液化水素運搬船「すいそ ふろんてぃあ」が「シップ・オブ・ザ・イヤー2021」を受賞

2022年07月25日

IMG_5719.jpg(左から)船舶海洋ディビジョン 村岸特別主席 、原田水素戦略本部長、日本船舶海洋工学会 藤久保会長、橋本社長、今村船舶海洋ディビジョン長

川崎重工が開発・建造した世界初の液化水素運搬船「すいそ ふろんてぃあ」が、日本船舶海洋工学会主催の第32回シップ・オブ・ザ・イヤーにおいて、大賞である「シップ・オブ・ザ・イヤー2021」を受賞しました。本賞は、毎年日本で建造された話題の船舶の中から、技術的・芸術的・社会的に優れた船を選考して与えられるもので、国内造船業界において最も栄えある賞です。

「すいそ ふろんてぃあ」は、HySTRA(※1)によるNEDO(※2)の助成事業「未利用褐炭由来水素大規模海上輸送サプライチェーン構築実証事業」において実施した、褐炭由来の水素を液化水素運搬船で日豪間を海上輸送・荷役する実証試験に用いられ、202112月に日本を出港、20221月に豪州に到着、褐炭から製造した水素を積荷し、20222月に日本に帰港しました。

今回の受賞は、燃焼時にCO2を排出しない次世代エネルギーとして期待される水素を、-253℃で液化し気体の1/800の体積にして運ぶ液化水素運搬船のプロトタイプとして世界に先駆けて開発・建造された船である点、ならびに、豪州からの水素の運搬に成功しており、今後の大型運搬船への発展が期待される点が評価され、審査委員会では圧倒的多数で大賞に推薦されました。

この「すいそ ふろんてぃあ」の開発を通じて得た液化水素のハンドリング、リスクアセスメント、安全対策などの開発設計技術は、現在取り組んでいる水素の大量輸送を実現するための船「16万㎥型液化水素運搬船」の開発にも活かされており、20224月に日本海事協会より基本設計承認を取得しました。

今後も当社は、天然ガスや石油のように、水素が当たり前に使われる未来を実現すべく、「すいそ ふろんてぃあ」の開発で培った技術やノウハウを活かして、さまざまな企業と協力して次世代のエネルギーである水素を「つくる、はこぶ・ためる、つかう」サプライチェーンを構築します。

1 HySTRA:
技術研究組合 CO2 フリー水素サプライチェーン推進機構。CO2フリー水素サプライチェーンの構築および商用化に向けて、褐炭を有効利用した水素製造から、輸送、貯蔵に至るまでの技術確立と実証を主目的として、岩谷産業、川崎重工、シェルジャパン、J パワーの 4 社で設立。その後、丸紅、ENEOS、川崎汽船が参画。
2 NEDO:
国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構 (New Energy and Industrial Technology Development Organization)

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■日本船舶海洋工学会主催 第32回「シップ・オブ・ザ・イヤー」について
https://www.jasnaoe.or.jp/soy/2021.html

■開発秘話(ANSWERS ~脱炭素社会の実現へ。世界中で加速する水素エネルギー開発~)
https://answers.khi.co.jp/ja/energy-environment/20210731-j02/

■過去のプレスリリース

世界初、液化水素運搬船「すいそ ふろんてぃあ」が進水(20191211日)
https://www.khi.co.jp/pressrelease/detail/20191211_1.html

世界初の液化水素運搬船向け「海上輸送用液化水素タンク」の搭載が完了(202039日)
https://www.khi.co.jp/pressrelease/detail/20200309_1.html

世界最大容積の大型液化水素運搬船用貨物格納設備を開発(202156日)
https://www.khi.co.jp/pressrelease/detail/20210506_1.html

液化水素運搬船「すいそ ふろんてぃあ」が日本海事協会から船級を取得(2021123日)
https://www.khi.co.jp/pressrelease/detail/20211203_1.html

世界初、褐炭から製造した水素を液化水素運搬船で海上輸送・荷役する実証試験の完遂式典を開催(202249日)
https://www.khi.co.jp/pressrelease/news_20220409_1.pdf

160,000㎥型 液化水素運搬船の基本設計承認を取得(2022422日)
https://www.khi.co.jp/pressrelease/detail/20220422_1.html