コーポレート・ガバナンス


基本的な考え方

川崎重工はグループ全体として、株主・顧客・従業員・地域社会などのステークホルダーの皆様に対して透明性の高い経営を行い、円滑な関係を構築しながら、効率的で健全な経営の維持により企業価値を向上させることを、コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方とし、当社グループにふさわしいコーポレート・ガバナンスの構築およびその継続的な充実・強化に取り組んでいます。


企業統治体制の概要

川崎重工は監査等委員会設置会社であり、取締役会の任意の諮問機関として指名諮問委員会および報酬諮問委員会を設置し、業務執行機関として経営会議、執行役員会などを設置しています。
当社における主な会議体およびその内容は以下の通りです。

取締役会

取締役会は、2023年6月に業務執行から独立した社外取締役が1名加わり、その員数が13名(うち、5名は監査等委員である取締役)となりました。これにより、社外取締役比率が13名中7名(うち、3名は監査等委員である取締役)と過半数になったほか、女性取締役が13名中3名、外国籍取締役が13名中2名と、知識・経験・能力のバランスに加え、多様性をより高めています。さらに、取締役と各事業責任者(カンパニープレジデント等)を分けることにより経営の監督と執行の分離を進め、取締役会の監督機能の強化を図っています。なお、議長は取締役会の決議により会長が務めています。
取締役会では、決裁規則に基づき上程される各議案について審議するほか、取締役会実効性評価の結果等を踏まえ設定したテーマについて討議を行っています。2022年度は、事業改革、コンプライアンス強化の方針、後継者育成計画、取締役会の多様性の確保、DX戦略等について検討しました。また、サステナビリティやコンプライアンス、リスクマネジメント、品質管理等、重要な経営課題については、基本方針を取締役会で議論し、執行側にその状況の報告を求める体制を整備しています。
これに加え、取締役会における審議の透明性および客観性の向上を目的に設置している指名諮問委員会および報酬諮問委員会は、議長および構成員の過半数を社外取締役としています。指名諮問委員会は役員選解任に関する方針・基準および役員選解任案についての妥当性などについて審議し、報酬諮問委員会は役員報酬に関する方針・制度および個別報酬の妥当性などについて審議し、それぞれ取締役会に答申もしくは助言を行っています。

監査等委員会

監査等委員会は社外取締役3名を含めた取締役5名で構成し、監査の実効性確保のため、社内取締役2名を常勤の監査等委員として選任しています。また、監査等委員には、適切な経験・能力および必要な財務・会計・法務に関する知識を有する者、特に、財務報告の信頼性確保のため、財務・会計に関する十分な知見を有している者を1名以上選任しています。

業務執行体制

業務執行に関しては、経営環境の急速な変化に対応できる体制として執行役員制度を採用し、業務執行決定権限の相当部分を、取締役会にて選任された執行役員に委譲することにより、意思決定の迅速化を図っています。
また、社長の諮問機関として、代表取締役およびカンパニープレジデントなどで構成する経営会議を設置し、業務執行における重要事項などを審議することにより、意思決定および業務執行がより適切かつ効率的に行われる体制としています。
さらに、社長を委員長とし、執行役員全員で構成する執行役員会を設置し、取締役会で決定した経営方針や経営計画、経営会議における決定事項に基づき、業務執行方針を示達するほか、経営課題に関する意見交換などを行うことにより、グループ経営における意思統一を図っています。

コーポレート・ガバナンス体制図(2023年7月4日現在)

コーポレート・ガバナンス体制図(2022年7月4日現在)

役員体制(2023年6月28日現在)

当社における地位
氏名
業務執行 独立 取締役在任年数 指名諮問委員会 報酬諮問委員会 女性 外国人 取締役会出席回数 監査等委員会出席回数
取締役会長
金花 芳則
11 16/16 -
代表取締役社長執行役員
橋本 康彦
5 16/16 -
代表取締役副社長執行役員
山本 克也
6 16/16 -
代表取締役副社長執行役員
中谷 浩
3 16/16 -
社外取締役
ジェニファー ロジャーズ
5 16/16 -
社外取締役
辻村 英雄
3
議長

