介護施設の現場改善を支援する「介護DXパッケージモデル」を開発

~ 生産性とケアの質向上を実証にて確認 ~

2026年05月18日

川崎重工は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(以下、AMED)の令和6年度「介護DXを利用した抜本的現場改善事業」(以下、本事業)において、デジタル技術の活用による機器導入や現場オペレーションの改善効果を定量的に評価する仕組みとして「介護DXパッケージモデル」(以下、本モデル)を開発しました。また、全国の様々なタイプの介護施設の協力のもと、業務課題の特定と改善を目的とした実証を行い、本モデルの有効性を確認しました。

本モデルは、介護現場における「課題調査・分析」、「課題抽出」、「機器の選定・導入」、「活用・定着の支援」、「改善効果・投資効果の明示」までの一貫した伴走支援をするものです。「課題調査・分析」や「改善効果・投資効果の明示」のプロセスでは、当社が有するデジタル技術である屋内位置情報サービス「mapxus Driven by Kawasaki™ 」を活用した介護行動計測により、効率的かつ定量的に評価可能な手法を確立し、従来の属人化したコンサルティング手法のデジタル化を図ります。

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当社が開発した「介護DXパッケージモデル」のイメージ

当社は、本事業において、地域や種類の異なる介護施設で約8か月間にわたり、本モデルを用いた課題の特定と改善に取り組み、介護現場の改善効果と介護機器等の投資判断の両面で有効性があることを確認しました。

<介護現場の改善効果>

実際の介護施設で本モデルを活用することにより、納得感が伴った成功体験を介護現場の職員が得ることで、既存機器の活用のみならず、新たな介護テクノロジーの導入・定着を促進しました。

既存機器の効果可視化による活用の定着化(IoT機器の活用定着化により事務作業時間を低減したケース)
本モデルを用い、既存機器(IoT機器等)の導入効果を測定、分析した結果、日中の事務作業時間が大幅に低減に貢献していることを可視化。これにより、IoT機器の活用が進み、職員の休憩時間が増加するなど働き方改革が推進され、さらに、利用者と接して介護を行う直接的介護(食事・排泄・入浴・会話など)の時間拡充を実現。

news_260518-2.jpg 今回の実証にて確認した直接的介護時間の拡大

現場課題に合致した介護機器の新規導入と活用の実現(機器導入により移動介助の負担を軽減したケース)
本モデルを用いて介助業務における課題を特定し、課題に合致した適切な移動介助機器の導入を支援するだけで はなく、導入後の利用者・職員双方の身体的負担が軽減できていることを確認。介護現場での効率的かつ継続的な活用体制を構築。

<施設の経営判断をサポートする投資効果の明示>

本モデルにより、これまで把握することが難しかった介護機器等のテクノロジーの導入効果を費用対効果として可視化し、導入・運用に関わる経営判断を支援する定量的データを提示しました。

導入機器により創出される費用対効果の明確化(巡回業務の効率化を投資効果として可視化したケース)
介護機器(職員用インカムおよび利用者の見守りセンサ)の導入により、夜間の巡回業務の効率化や入浴利用者の交代の円滑化を実現。これにより間接業務時間において合計約600時間/年の業務改善を達成し、120万円/年(職員時給を2000/時とした場合)に相当する費用対効果の創出を可視化。

今後は、介護DXパッケージを構成する各支援プロセスのデジタル化と効率化を進め、再現性の高い現場改善支援を実現することで、全国の介護現場への横展開と継続的な改善に貢献していきます。あわせて、本事業で開発した介護DXパッケージモデルの社会実装により、職種間でのタスクシェアやテクノロジーとのワークシェアを支援するとともに、介護施設と機器メーカーの連携基盤を整備することで、医療・介護従事者が安心して働ける環境と、利用者が質の高いケアを受けられる持続可能な介護環境の実現に貢献してまいります。

<本事業の概要>

1)事業名:令和6年度介護DXを利用した抜本的現場改善事業

2)実施日時:2025年8月18日~2026331

3)事業課題名:

A.「介護テクノロジーの定量的改善および投資効果を提示する機能を有する介護DXパッケージモデルの開発 ―愛知県・福岡県・東京都・北海道―」

<実証施設>

株式会社アズパートナーズ(介護付有料老人ホーム アズハイム神宮の杜)

株式会社ナンブ(ハートケアヴィレッジなんぶの郷 有料老人ホーム ハーモニー)

株式会社ノアコンツェル(サービス付き高齢者向け住宅 ノアガーデン コニーズバレー)

社会福祉法人そよかぜの会(特別養護老人ホーム りんごの丘)

B.「介護テクノロジーの定量的改善および投資効果を提示する機能を有する介護DXパッケージモデルの開発 ―兵庫県・大分県・高知県・岡山県―」

<実証施設>

医療法人恕泉会(介護老人保健施設 ピアハウス高知)

社会福祉法人大翔会(特別養護老人ホームGreenガーデン南大分)

社会福祉法人一耀会(老人福祉施設 うららか)

西日本プロパティーズ株式会社(介護付有料老人ホーム ディアージュ神戸)

4)実施内容:一般社団法人日本ノーリフト協会との協働により、当社独自の屋内位置情報技術を活用した介護DXパッケージモデルにより介護テクノロジーの導入・活用・定着までシームレスな伴走支援を実施。

※ 川崎重工が提供するWi-Fi電波環境を活用した「屋内」での位置情報と、GPSなどで取得する「屋外」の位置情報と地図情報を併せて、屋内外空間でシームレスな位置情報を提供するサービス
https://www.khi.co.jp/groupvision2030/mapxus.html

<関連プレスリリース>

「介護現場への機器やロボット導入を支援する介護業務支援サービス事業に参入」(202487日)

https://www.khi.co.jp/pressrelease/detail/20240807_1.html

「デジタル技術を活用した「介護DXパッケージモデルの開発」が日本医療研究開発機構「介護DXを利用した抜本的現場改善事業」に採択-介護現場の課題・介護テクノロジー導入効果の「見える化」実現へ-」(2025年7月30日)

https://www.khi.co.jp/pressrelease/detail/20250730_1.html

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