人財マネジメント


マネジメント・アプローチ

基本的な考え方

社会が求める新たな価値を持続的に提供するために人財は最も重要な財産であり、「グループビジョン2030」においても、人的資本の充実は成長シナリオを支える重要な要素と位置付けています。この認識のもと、当社グループは人的資本に関する基本方針「川崎重工グループ人財マネジメント方針」に則り、多様な人財の確保・育成、その個性と能力を発揮するための環境整備、前向きに挑戦し続ける人と組織の実現に向けて、各種施策を展開しています。

人財マネジメントに関する方針

経営に大きな影響を及ぼす全社的な人財育成方針については、社長を議長とする全社人財マネジメント委員会で協議・検討しています。また、2021年度から、「チャレンジ&コミットメント」をコンセプトとする新たな人事制度をスタートさせ、期待役割と成果を実現し得る人財を年齢・性別・国籍等の属性に関わらず社内外から確保・配置し、能力を最大限に発揮することを通じ企業価値の継続的な向上に努めています。
社内環境整備方針については、「グループビジョン 2030」に掲げる「枠を超え成長し続けるオープンで自由闊達・創造的なチーム」であり続けるため、より多くの人財が働きがいと働きやすさを実感できる環境づくりが重要と考えています。 また、持続的な企業価値の向上を図っていくため、国籍、性別、年齢、宗教の違いや障がいの有無などに関わらず、世界中で活躍する従業員一人ひとりが持つ多様な能力を存分に発揮でき、それを最大化する組織づくりに取り組んでいます。これらのダイバーシティ推進の積極的な取り組みが評価され、女性活躍に優れた企業として「なでしこ銘柄」に選定され、「えるぼし」や「くるみん」の認定も取得しています。

人事に関する体制

経営に大きな影響を及ぼす全社的な人財の育成・活用の方針については全社人財マネジメント委員会で協議・検討します。全社人財マネジメント委員会は社長が議長となりカンパニープレジデントを中心に招集し、①経営者の育成、②重点施策における人財の活用、③新事業・新製品への人財の投入に関する事項、④各種人事施策の運用状況などについて協議・検討します。
また、各種人事施策の詳細立案・策定時の意見収集、全社方針の伝達を目的として本社人事本部が事業部門の人事・勤労担当部門長を招集し、各種会議体を開催しています。

人事各種会議体

会議体 目的 出席者 開催頻度
全社人財
マネジメント委員会
経営に大きな影響を及ぼす全社的な人財の育成・活用に関する事項の協議・検討
  • 本社人事企画部(主催)
  • 社長、副社長、カンパニープレジデント
  • 技術開発本部長
  • 本社企画本部長
  • 人事本部長
年4回
人事企画部
全社会議
人事勤労施策の情報共有と方針の検討、運用に関する伝達
  • 本社人事企画部(主催)
  • 事業部門人事担当部長
随時
(月2回程度)
人事担当
部門長会議
人事労政部所掌の担当業務に関わる案件に対して、意見交換、ディスカッション
  • 本社人事労政部(主催)
  • 事業部門人事・勤労課長
随時
(年2回程度)
教育担当
部門長会議
人財開発部所掌の担当業務に関わる案件に対して、意見交換、ディスカッション
  • 本社人財開発部(主催)
  • 事業部門教育担当課長
  • 関係会社教育担当部門長
年2回
労務担当
部門長会議
人事労政部所掌の担当業務に関わる案件に対して、意見交換、ディスカッション
  • 本社人事労政部(主催)
  • 事業部門人事・勤労課長
年2回
安全衛生担当
部門長会議
安全保健部所掌の担当業務に関わる案件に対して、意見交換、ディスカッション
  • 本社安全保健部(主催)
  • 事業部門安全衛生担当課長
年4回
  • 各担当部門長会議はディスカッションの場、人事企画部全社会議は情報共有および方針伝達の場と位置付けています。

責任者

代表取締役副社長執行役員 人事本部長 山本 克也
全社人財マネジメント委員会:代表取締役社長執行役員 橋本 康彦
ほか各種会議体:本社人事本部 各部長

責任機関・委員会

全社人財マネジメント委員会


従業員エンゲージメント

K-Win活動(Kawasaki Workstyle Innovation)