議長
16/16 -
社外取締役
吉田 勝彦
1 12/12 -
社外取締役
メラニー・ブロック
新任 - -
取締役(監査等委員)
猫島 明夫
3
(5)
16/16 14/14
取締役(監査等委員)
加藤 信久
1 12/12 9/9
社外取締役(監査等委員)
石井 淳子
3
(6)
16/16 14/14
社外取締役(監査等委員)
齋藤 量一
3
(4)
16/16 14/14
社外取締役(監査等委員)
津久井 進
1 12/12 9/9
  • 監査等委員である取締役の在任年数の括弧書きは、監査役会設置会社における監査役就任期間を含めた在任年数です。なお、当社は2020年6月25日付で監査役会設置会社から監査等委員会設置会社へ移行しています。

取締役会議長

取締役会議長は、取締役会長が務めています。


コーポレート・ガバナンスの機能(機関・委員会など)

指名諮問委員会
概要 役員の選解任方針・基準および選解任に関する諮問機関
構成

議長:社外取締役

構成:社内取締役2名、社外取締役3名(うち、2名は監査等委員である取締役)

開催回数 2022年度 12回
報酬諮問委員会
概要 役役員報酬の方針・制度および個別報酬に関する諮問機関
構成

議長:社外取締役

構成:社内取締役2名、社外取締役3名(うち、2名は監査等委員である取締役)

開催回数 2022年度 7回
経営会議
概要 グループ経営全般における社長の諮問機関として社長を補佐
業務執行における重要事項などの審議
構成

議長:社長

構成:代表取締役およびカンパニープレジデントなど
(注)業務執行監査の観点から常勤の監査等委員も出席

開催回数 月3回程度(2022年度 32回)
執行役員会
概要 取締役会で決定した経営方針や経営計画、経営会議における決定事項に基づく業務執行方針の示達
業務執行上必要かつ重要な報告、伝達、ならびに出席者の意見交換など
構成

議長:社長

構成:取締役会で選任された執行役員全員
(注)業務執行監査の観点から常勤の監査等委員も出席

開催回数 年2回(2022年度 2回)
サステナビリティ委員会
概要 社会・環境および川崎重工グループのサステナビリティを推進するための各種施策の審議・決定
当該施策の達成状況・遵守状況のモニタリング
構成

委員長:社長

構成:取締役(監査等委員・社外取締役を除く)、カンパニープレジデント、サステナビリティ担当役員、本社各本部長など
(注)社外の知見および意見を委員会の意思決定に反映させる観点から社外取締役、業務執行監査の観点から監査等委員も出席

開催回数 年2回以上(2022年度 3回)
全社コンプライアンス委員会
概要 川崎重工グループにおけるコンプライアンスを徹底するための各種施策の審議・決定
当該達成状況・遵守状況のモニタリング
構成

委員長:社長

構成:取締役(監査等委員・社外取締役を除く)、カンパニープレジデント、コンプライアンス担当役員、本社各本部長など
(注)社外の知見および意見を委員会の意思決定に反映させる観点から社外取締役、業務執行監査の観点から監査等委員も出席

開催回数 年2回以上(2022年度 2回)
全社品質会議
概要 品質管理に関する全社方針の協議および徹底
本社、カンパニーおよび関連企業間での品質管理に関する情報共有
構成

議長:技術担当副社長

構成:本社企画本部、技術開発本部、カンパニー担当部門および関連企業担当部門の代表者など

開催回数 年4回程度(2022年度 4回)
全社経営戦略会議
概要 各事業部門における経営戦略および経営計画の策定・見直し
構成

議長:社長

構成:代表取締役およびカンパニープレジデント、カンパニー企画本部長など

開催回数 年2回(2023年度新設) ※2022年度は検討会議として年2回開催
重要プロジェクト会議
概要 経営成績に対する影響が大きい重要なプロジェクトの応札や投資決定前におけるリスク管理
当該プロジェクトに係るリスク評価および対応策などについて審議
構成

