Waste FREE(循環型社会の実現)

世界的な人口の増加により、2030年には地球2個分の資源が必要と言われている中で、社会を持続可能なものとしていくために、天然資源の使用量削減や廃棄物排出量削減に対する社会的な要請が高まっています。
川崎重工グループは、資源の使用量削減や製造工程での廃棄物の削減、廃棄物のリサイクルなどを通じて有限な資源の有効利用を進めるとともに、循環型社会の実現を目指した取り組みを進めています。
また、水資源についても、個々の工場の水使用状況を把握し、無駄なく有効利用する方法を検討することで水使用量の削減に努め、環境への負荷低減を推進します。

環境経営活動基本計画2023重点施策と2023年度実績

環境計画2023重点施策 2023年度実績
①水セキュリティへの対応
  • 国内・海外生産拠点における水リスク・機会を整理し、対応策を開示する。
  • 当社事業が生物多様性に与える影響評価を踏まえて、LEAPアプローチによりマクロ分析を実施
    (LEAPアプローチによる分析結果は2024年開示予定)
  • 取水量と排水量のデータを連結で把握する。
  • 2024年度データ(2025年開示)から連結での開示に向け準備中
②サーキュラーエコノミーへの対応
  • 製品使用後のリサイクルや廃棄状況を把握し、その状況をふまえてサーキュラーエコノミーのビジネスモデルを検討する。
  • ビジネスモデル検討対象事業を決定し、ビジネスモデルの策定を推進
  • 直接埋め立て廃棄物÷廃棄物総発生量を1%以下にする。(川崎重工・川崎車両・カワサキモータース)
  • 最終処分率1%以下という目標を達成
  • PCB廃棄物の計画的な処分を進める。
  • 計画的な処分を実施
  • 廃棄物排出量のデータを連結で把握する。
  • 2024年度データ(2025年開示)から連結での開示に向け準備中
  • プラスチック資源循環促進法対応として、産業廃棄物の廃プラスチック類処分量および製品梱包に利用するプラスチック類を把握し、削減する。
  • プラスチックの購入、廃棄量の集計を開始

環境経営活動基本計画2024重点施策

環境計画2024重点施策
  1. 資源と水の循環
    • 海外生産拠点における水リスク・機会を整理し、TNFD検討の内容拡充を進める。
    • サーキュラーエコノミーへの対応として、ビジネスモデル案を策定する。
    • 直接埋め立て廃棄物÷廃棄物総発生量を1%以下にする。(川崎重工・川崎車両・カワサキモータース)
    • 低濃度PCB廃棄物の計画的な処分を進める。
    • プラスチック資源循環利用促進法対応として、主要プラスチック製品のデータ集計を進める。
  1. データ集計、情報発信力の強化
    • 水、廃棄物排出量データの第三者保証を取得する。
    • 水、廃棄物排出量データを2024年度データ(2025年開示)から連結で開示する。

資源の有効活用

資源使用量の削減

当社グループは環境への負荷低減のために、製品企画、研究開発、設計の各段階において、部品点数の減少や軽量化などにより資源活用の効率化を進め、天然資源使用量の削減に取り組んでいます。また、製品製造に使用する資源だけでなく、製品の梱包に使用する資源についても、出荷架台のリターナブル化の適用拡大や環境負荷の低い梱包材へのシフトなどによる資源使用量削減を進めています。
天然資源使用量の削減には当社グループだけでなく、サプライチェーン全体で取り組む必要があるため、「川崎重工グループサステナブル調達ガイドライン」に、天然資源使用量を必要最小限に抑える旨の記載を織り込み、サプライヤーとも協働して取り組みを進めます。

製造工程での廃棄物の削減

製造工程において、資源を無駄なく利用して廃棄物を削減すること、および製造工程で発生した廃棄物のリサイクルを推進することにより、直接埋め立て廃棄物をゼロにすることを目標に活動を継続しています。
過去4年間のグループでの廃棄物総排出量、および川崎重工・川崎車両・カワサキモータースの廃棄物・有害廃棄物の排出量はESGデータのページに示しています。川崎重工・川崎車両・カワサキモータースの最終処分率(=直接埋め立て廃棄物÷廃棄物総発生量)は0.1%であり、目標である1%以下を達成しました。

