蒸気タービン

当社の発電用蒸気タービンは開発から製造までを社内で完結しており、「完全自社技術」が最大の特徴です。さらに、当社が納入する発電用蒸気タービンは「一品一様」のオーダーメイド設計。お客様のニーズを最適化した発電用蒸気タービンを納入可能です。
納入実績は、電力会社などの発電事業者や、製鉄・製紙・石油化学・製糖・都市ゴミ焼却工場といった自家発電を持つ各種工場など多岐にわたります。近年ではカーボンニュートラルの流れの中で、当社の発電用蒸気タービンは活躍の場が広がり、新エネルギー事業者のバイオマス発電所にも導入されています。また、発電出力ごとの納入実績は600kW〜151,500kWの広範囲にわたり、利用目的に合わせて大小様々な蒸気タービンを製造可能です。
高効率と安定稼働を実現する
川崎重工業の発電用蒸気タービン
1956年(昭和31年)以来、当社は兵庫県神戸市の工場で発電用蒸気タービンを製造しています。日本国内のみならず世界のお客様の課題解決に貢献してきました。韓国・台湾・フィリピン・インドネシアなどのアジア、ブラジルなどの中南米、そしてアフリカでも納入実績があります。

環境配慮 / 脱炭素社会に向けた取り組み
高効率かつ設備運用に最適化した蒸気タービンの導入は省エネルギーの推進やカーボンフットプリントの削減につながります。当社は稼働実績やアフターサービスの側面が高く評価されており、数多の更新案件を受注しています。
製紙工場
納入先 | : | 日本製紙株式会社 草加工場/埼玉県草加市 |
受注内容 | : | 5.5MW級蒸気タービン発電設備1基(2025年稼働予定) |
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2002年に当社が納入した抽気復水式の発電用蒸気タービンについて、抽気背圧式への切り替えを提案した事例です。これにより、タービン通過後の蒸気の全てが製紙プロセスで利用可能になるため、熱と電気の最適なエネルギーバランスを実現。さらに、近隣の日本製紙グループの工場にも蒸気を送れるため、企業グループ全体での省エネルギーと脱炭素の推進に貢献しました。
都市ゴミ焼却工場
納入先 | : | 達和鹿草環保股份有限公司 嘉義縣鹿草清掃工場/台湾・嘉義県 |
受注内容 | : | 28MW級蒸気タービン発電設備1基(2023年稼働) |
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高効率化を目的に、2000年に当社が納入した発電用蒸気タービンを更新した事例です。この発電用蒸気タービンは都市ゴミの焼却から生じた熱で発電するために活用されており、最新の設備に更新するだけで発電効率が向上し、売電量の増加を実現しました。カーボンフットプリントの削減にも貢献しました。
バイオマス発電所
納入先 | : | 株式会社エフオン新宮 木質バイオマス発電所/和歌山県新宮市 |
受注内容 | : | 18MW級蒸気タービン発電設備1基(2022年稼働) |
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木質チップを燃料とするバイオマス発電所に発電用蒸気タービンを納入した事例です。環境プラントが専門の荏原環境プラントから受注した事例で、同社から受注したバイオマス発電所向けの蒸気タービン発電設備としては6件目に当たります。このバイオマス発電所は「再生可能エネルギーの固定価格買取制度(Feed-in Tariff)」を活用しており、一般送配電事業者を通じて、発電した電気を電力の需要者に供給しています。
納入できる主な発電用蒸気タービンの方式
あらゆる方式の発電用蒸気タービンを納入できます。現在の設備・課題に合わせて、ヒアリングをもとに最適な方式をご提案します。
① 電気の供給が目的
復水式蒸気タービン
蒸気の圧力を高真空域まで高める方式です。比較的に大規模な発電出力を実現できる点に特徴があります。さらに、大量の蒸気を扱える直結式と、設備のコンパクト化を図れる減速式の2種類に分けられます。
〈定格出力〉 | 減速式:10MW〜40MW / 直結式:20MW〜180MW |
〈入口圧力〉 | 0.2MPaG〜14MPaG |
〈入口温度〉 | 566℃まで |