議長:企画本部長

出席者:本社関係部門および当該プロジェクト担当部門

開催回数 適宜開催

取締役の選定

取締役の選定プロセス

川崎重工の取締役会は、「取締役に求められる資質」を制定し、これに基づき取締役候補の選任を行っています。業容の異なる多様な事業部門を擁している当社においては、各事業および本社各機能における責任者としての豊富な経験を有する社内取締役と、企業経営や法曹・行政等に関する豊富な経験を有する社外取締役をそれぞれ選任することにより、取締役会全体としての知識・経験・能力のバランスおよびジェンダー・人種・国籍などの多様性を確保しており、その状況は、スキル・マトリックスとして下表の通り一覧化しています。なお、スキル・マトリックスに掲げた項目は、グループビジョン2030の実現のために必要な監督分野を「企業価値向上に向けたビジョン・戦略定義・ガバナンス整備」、「事業構造転換」、「成長基盤整備に係る取り組み」と定義し、これを機能させるために、各取締役に期待する領域※、および求める経験として設定したものです。

  • 取締役会において知識・経験を活用し、議論をリードすることが期待される領域。
氏名 当社における地位 期待する領域 求める経験
事業戦略 ガバナンス 財務・会計 人事・組織マネジメント ものづくり(技術・開発・生産・品質) 営業・マーケティング IT・DX・セキュリティ 企業経営 グローバル 法曹・行政 金融・研究機関
金花 芳則 取締役会長
橋本 康彦 代表取締役
社長執行役員
山本 克也 代表取締役副社長執行役員
中谷 浩 代表取締役副社長執行役員
ジェニファー ロジャーズ 社外取締役
辻村 英雄 社外取締役
吉田 勝彦 社外取締役
メラニー・ブロック 社外取締役
猫島 明夫 取締役(監査等委員)
加藤 信久 取締役(監査等委員)
石井 淳子 社外取締役(監査等委員)
齋藤 量一 社外取締役(監査等委員)
津久井 進 社外取締役(監査等委員)

取締役の選定基準

「取締役に求められる資質」

  1. 1.川崎重工グループの経営理念・ビジョンへの深い理解と共感を有すること。
  2. 2.持続的成長と中長期的企業価値向上への貢献を果たせること。
  3. 3.全社的視点を持ち、そのための豊富かつ幅広い経験、高い見識・専門性を有すること。
  4. 4.取締役会の一員として独立した客観的立場から経営・業務執行を監督できること。
  5. 5.能動的・積極的に権限を行使し、取締役会において、または経営陣に対して、適切に意見を述べることができること。
  1. (注)監査等委員である取締役については、監査の実効性を確保する観点から、当社事業に精通し、または会社経営、法務、財務・会計、行政などの分野における高い見識・専門性を有すること、少なくとも1名に関しては財務・会計に関する十分な知見を有することとする。

社外取締役の独立性判断基準

次の各号に掲げる事項すべてに該当しない場合、独立性を満たすと判断しています。

  1. 1.当該社外役員が、業務執行取締役、執行役、支配人そのほかの重要な使用人として現在在籍している、または過去10年間において在籍していた会社(当該会社が定める重要な子会社を含む)(以下「出身会社」という)が、川崎重工グループと取引を行っている場合に、過去5事業年度の平均取引額が、当社グループおよび出身会社の過去5事業年度の平均売上高の2%を超える。
  2. 2.当該社外役員が、法律、会計もしくは税務の専門家またはコンサルタント(法人格を有する場合は法人)として、当社グループから直接受領する報酬(当社役員としての報酬を除く)の過去5事業年度の平均額が、1,000万円を超える。
  3. 3.当該社外役員が、業務執行役員を務めている非営利団体に対する当社グループからの寄付金などの過去5事業年度の平均額が、1,000万円を超え、かつ当該団体の総収入または経常収支の2%を超える。
  4. 4.当該社外役員の出身会社が、当社発行済株式総数の10%以上の株式を保有する主要株主である。
  5. 5.当該社外役員の二親等内の親族が、前四号に定める条件に合致する者もしくは当社グループの業務執行取締役、執行役、支配人そのほかの重要な使用人である。

取締役会の実効性

取締役の任期/制限

取締役の任期 取締役 1年
取締役(監査等委員) 2年
取締役の兼任の
制限に関する基準
当社取締役会では、当社取締役がほかの上場会社の役員を兼任する場合、当社を除く3社の就任までと兼任数の上限を定めています。なお、取締役の個別の兼務状況を株主総会招集通知や有価証券報告書にて開示しています。