ライフサイクル分析の活用

新規開発・設計製品や特に重要な製品に対して、天然資源使用量の削減、省エネルギー、リサイクル性などについて製品アセスメントを実施し、製品のライフサイクルでの環境負荷の低減を目指しています。製品の種類によって具体的な評価方法が異なるため、事業部門ごとに「製品アセスメント規程」を作成し、製品特性に合った対応を可能にしています。主な評価項目は次の通りです。

  • 製品の減量化
  • 製品の梱包素材の減量化
  • 製品製造時の省エネルギー化
  • 製品使用時の省エネルギー化
  • 製品の長寿命化
  • 製品の安全性と環境保全性
  • 製品の運搬作業の容易性
  • 製品の廃棄・リサイクルへの対応
  • トラブルなどの緊急時の環境影響
  • 使用・メンテナンスなどのための情報の提供
  • 法規制への対応

二輪車リサイクルシステム

カワサキモータースは、二輪車国内メーカーと輸入事業者が2004年から共同で運用している自主的な取り組みの「二輪車リサイクルシステム」に参加しています。この「二輪車リサイクルシステム」における、2023年度の再資源化の実績は97.8%でした。なお、2011年10月から、廃棄時のリサイクル費用のお客様負担を無料化(運搬費用を除く)しています。
また、新型二輪車では開発段階からリデュース・リサイクルなどの環境配慮設計に取り組み、設計・試作・量産の各段階の前で3Rへの取り組みの事前評価を行っています。特に、リサイクルしやすい材料の採用などによりリサイクル性の向上に努めており、(一社)日本自動車工業会が公表している「新型車のリサイクル可能率の定義と算出方法のガイドライン(1998年自工会)」に基づき算出したリサイクル可能率は、全機種90%以上を達成、そのうちの大半の機種は95%以上を達成しています。

PCB処理の推進

ポリ塩化ビフェニル(PCB)廃棄物の処理は、適正処理等を規定したストックホルム条約に基づき世界的に進められています。国内では、環境省が設立した中間貯蔵・環境安全事業株式会社を中心とした処分が計画的に実施されており、高濃度PCB廃棄物の段階的な処分期間終了は2023年、低濃度PCB廃棄物は2027年までの処分期間終了となっています。
当社グループでは、これまで社内で計画的な処分を進めてきましたが、工場で新たに高濃度PCB廃棄物が発見される事案があり、2023年度に改めて処分しました。現在、処分会社への委託契約待ちの高濃度PCB廃棄物が少量あるため、これを適正に保管するとともに残りの低濃度PCB廃棄物の処分を計画的に進めています。


水資源の保全

水使用の用途と量の詳細把握

川崎重工・川崎車両およびカワサキモータースでは、水資源を有効に利用するため、個々の工場の水使用状況の詳細把握を進めています。また、工場からの排水に対して、法律や条例の排出基準よりも厳しい自主管理基準を設定して排水の監視を行い、排水の水質改善を進めています。
過去4年間の川崎重工・川崎車両・カワサキモータースの取水量・排水量・水使用量はESGデータのページに示しています。生産活動に係る利用やボイラの利用などで用途を再確認しながら無駄のない有効利用を検討するとともに、リサイクル水の活用などにより水使用量の削減に取り組んでいます。グループ全体でこの取り組みを展開して水リスクの確認につなげていきます。

工場と水量リスク(水ストレス)

社外専門家の協力のもと、アメリカのシンクタンクの一つであるWRI(World Resources Institute)が公開しているAqueduct Water Risk Atlasを活用して、水不足・渇水・洪水・水質汚染の観点から簡易リスク分析を実施しました。
国内外グループの製造拠点38か所(国内17か所、海外21か所)のうち、世界的に水ストレスが高いと見られるインド、タイ、中国には12か所の製造拠点があり、このうち、7か所については水資源・渇水リスクが特に高いと判定しています。今後はより詳細な分析を進め、対策を講じていきます。

世界の水ストレス
川崎重工グループの製造拠点と水ストレス(出典:Aqueduct Water Risk Atlas)

凡例:
:川崎重工グループの製造拠点
:特に水ストレスが高い国・地域