談に対応しています。匿名通報の場合は、通報された内容に基づいて対応を検討しています。その後、事実関係を調査しコンプライアンス上の問題の有無を判断の上、問題があると認めた場合は、その旨と是正に向けた提言を会社に対して行っています。なお、実名通報に基づいた調査の過程において、報告・相談者の了承がない限り、本人の名前などが会社に明らかにされることはありません。
調査の結果については、報告・相談者に外部弁護士が直接回答しています。匿名通報の場合は、イントラネットの掲示板に案件の概要と進捗を掲示しています。
本制度の案内はイントラネット、「川崎重工グループ行動規範」の折り込みリーフレット、「コンプライアンスガイドブック」、社内グループ報「かわさき」の掲載など、定期的に社内周知を図っています。
また、本制度の実効性および信頼性向上を図るため、運用に関して必要に応じて見直しを行い、より利用しやすい環境の整備を行っています。
コンプライアンス報告・相談制度の件数、具体的な相談事例は全社コンプライアンス委員会で報告しており、同制度の実効性を担保しています。

コンプライアンス報告・相談制度のフローチャート(国内)

コンプライアンス報告・相談制度のフローチャート(国内)

内部通報件数と内訳(川崎重工グループ(国内))

2022年度に「コンプライアンス報告・相談制度」を通して寄せられた内部通報件数は54件です。
また、内部通報件数について、2022年度にコンプライアンス違反と判断した案件は15件、是正措置を要請した案件は21件であり、重大な違反はありませんでした。

海外子会社における内部通報制度の設置

2020年より海外子会社を対象に「グローバル内部通報制度」を導入し、2022年度までに9割以上の海外子会社への設置が完了しています。
「グローバル内部通報制度」では外部の法律事務所と社内事務局が共同の窓口となって、実名・匿名両方の通報を受け付けています。

グローバル内部通報制度体制図

グローバル内部通報制度体制図

内部通報制度以外の手段で通報された事案への対応

「コンプライアンス報告・相談制度」の窓口以外に届いた投書やメールなどの通報に関し、コンプライアンス違反が疑われる内容については調査を行い、必要に応じて是正や対処を実施しています。


コンプライアンス違反件数、内容、および措置

  • 目標 重大な違反件数:ゼロ

2021年度に発生した1件の重大な違反の内容および再発防止策については以下をご覧ください。

当社子会社での製品検査における不適切行為について(再発防止の取り組み)

2022年6月に公表しました、川重冷熱工業株式会社において判明した、主にビルなどの空調システム用として製造・販売した一部の吸収式冷凍機の検査などに関する不適切行為について、外部の弁護士で構成する特別調査委員会による調査が完了しました。受領した調査報告書の内容および当社取締役会で決議しました再発防止に向けた対応について、当社プレスリリース(2023年3月24日付)にてご報告しました。

詳細については、「川重冷熱工業の不適切行為に関する特別調査委員会の調査結果について(当社プレスリリース2023年3月24日)」をご参照ください。


腐敗防止

腐敗防止に関する考え方

川崎重工グループの事業は政府や官公庁と関係する機会が多いため腐敗リスクに晒される可能性が高いと認識しています。このため、コンプライアンス体制の下、各種方針に従い、事業活動および従業員教育を通じて、自国・外国公務員への贈収賄、お取引先への贈収賄、横領、マネーロンダリング等あらゆる形態の腐敗防止に取り組んでいます。2020年からは国連グローバル・コンパクトにも署名しており、腐敗防止を含む4分野10原則の普及・啓発に努めています。

贈賄防止に関する方針

贈賄防止について、以下の通り方針の整備・運用を行っています。

  1. 1.川崎重工グループ行動規範

    贈賄防止に関し川崎重工グループの役員・従業員個々人の正しい行動を徹底するために、「川崎重工グループ行動規範」の中で、川崎重工グループは不適切な贈答・接待を一切行わないこと含め贈賄を許容しないことを表明するとともに、個々人がとるべき行動を示しています。

  2. 2.川崎重工グループ贈賄防止方針

    川崎重工グループの贈賄防止への取り組みについてステークホルダーにご理解いただくために、当社グループの贈賄防止体制や取り組みをまとめた方針を公表しています。

  3. 3.贈賄防止規則

    川崎重工では社則「贈賄防止規則」を制定し、その中で「川崎重工グループは、事業を行うにあたり、法令を遵守し、日本および外国の公務員に対する贈賄を一切許容しないこと」を基本方針として定めています。