取締役会の実効性評価

当社取締役会は、独立社外取締役を含む取締役が、各自が持つ知見・経験に基づき自由闊達に議論を行い、適切に経営判断を行えるよう努めています。その一環として、2015年度より、毎年、取締役会の実効性を評価・分析しています。

実効性評価の方法

外部専門家からの助言および協力を得て、全取締役への匿名アンケート方式により実施しました。
具体的な評価手順は以下の通りです。

  1. 1.取締役会にて前回評価時に設定した課題への取り組み状況を確認し、今回の実効性評価実施方法(評価方法・主な質問項目など)を決定
  2. 2.全取締役へアンケートを実施
  3. 3.外部専門家にてアンケートを集計・分析し、分析結果について取締役会にて議論
  4. 4.分析結果や取締役会での議論を踏まえ、取締役会にて取り組むべき課題および対応方針を決定

アンケートの質問項目

アンケート質問項目(大項目)は以下の通りで、5段階評価および自由記述形式で実施しています。また、前回アンケートからの継続性を確保しつつ、改訂コーポレートガバナンス・コードの変更点を考慮した内容としています。

  • アンケート質問項目
  1. 取締役会のあり方
  2. 取締役会の構成
  3. 取締役会の運営
  4. 取締役会の議論
  5. 取締役会のモニタリング機能
  6. トレーニング
  7. 株主(投資家)との対話
  8. ご自身の取り組み
  9. 監査等委員会
  10. 総括

評価結果とそれに基づく取締役会議論の結果

アンケートの分析結果から、昨年と同様に取締役会の現状に関する評価は全般的に高く、全設問の相加平均値(自由記述は除く)は昨年と比較して高い結果となりました。

最も評点が高かったのは「取締役会における中長期経営方針に関する議論の充実」に関する項目で、取締役会で定期的に重要課題を議論できる体制であることを評価する声が多く得られました。さらに、最も評点が向上した項目は「リスク管理体制の強化」に関する項目で、取締役会への報告体制の改善に向けた取り組みが評価された結果となりました。
また、昨年度取締役会で課題として取り上げた項目のうち「取締役の人財要件を充足するための取り組み」および「後継者育成計画(サクセッションプラン)の定着化」については引き続き評点の高い結果となり、新しく導入したプロセスの定着化が着実に進められていることが理由として考えられます。
一方、「グループ全体の内部統制システム強化」に関する項目が最も評価が低く、海外子会社も含むグループ全体のコンプライアンス問題や不祥事案件などを監督および統制できる仕組みの強化が望まれる結果となりました。(具体的な取り組み内容は「これまでの課題に対する取り組み」をご参照ください。)

これら結果を踏まえ、今後も改善に向けた取り組みを進めていきます。
(課題および強化に向けた取り組みは「さらなる実効性向上に向けた取り組み」をご参照ください。)