当社では、2016年度より「ホワイトカラーの生産性向上」「ワークライフバランスの推進」「長時間労働の抑制」を目的にした働き方改革として始めたK-Win活動により、「業務改革」「組織風土改革」「制度改革」の3つの改革を進めてきました。
現在、K-Win活動はグループ経営と一体となり、グループビジョン2030の実現に向けた「企業文化および従業員意識の変革活動」へとその活動の幅を広げています。高いモチベーションを持ち、かつ能力を発揮する環境が与えられていると実感している従業員をより多く輩出するためのこれらの取り組みを通じて、企業価値向上の好循環を生み出す組織づくりを行っています。
また、その進捗状況を可視化するためにエンゲージメントサーベイ(WinDEX)を実施しています。

目指す人と組織の姿

事業ポートフォリオの全体最適を見据えた人財活用や、生産性の向上による成果の最大化、多様な知見交流による価値創造を実現することを目指し、目指す人と組織の姿を以下の通り定めています。

  • エンゲージメントが高く、仕事のやりがいや楽しさと、働きやすさが両立した人と組織
  • ビジョン実現へ向け、マーケットイン視点を持ち、社内外の枠を超えて従業員一人ひとりが具体的な行動を起こす組織

K-Win活動の重点課題

経営テーマと従業員のつながり形成・対話の促進 ~一つの方向へ自ら動く~

  • グループビジョン2030の従業員への浸透、経営トップとの対話
  • エンゲージメントサーベイWinDEXによる企業文化の可視化、組織課題への取り組み
  • 1on1と組織開発による従業員との意識共有・組織活性化

能力発揮と成果に主眼を置き、社内外でのクロスオーバーアクションを推進 ~既存の制約を崩し、社内外の枠を超える~

  • Kawasakiにとっての新しいワークスタイルへのシフト、コミュニケーションの高度化(リモートやDX活用)
  • かわさき目安箱による組織横断課題の共有・解決
  • 社内外メンバーによるクロスオーバーコミュニティの形成、知見の交換

K-Win活動の体制

体制としては大きく2つに分かれており、全社活動の推進を本社が中心となったK-Win活動推進事務局が、各組織の活動推進を事業部門推進事務局が担っています。また、さまざまなテーマにおいて、推進への強い意志を持ち、それぞれの知見を有する従業員がアクションに参画しています。

【活動テーマの具体例】
「車座ミーティング」の実施(エネルギーソリューション&マリンカンパニー)

経営層と従業員の対話により従業員の声を直接吸い上げ、トップダウンによる問題解決につなげるとともに、従業員自らが組織を変えられるという意識を醸成することを目的とします。          
2022年度中に延べ約2,300名の従業員が参加し、経営層にとっても従業員の声を聴ける有意義な場となりました。意見を聴くにとどまらず、本取り組みで挙がった経営アクションを迅速に実行していきます。

車座ミーティング

K-Win推進体制図

K-Win推進体制図

責任者

代表取締役副社長執行役員 人事本部長 山本 克也

責任機関・委員会

K-Win活動推進事務局

エンゲージメントサーベイ(WinDEX)の概要

高いモチベーションを持ち、かつ能力を発揮する環境が与えられていると実感している従業員をさらに増やすことを目指した「K-Win活動」に取り組み、組織課題の可視化と継続的な改善に結び付けるために定期的にエンゲージメントサーベイを実施しています。エンゲージメントサーベイでは、「働きやすい環境」と「社員エンゲージメント」が共に高い従業員割合を2030年度、連結で50%以上(2022年度実績:29%)とする目標を掲げ、経営トップとの車座対話、1on1ミーティングや組織開発による組織活性化、かわさき目安箱による組織横断課題の共有・解決などを実施しています。


人財の確保と定着

採用

事務職・技術職については、チームで取り組む業務が多い特性を勘案して「切磋琢磨できるチームプレイヤー」を求める人物像のキーワードとして採用に取り組んでいます。 人財の採用にあたっては、単に退職者の補充にとどまらず、中長期的な観点から必要となる能力を持った人財を必要な人数確保するよう努めています。また、事業伸展に伴う人員増のニーズに柔軟に対応していくため、新卒採用だけではなく、キャリア採用も積極的に行っています。海外事業の伸展およびダイバーシティの観点から、海外大学卒業生や外国籍の学生についても新卒採用にも取り組んでいます。