再熱式蒸気タービン
タービンを通過した後の蒸気を再加熱してからタービンに送る方式です。このような手順を踏むことで発電効率を改善できる場合があるほか、水滴がタービンに与える損失を軽減可能です。
〈定格出力〉 | 170MWまで |
〈入口圧力〉 | 17MPaGまで |
〈入口温度〉 | 600℃まで |


② 電気と蒸気の供給が目的
抽混気復水式蒸気タービン
タービンの中間段落からも蒸気を取り出せる方式です。出力に応じ、直結式と減速式のいずれかを提案します。また、タービンの中間段落に低圧の蒸気を送り込めるため、プラントで生じた余剰蒸気などを発電に活かせます。さらに、蒸気を取り出したり送り込んだりする部位は、数や位置を調整可能です。
〈定格出力〉 | 減速式:10MW〜40MW / 直結式:20MW〜180MW |
〈入口圧力〉 | 0.2MPaG〜14MPaG |
〈入口温度〉 | 566℃まで |


抽気背圧式蒸気タービン
発電よりも蒸気の利用を優先する方式です。タービン通過後の蒸気を利用するだけでなく、中間段落の複数箇所から蒸気を取り出せるほか、それぞれの圧力を変えることも可能で、出力に優れた直結式とコンパクトな減速式のいずれかを選べます。
〈定格出力〉 | 減速式:10MW〜40MW / 直結式:20MW〜90MW |
〈入口圧力〉 | 0.2MPaG〜14MPaG |
〈入口温度〉 | 566℃まで |


川崎重工業の発電用蒸気タービンが
多様な産業で活躍当社の納入実績は、幅の広さが特徴です。発電用蒸気タービンで、様々な業界の課題解決に貢献しています。
発電所
発電所のお客様が求める高水準の発電効率を実現できることから、様々な発電所に発電用蒸気タービンを納入しています。近年では、バイオマス発電やコンバインドサイクル発電など先端的な発電所の納入実績を伸ばしているほか、小規模発電事業者の課題解決にも貢献しています。
製鉄所
複雑なリクエストにも柔軟に応じられるため、製鉄所にも数多くの発電用蒸気タービンを納入しています。優れた発電効率の実現はもちろん、異なる条件の電気・熱を様々な生産プロセスにそれぞれ供給するなど最適な課題解決をご提案します。
製紙工場
膨大な蒸気の安定供給と自家発電の両立を、当社の発電用蒸気タービンが実現。既存設備と運用実態に基づいて設備の最適化をご提案します。
石油化学工場
生産プロセスから生じる熱を自家発電に活かすため、高効率の発電用蒸気タービンをご提案しています。カーボンフットプリントの削減につながるだけでなく、電力供給の要となりうる設備を実現可能です。
都市ゴミ焼却工場
当社の発電用蒸気タービンは、都市ゴミ焼却工場の自家発電へも適用可能です。都市ゴミから生じる熱を発電に利用するために、不安定な熱源に最適化した設備をご提案しています。
製糖工場
導入・運用・維持にかかるコストを抑える目的で、シンプルな設計の発電用蒸気タービンをご提案しています。稼働の頻度が低い場合でも、最適な費用対効果を実現可能です。
安定稼働を支えるための各種サポートサービス
最適な設備の安定稼働を実現するために、各種サポートサービスをご提供しています。
スペア/アップグレードパーツ
消耗品の安定供給で、円滑なメンテナンスを支えています。また、ベアリングやブレードなど部品レベルでの改善も可能です。「完全自社設計」と「国内製造」の強みを、安定稼働の実現に活かしています。
テクニカル・アドバイザーによるフィールドサービス
熟練のテクニカル・アドバイザーを4年に1度の法定点検に派遣しており、保守・管理についてのアドバイスを提供しています。また、法定点検を補間するための簡易点検にもテクニカル・アドバイザーを派遣可能です。なお、テクニカル・アドバイザーの派遣のほか、部品供給やメンテナンスについてはご要望をいただき次第、迅速に対応しています。
更新・改造による既存設備の最適化を提案
当社の稼働実績やアフターサービスはお客様から高い評価を受けています。このため、過去に発電用蒸気タービンを納入したお客様から継続的な取引をいただいており、数多の更新・改造を手がけてきました。たとえば、既存設備の基礎部分を活かした更新や、余剰蒸気の利用を目的とした蒸気タービンの追設など、お客様の運用実態を踏まえてご提案しています。
品質保証(ISO9001 Certificate / ASME U STAMP / ISO14001 Certificate)
ISO9001やASME STAMPなど、品質管理の国際規格について認証を取得済みです。また、環境配慮にも注力しており、ISO14001も取得しています。
川崎重工業の独自技術
より良い課題解決とさらなる挑戦を成し遂げるため、技術開発を積極的に進めています。
反動式蒸気タービンの性能改善に自動最適化アルゴリズムを活用