上記分析結果などを踏まえた取締役会での議論の結果、「当社取締役会の実効性は確保されている」と判断します。

これまでの課題に対する取り組み

昨年度のアンケート結果より、課題として取り上げた5項目の取り組み状況については以下の通りです。

  1. 1.取締役会の人財要件を充足するための取り組み
    ジェンダー・人種・国籍など属性の多様性(デモグラフィック・ダイバーシティ)および、物事の見方・考え方の多様性(コグニティブ・ダイバーシティ)の両面から人財を充足するという方針のもと、次期取締役の選任を行いました。スキル・マトリックスを整理したことにより、事業戦略や取締役会のバランスを考慮した人財の選任方法も定着しつつあり、引続き状況に適した人財の確保に向けた取り組みを継続していきます。
  2. 2.後継者育成計画(サクセッションプラン)の定着化
    社長・副社長・カンパニープレジデント・執行役員を選抜していく人財登用プロセスについては改良を重ねることで仕組みが確立しつつあり、その経過を取締役会へ報告しています。
  3. 3.内部統制システム・リスク管理体制の強化
    内部統制システムで懸念とされた海外子会社の状況確認については、業務監査においてリモート監査手法と実地監査のハイブリッド運用の導入を進めています。また、社長自らが責任者に、各カンパニープレジデントおよび川崎車両・カワサキモータースの社長が副責任者となって、グループ全体で品質管理およびコンプライアンスの強化を推進しており、モニター中に判明した問題は適宜取締役会へ報告し、再発防止策についても取締役会で審議してきました。
    リスク管理体制の強化については、定期的に取締役会へのリスクモニター報告を実施する体制を構築し、定着化を図りました。また、緊急事態発生時の報告のあり方についても、決められた報告ルートおよび報告基準に則り、直ちに取締役へ報告できる体制を整備し運用しています。
  4. 4.中核人財の多様性確保
    「2030年に経営に関わる部長級以上のリーダー・プロフェッショナル層の少なくとも2割超に、女性、外国人、さまざまな職歴を持つキャリア採用者など多様な人財を登用する。」という方針のもと、事業戦略に基づく人財確保を基礎として2022年度は水素事業など重点分野へのキャリア採用を実施しました。また、社内においては女性の中核人財の育成を目的として、幹部研修に女性枠を設けることで女性の活躍を積極的にサポートする体制を構築しました。
  5. 5.取締役会における中長期経営方針に関する議論の充実
    昨年度は「コンプライアンス強化、後継者育成計画、取締役会の多様性、DX戦略、渉外活動の強化、事業改革、企業価値向上のための財務戦略」を重要課題として取り上げ議論しました。

さらなる実効性向上に向けた取り組み

今回の評価結果および取締役会での議論を踏まえ、取り組むべき課題として設定した主な項目は以下の通りです。今後さらなる取締役会の実効性向上に向けた取り組みを進めていきます。

  1. 1.後継者育成計画(サクセッションプラン)の定着化
    今後取り組むべき活動内容は以下の通りです。
    • 現在実施中の人材登用の仕組みを整備し、安定的な運用を確立することにより、引続きサクセッションプランの定着化を図ります。
    • 将来の後継者候補に対する育成施策の仕組化を進め、育成・見極めの実効性を高めていきます。
    • 経営に必要なコンピテンシー(行動特性)の周知徹底を図ることで、全役員への浸透に取り組みます。
    • 取締役会メンバーとの情報共有・議論の場を定期的に設定することで、仕組みおよび運用を強化します。
  2. 2.中核人財の多様性確保
    後継者育成計画を通じて多様な人財の育成を図る仕組みを検討し、具体的なアクションプランも含め取締役会で議論し、当社の経営状況および事業特性に合った多様性を確保すべく取り組んでいきます。
  3. 3.品質管理におけるグループ全体の内部統制システムの強化
    さらなるガバナンスの強化を目指し、今年度は「品質を経営の重要課題」と改めて位置付け、業務プロセスの見直しと品質第一の組織風土醸成、さらには取締役会への報告体制を整備し、子会社も含むグループ全体における内部統制システムの整備・運用評価結果のモニタリングを強化します。
  4. 4.取締役会における中長期経営方針に関する議論の充実
    今年度も引き続き「グループビジョン2030」達成に向けて重要課題に沿ったテーマを選定し、取締役会で議論を実施するとともに、決定した方針を執行側へ展開し、具体的アクションにつなげる取り組みをさらに強化していきます。
    (今年度討議予定の重要テーマ)
    ポートフォリオの見直し、人的資本の充実、ダイバーシティ、中核人財の多様性確保、人財育成方針・社内環境整備、DX推進、知財戦略など

監査

内部監査

内部監査部門である監査部(18名)が、川崎重工グループの経営活動全般における業務執行が法規ならびに社内ルールに基づいて適切に運用されているかなどの監査を定常的に行うなど、内部統制機能の向上を図っています。 監査部長は、個々の監査結果を監査報告書により社長および監査等委員会に報告するとともに、取締役会および経営会議に年2回の総括報告を行っています。