多様な人財の雇用については、「ダイバーシティ」をご覧ください。

採用者数(ESGデータ)

離職者数(ESGデータ)

従業員の評価

人財評価の考え方

当社は、年齢などの属人的要素によらず期待される役割の大きさと掲げる目標の高さ、覚悟とスピード感を持ってやり抜く力とその成果に応じた処遇を行う人事制度の運用を通じ、人財のさらなる成長と企業の持続的な成長を目指しています。その根幹となるのは「コミットメント」と「チャレンジ」を重視した「目標管理制度」です。
目標設定にあたっては、基本的な職務の遂行にあたり通常期待される目標に加え、主体的なチャレンジや通常より高い役割を果たすことでさらなる付加価値を生み出す目標を設定し、上司・部下間で定期的な面談を行い目標達成に向けた課題や取り組みを話し合います。期末には、各項目について自己評価および上司評価を実施し、評価結果とその理由のフィードバックを行った上で業績評価を行うとともに、次期の取り組みやキャリア方針について話し合いを行います。
評価者に対しては、公平・公正な評価を行うために、評定手順を定めて示すとともに、評価者としてのスキルアップのために、ケーススタディなどを取り入れた研修を課長研修などの場で実施しています。また、幹部職員を対象に、各人の行動特性を客観的かつ多面的に観察し「他者から見た当人の特性」を明らかにするとともに、当人の育成や将来的な配置等の参考とする目的で、「360度サーベイ」を実施しています。
そのほか、年に1度、労働組合に対して昇進、処遇の状況について説明し、公平・公正な処遇が行われていることを確認しています。

評価方法別の対象従業員の割合(川崎重工・川崎車両・カワサキモータース)

(年度)

単位 2018 2019 2020 2021 2022
目標管理による評価※1 % 100 100 100 100 100
多面的な成績評価※2 % 21 21 21 21 22
従業員カテゴリー内の順位付け評価 % 100 100 100 100 100
  1. ※1ライン長と合意した目標などによる評価
  2. ※2360度サーベイなど

キャリア形成に向けた支援

当社グループは「従業員個人の意思を尊重したキャリア形成に向けた支援」という基本方針に則り、従業員が自身の能力開発の目標を明確にして身に付けるべき知識・能力・スキルを習得する機会や、必要な職場経験を積む機会の充実を図っています。
たとえば、従業員が主体的にキャリア形成できるように、当社のキャリア形成支援施策を「キャリアサポートガイドブック」にまとめて従業員に周知するとともに、テーマ別キャリアセミナーやキャリアカウンセリングの機会を用意しています。また、上司に対してもキャリア支援セミナーを実施し、職場で上司が部下の成長やキャリアを支援できる環境づくりを進めています。さらに、新たな職場に自発的に挑戦する仕組みとして「ジョブ・チャレンジ制度」や「FA制度」なども整備しています。

オープンポジションの件数(川崎重工・川崎車両・カワサキモータース)

(年度)

単位 2018 2019 2020 2021 2022
オープンポジションの件数 28 28 28 26 38

従業員に対する長期的なインセンティブの概要

当社では一時金および年金で受け取れる退職金制度を有しています。確定給付型に加え確定拠出企業年金も導入しており、従業員は自己のライフプランに合わせて拠出額を選べるとともに、長期的な資産形成に役立てることができます。

適用の評価基準

勤続年数、年齢、職能資格、業績評価

適用の評価期間

3年以上

適用範囲

全従業員

従業員持株会制度

当社グループでは、従業員の福利厚生(財産形成)の推進および経営への参加意識の向上、という観点で、従業員持株会制度を設け、運営しています。従業員は、福利厚生制度の一環として、拠出金に応じた奨励金を会社から付与されるほか、所有株数に応じた配当金を持株会へ再拠出することにより複利効果を得ることで、財産形成を行うことができます。また、従業員が持株会を通じて当社株式を保有することで、一般株主と同様、当社経営に対する意識が一層高まり、長期的な企業価値の向上に資するものと期待しています。

従業員持株会の所有株数と株主名簿順位

(年度)

単位 2018 2019 2020 2021 2022
従業員持株会の所有株数 3,286,221 3,790,021 4,501,521 4,934,251 5,223,751
株主名簿順位 7位 6位 4位 4位 4位
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