反動式の発電用蒸気タービンを開発するさい、最適な翼の形状を決定するために「自動最適化アルゴリズム」と呼ばれる計算アプローチを活用しています。強度などの制約条件を満たしつつ、発電効率を最大化できる翼形状を見つけることが可能になったので、従来の開発手法に比べると各段落の効率が約0.6ポイント向上しました。また、自動最適化アルゴリズムを活用すれば、設計と評価を繰り返すための手間が大幅に削減されます。このため、発電用蒸気タービンの開発・改造をより迅速に進めることが可能になりました。
自動最適化アルゴリズムの適用で低圧段翼を高効率化

発電用蒸気タービンの低圧段翼は、性能を左右する重要なパーツです。一方で、タービン全体の中でも低圧段翼には大きな負荷がかかります。このため、低圧段翼の高効率化は、制約条件を厳密に満たす必要があるため、技術的な挑戦が求められる領域です。そこで、自動最適化アルゴリズムを低圧段翼に適用したところ、この段落について約1.0ポイントの効率向上を実現。また、最適解を複雑な計算で求める手間が削減されたことで、開発・改造の生産性が大幅に改善しました。
導入実績
川崎重工業の発電用蒸気タービンは国内外の様々な産業で活用されています。
石油化学工場
納入先 | : | Petron Corporation バターン精油所/フィリピン・バターン州 |
納入内容 | : | 22.2MW級蒸気タービン発電設備2基(2022年納入) |
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フィリピン最大の精油所に発電用蒸気タービンを納入した事例です。当社が以前に手がけた35MW級の発電用蒸気タービン4基が稼働しているなか、新たに2基を納入。過去の実績がお客様から高評価を受けたことで、さらなる受注につながりました。当社が納入した合計6基の発電用蒸気タービンは連動しており、自家発電設備として安定稼働を継続しています。
都市ゴミ焼却工場
納入先 | : | 翰陽科技綠能股份有限公司 清掃工場新設プロジェクト/台湾・新竹県 |
納入内容 | : | 23MW級蒸気タービン発電設備1基(2025年稼働予定) |
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台湾の都市ゴミ焼却工場に発電用蒸気タービンを納入した事例です。都市ゴミの焼却から生じた熱を発電に有効活用するための設備で、生み出した電力は工場内で利用されるほか、余剰電力は外部への売電が予定されています。なお、台湾の都市ゴミ焼却工場向けの発電用蒸気タービンでは、4件目に当たる事例です。これまでの稼働実績やアフターサービスが高評価を受けており、台湾での連鎖的な受注に繋がっています。
化学工場
納入先 | : | アサヒマス・ケミカル チレゴン工場/インドネシア・バンテン州 |
納入内容 | : | 150MW級蒸気タービン発電設備2基(2017年稼働) |
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台湾のプラント建設大手・台塑重工公司から発電用蒸気タービンを受注した事例です。AGCグループのインドネシア子会社の化学工場に、当社としては最大規模の出力の発電用蒸気タービンを納入しました。納入先の工場は生産能力の増強を進めており、これに伴う電力コストの削減と環境負荷の低減に当社が貢献しました。
社会情勢やビジネス環境が変遷するなか、発電用蒸気タービンの開発や販売を通じてお客様の課題解決に貢献してきました。この先も「完全自社設計」の強みを活かした「一品一様」の発電用蒸気タービンで事業の成長を後押しします。
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