監査等委員会監査

監査等委員会は監査等委員である取締役5名で構成し、このうち3名は当社との取引関係等の利害関係のない社外取締役(東京証券取引所規則の定める独立役員)を選任しています。また、監査の実効性確保のため、社内取締役2名を常勤の監査等委員として選任するとともに、財務報告の信頼性確保のため財務および会計に関する十分な知見を有する監査等委員を配置しています。
なお、社外取締役を含めた全監査等委員は、相互・緊密に情報共有を行い、監査等委員会の監査機能の充実を図っています。
これらに加え、監査等委員会の職務執行を補助するため、監査等委員会室を設置し、専任スタッフを2名配置しています。なお、当該専任スタッフの人事異動・評価等に関しては監査等委員会の事前の同意を得るものとし、業務執行取締役からの独立性を高め、監査等委員会の指示の実効性を確保しています。

常勤監査等委員は、取締役会および経営会議などのそのほか重要な会議へ出席し必要な意見を述べるとともに、監査の環境の整備および社内の情報の収集に努め、内部統制システムの構築・運用の状況を日常的に監視しています。また、収集した社内の情報などについては、適時に社外監査等委員と共有しています。
社外監査等委員は、それぞれの専門的知見に基づき、取締役会および(必要に応じて)経営会議などのそのほか重要な会議へ出席し必要な意見を述べるほか、上記の活動を通して監査に必要な情報の入手に努めるとともに、他の監査等委員と協力して監査の環境の整備に努めています。また、監査等委員会への出席などを通じて常勤の監査等委員との情報共有に努めています。

会計監査

川崎重工は、会計監査人である有限責任あずさ監査法人の財務諸表監査を受けています。監査等委員会は、会計監査人と定期的に会合を開催し、監査計画および監査重点項目の説明や監査結果の報告を相互に行うとともに、情報交換や意見交換を行うなど連携を図っています。なお、監査上の主要な検討事項(KAM)については、会計監査人および取締役・経理部門と緊密に連携の上、ディスカッションを行っています。


取締役の報酬

取締役(監査等委員および社外取締役を除く)の報酬は、2020年11月に制定しましたグループビジョン2030「つぎの社会へ、信頼のこたえを ~Trustworthy Solutions for the Future~」の実現に向け、次の基本方針に基づくものとしています。

基本方針

「ペイ・フォー・ミッション(企業として成すべきことを成したことへの報酬)」の考え方に基づき、各役員の職責と成果に応じた報酬体系とし、短期に加え、中長期の企業価値の向上への貢献に報いるとともに、株主をはじめとするステークホルダーとの価値共有を実現します。

取締役(監査等委員・社外取締役を除く)の報酬

取締役の報酬は、「基本報酬」、「短期インセンティブ型報酬」、および「長期インセンティブ型報酬」で構成し、「基本報酬」および「短期インセンティブ型報酬」は金銭で支給します。また、「長期インセンティブ型報酬」は、株主との利益・リスクの共有を図るとともに、中長期的な企業価値向上へ貢献するインセンティブを高めることを目的として、業績連動型株式報酬とします。
なお、「長期インセンティブ型報酬」においては、対象取締役が当社に損害を与えたことに起因して解任されまたは辞任した場合等一定の場合には、取締役会の決議により、付与されていたポイントの全部または一部を失効させることができます。
各報酬の構成比率は、前事業年度のグループ連結業績が目標とする水準を達成し、かつ各取締役が設定した前事業年度に係る目標の達成度が100%の場合に、おおむね「50%:30%:20%」となるよう設定します。

報酬水準

報酬水準は他社の状況および外部専門機関による役員報酬調査データを勘案の上、適切な水準となるよう設定しています。取締役社長執行役員の報酬を100とした場合の役位別の報酬水準はおおむね以下の通りです。

取締役会長 87
取締役社長執行役員 100
取締役副社長執行役員 65
取締役常務執行役員 44

取締役報酬の構成(監査等委員・社外取締役を除く)