また、贈賄防止規則に加えて次の社則を制定しています。

  • 「日本の公務員に対する接待・贈答規程」
    公務員倫理に関する国内法令(国家公務員倫理法・国家公務員倫理規程を含む)を踏まえ、接待・贈答の申請手続、可否判断基準および記録保管などを定めています。
  • 「外国の公務員に対する贈賄防止規程」
    接待・贈答・経費負担の申請手続、可否判断基準および記録保管や、仲介者(販売店、コンサルタント等)選定・継続時の確認事項などを定めています。

海外子会社における贈賄防止に関する取り組み

Transparency Internationalの腐敗防止指数を参考にリスクベースアプローチで高リスク拠点を抽出し、アジア・南米地域の川崎重工グループの海外現地法人について、贈賄防止に関する社則を制定する取り組みを進めています。2023年6月現在、アジア・南米地域の対象子会社(35社)すべての社則制定を完了しました。

贈賄防止に関する従業員教育

毎年、海外事業に関わる日本国内の従業員を対象に海外贈賄防止研修を実施しています。2022年度の国内従業員向けeラーニングの受講者数は2,051名でした。eラーニングの受講者にはアンケートを実施し受講者の理解度を確認しています。また海外ビジネス担当者向け研修においても、贈賄防止に関するコンプライアンス教育を行っています。さらに、2023年2月から3月にかけて、アジア・南米地域の海外現地法人の従業員を対象に、8か国語で贈賄防止に関するeラーニングを実施し、1,920名が受講しました。

贈賄に関する違反件数、内容、および措置

直近5年の間で行政処分や制裁の対象となる汚職はありません。


独占禁止法(競争法)遵守

独占禁止法(競争法)遵守に関する考え方

当社グループでは、独占禁止法(競争法)遵守に関する取り組みに注力しています。2006年以降、毎年定時株主総会の直後に行われる最初の取締役会において、独占禁止法を遵守し、社会における当社の企業価値の維持・向上に努める旨の決議を行っています。また、「川崎重工グループ行動規範」においても公正かつ自由な競争を妨げず、健全な市場を維持するために努力することを宣言しています。

方針の適用範囲

川崎重工グループ役員・従業員

独占禁止法(競争法)遵守に関する従業員教育

独占禁止法に関する各種ガイドブックの発行を通じて、当社グループにおいて問題となり得る事例を広く周知するとともに、独占禁止法(競争法)に関する研修を定期的に実施しています。2022年度は2023年2月から3月にかけて、欧州・北米地域の海外現地法人の従業員に対し、競争法に関するeラーニングを3か国語で実施し、973名が受講しました。

独占禁止法(競争法)遵守に関する違反件数、内容、および措置

2010年以降、公正取引委員会からの行政処分の対象となった重大な違反はありません。また2006年以降、刑事罰の対象となった重大な違反はありません。


その他のコンプライアンスリスク

インサイダー取引の防止

川崎重工グループではインサイダー(内部者)取引を禁止しており、「川崎重工グループ行動規範」においてもインサイダー取引の禁止を規定しています。また川崎重工では、インサイダー取引の発生の防止などを目的に、社則「内部者取引管理規則」を制定し運用・規制しています。2013年度からは、当社の役員・従業員が当社株式を売買する場合、その旨を所定の期日までに会社への届け出を行う制度(「自社株売買事前届出制度」)を新たに設け、より一層のインサイダー取引未然防止に努めています。

違反件数、内容、および措置

インサイダー取引規制を定めた改正証券取引法が施行された1989年以降、川崎重工グループおよび当社グループ従業員が罰則や課徴金の対象となる、重大な違反はありません。

反社会的勢力の排除

川崎重工グループは、反社会的勢力からの不当な要求に対し、毅然としてこれを拒否するとともに、反社会的勢力との一切の関係を遮断するための取り組みを行っています。
「川崎重工グループ行動規範」および「コンプライアンスガイドブック」での説明に加え、「反社会的勢力対応マニュアル」を発行して、反社会的勢力に対する社内体制や具体的対応要領などの周知・徹底を図っています。また、反社会的勢力排除に係る対応を統括する部署を本社コンプライアンス部内に設置し、警察など外部の専門機関と緊密に連携しながら、反社会的勢力からの不当要求に対して組織的に対処する体制を構築しています。

違反件数、内容、および措置

反社会的勢力などからの不当な要求やアポイントメントは拒否・排除しており、1997年以降違反事例はありません。

小規模拠点における金銭取り扱いリスク対策

営業所や出張所といった小規模拠点では、チェック体制が行き届きにくい、人事ローテーションが困難でメンバーが固定しやすいなど、コンプライアンスリスクが高くなる傾向があります。特に金銭取り扱いに関するリスクを軽減するため、チェックマニュアルの整備や監査の強化を行っています。

違反件数、内容、および措置

直近5年の間で行政処分や制裁の対象となる企業不祥事はありません。

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