太平洋セメント株式会社向けにセメント廃熱発電設備を納入~当社最新鋭の高効率廃熱回収ボイラ「VEGA®(ベガ)ボイラ」を国内初納入~

2022年10月31日

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納入したVEGA®ボイラ

川崎重工は、太平洋セメント株式会社(以下、太平洋セメント)埼玉工場にセメント廃熱発電設備を納入しました。

今回納入した設備は、セメント製造の焼成工程で発生する未利用の廃熱エネルギーを用いて効率的に発電を行い、工場の省エネルギー化を図るもので、当社グループ製の廃熱回収ボイラと蒸気タービン発電設備などで構成されます。廃熱回収ボイラには当社最新鋭のVEGA®ボイラが国内で初めて採用され、当社は設備全体の設計、機器の供給、据付工事、試運転などを完遂しました。本設備の発電出力は約8MW(定格7,850kW)で、廃熱エネルギーを利用して発電した電力を工場内へ供給することで、購入電力量の低減と年間約23,000トンの二酸化炭素(CO2)排出量の削減を実現します。

2000年頃からセメントの製造には、木くず、廃プラスチック、汚泥、下水汚泥焼却灰、都市ごみ焼却灰などの代替原燃料が多く活用されるようになり、原料の付着性が高まっている事から、廃熱回収ボイラにはより強力な除塵性能が要求されています。またセメント工場のレイアウト上の制約により、狭隘な敷地に廃熱発電設備を設置する事が増えてきています。この様な状況のなか、川崎重工は構造がよりコンパクトで、かつ熱エネルギー回収効率の高い新型の廃熱回収ボイラ(VEGA®ボイラ)を開発し、現在、世界で37台が稼働中です。今回この新型廃熱回収ボイラが日本国内で初めて稼働しました。

業界のリーダーでグローバルに事業を展開する太平洋セメントは、CO2排出量削減、代替燃料のさらなる活用を推進しています。今回の採用は、太平洋セメントによる厳格な審査において、CO2排出の削減と代替燃料利用の促進の両方を達成できる当社製の廃熱発電設備の性能および経済性が高く評価されたものです。

世界的に地球温暖化防止対策が急がれる中で、セメント廃熱発電設備をはじめとする省エネルギー・CO2削減製品に対する需要は、先進国・発展途上国の垣根なく増加すると予想されています。当社グループは1980年に日本国内向けに初めてセメント廃熱発電設備を納入して以来、世界のリーディングカンパニーとして、ドイツ、韓国をはじめ、世界14ヶ国のセメント工場向けに計270基の納入実績を有しています。今後も引き続き、省エネルギー・CO2削減を実現する製品の開発・販売を積極的に展開し、持続可能な社会の実現に貢献していきます。

VEGA®ボイラ(Vertical Exhaust Gas Advanced)ボイラ:
画期的な伝熱管及び除塵効果の高いハンマリング装置を採用した、従来型PHボイラとは全く構造の異なる縦型PHボイラ

VEGA®ボイラの特長】

1. コンパクト化による重量と設置面積の削減
従来型と比べ本体重量を約50%、設置面積を約40%削減。
2. 据付工期短縮
伝熱管のモジュールブロック化により、据付工事期間を約25%短縮。
3. 誘引ファンの動力低減
ボイラ内のガス圧力損失が従来型から約75%低減となり、誘引ファンの動力低減により更なる省エネ効果。
4. 高い除塵性能
伝熱性能向上に寄与する除塵効果の高いハンマリング装置の採用。木くず、廃プラスチック、汚泥、下水汚泥焼却灰、都市ごみ焼却灰などの代替原燃料由来の付着性の高いダストが大量に含まれる排ガスからも効果的かつ長期間に渡り安定的に熱回収が可能。

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■参考リンク

・太平洋セメントより新型セメント廃熱発電設備を受注 新開発の「VEGA®」ボイラ、国内で初採用(20200121日)

https://www.khi.co.jp/pressrelease/detail/20200121_1.html

・高効率排熱ボイラ「VEGA®」ボイラ、累計受注50台を達成 (20220310)

https://www.khi.co.jp/pressrelease/detail/20220310_1.html

・製品紹介ページ セメント排熱発電設備

https://www.khi.co.jp/energy/boiler/cwhrpg.html

・ドイツ向けセメント排熱発電設備を受注(カワサキプラントシステムズ)(20100709日)

https://www.khi.co.jp/pressrelease/detail/c3100709-1.html

・世界最大出力のセメント排熱発電設備を韓国で完工(20181015日)

https://www.khi.co.jp/pressrelease/detail/20181015_1.html