支給方法   内容
基本報酬(固定) 金銭 各取締役のミッションに基づいて個々のグレードを定め、これに応じた報酬とします。
短期インセンティブ型報酬(業績連動) 金銭 単年度の業績目標の達成度等に応じた業績連動報酬とし、グループ連結業績および各取締役の目標達成度に基づき決定します。グループ連結業績の指標は、単年度の業績目標の着実な達成と株主との価値共有を促すため、親会社株主に帰属する当期純利益(以下「当期純利益」)とします。
当期純利益に応じた支給率は下記①、目標達成度の詳細は下記②の通りです。
長期インセンティブ型報酬(固定+業績連動) 株式 株式交付信託の仕組みを活用し、在任期間に応じて付与されたポイント(固定付与分)、および各対象取締役の目標達成度に応じて付与されたポイント(業績反映分)に基づき、原則として取締役退任時に当社株式の交付および当社株式換価処分金相当額の金銭の給付を行います。付与するポイントには固定付与分と業績反映分を設け、固定付与分については在任期間に基づき一定数の株式を付与することで株主との価値共有を図ります。また、業績反映分については、各対象取締役の目標達成度に基づき株式を付与することで中長期的な企業価値の向上へのインセンティブとします。各対象取締役の目標達成度は、各対象取締役が前事業年度に設定した全社および管掌組織・担当業務における中長期的課題に対する目標の達成度とします。
固定付与分と業績反映分の比率は、目標の達成度が標準的な水準であった場合に「50%:50%」となるよう設定しています。なお、当面は固定付与分と業績反映分の比率を「50%:50%」としますが、将来的には中長期的な企業価値向上へのインセンティブを高めていくため、業績反映分の比率を高めていくこととしています。目標達成度の詳細は下記②の通りです。

取締役の報酬構成比

取締役の報酬構成比
  • 前事業年度のグループ連結業績が目標とする水準を達成し、かつ各取締役が設定した前事業年度に係る目標の達成度が100%の場合

① 親会社株主に帰属する当期純利益に応じた支給率

当期純利益 支給率 (%)
0未満 -
0~250億円未満 0~45
250億円~450億円未満 50~95
450億円~700億円未満 100~195
700億円以上 200~

② 目標達成度

目標設定

取締役は全社および管掌組織・担当業務における短期的課題・中長期的課題に対して目標を設定し、その達成度を短期インセンティブ型報酬、長期インセンティブ型報酬に反映します。なお、設定する目標は、業績に関する重要な財務指標に加え、SDGs達成に向けた取り組み、従業員エンゲージメント向上に向けた取り組みなどの非財務指標を含むものとします。短期的課題・中期的課題に対する目標は以下の通りで、それぞれ、その実現に向けて各取締役が実行するアクションおよび達成水準を設定します。

  • 短期的課題に対する目標:当事業年度において実現すべき目標
  • 中長期的課題に対する目標:グループビジョン2030で定めた2030年に目指す将来像を踏まえて実現すべき目標

目標達成度と評価方法

取締役が設定した目標は、毎期末に評価を行った上でその達成度を報酬へ反映します。各取締役の評価は次の方法で決定します。

  • 社長:報酬諮問委員会の委員である社外取締役全員が共同で、社長との個別面談を実施した上で、当該社外取締役の協議により決定
  • 副社長:報酬諮問委員会の委員である社外取締役全員が共同で、副社長との個別面談を実施した上で、当該社外取締役および社長の協議により決定
  • 上記以外の取締役:社長が副社長と共同で個別面談を実施した上で、副社長との協議により策定し、報酬諮問委員会の審議を経て決定

監査等委員・社外取締役の報酬

職務の独立性という観点から業績連動を伴わない固定報酬としています。

報酬決定方法

取締役(監査等委員を除く)の報酬は、あらかじめ株主総会で決議された報酬等の範囲内で、過半数を社外取締役で構成し、かつ議長を社外取締役とする報酬諮問委員会の審議を踏まえ、取締役会決議により決定しています。
取締役会決議により、各取締役の個別報酬の決定を代表取締役社長執行役員に一任することがありますが、その場合も、取締役の報酬等の額またはその算定方法の決定に関する方針に従い、報酬諮問委員会での審議を踏まえて決定することとしています。 監査等委員の報酬は、監査等委員である取締役の協議により決定しています。

  • 2022年度以降の実績を基礎とする業績連動報酬については、IFRS(国際会計基準)の適用に伴い、短期インセンティブ型報酬の評価指標を次の通り置き替える旨を、2023年3月31日開催の取締役会で決定しています。
    日本基準「当期純利益」 → 国際会計基準「当期利益」
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