ドイツ・ハンブルク港を拠点とする欧州向け液化水素回廊構築へ、3社が共同開発で合意
2026年05月11日

川崎重工は、MB Energy Holding GmbH & Co. KG(MB Energy)およびDaimler Truck AG(ダイムラートラック)と、ドイツ・ハンブルク港を経由した欧州向け液化水素サプライチェーンの構築を目的とする共同開発に関する合意書(Joint Development Agreement:JDA)を締結しました。
本合意に基づき、3社はそれぞれの強みを結集し、ハンブルク港への経済性と信頼性を備えた液化水素サプライチェーンを2030年代初頭に運転開始することを目指し、詳細な技術・事業検討を進めてまいります。
欧州では、脱炭素社会の実現に向けて水素エネルギーへの期待に加えて、ロシア・ウクライナ情勢などを受けたエネルギー安全保障の重要性が一層高まっています。本取り組みでは、海外の水素供給源となり得る地域からドイツへ、効率的で信頼性の高い輸送ルートを構築することで、水素の安定供給を実現し、ダイムラートラックのゼロエミッション車(ZEV)※1をはじめとするモビリティ分野での水素利活用の拡大を目指します。
当社は本合意に加え、2025年9月に締結した「日独連携水素サプライチェーン構築に向けた覚書」※2に基づく検討も継続しており、本合意を合わせて、各社が有する技術やノウハウを結集し、水素関連事業の国際展開をさらに加速させるとともに、世界のエネルギー安全保障の強化と持続可能な脱炭素社会の実現に貢献してまいります。
MB Energyについて
MB Energyグループは、1947年に設立され、ドイツ・ハンブルクに本社を置く独立系の総合エネルギー企業グループです。欧州、米国、シンガポールにおいて事業を展開し、石油製品、LPG、化学品、バイオ燃料の輸入、貯蔵、流通、販売を手がけています。数十年にわたる業界経験と将来を見据えたアプローチにより、MB Energyはグローバルなエネルギー市場において積極的な役割を果たし、将来志向の代替燃料の開発・供給を通じて、低排出燃料への移行を支援しています。1972年以降、MB Energyのタンクターミナル事業部門「enport」はタンク貯蔵ロジスティクス分野で事業を展開しており、ドイツ国内最大級の独立系タンクターミナル運営事業者の一つに数えられています。enportはドイツ、デンマーク、ハンガリーの3か国で13か所のターミナルを所有・運営し、総貯蔵容量は260万立方メートル(cbm)に達します。強固な地域基盤と数十年にわたる運営実績を活かし、enportは欧州におけるエネルギー製品および化学品の安全かつ効率的な取り扱いに貢献しています。
ダイムラートラックについて
ダイムラートラックは、輸送の脱炭素化に向けて、バッテリー電気駆動と水素駆動の両輪による「デュアルトラック戦略」を推進しています。同社は2021年より、燃料電池を搭載した「メルセデス・ベンツ GenH2トラック」のプロトタイプの開発と試験を継続しており、柔軟な長距離輸送における信頼性と性能を実証してきました。2023年には、プロトタイプのGenH2トラックが実走行条件下において、液化水素の満タン1回でドイツ国内1,047キロメートルの走行を達成し、道路輸送における液化水素のポテンシャルを示しました。また、直近では初期の顧客トライアルも完了しており、5台のGenH2トラックからなるフリートが、実際の運行で合計22万5,000キロメートル以上を走破しました。この成功を受け、同一の車両群と新たな顧客による第2段階の試験が現在進行中です。今後、ダイムラートラックはドイツ・ヴェルト工場において、メルセデス・ベンツ NextGenH2トラック・セミトレーラートラクター100台の少量生産を行い、2026年末からの顧客での運用開始を予定しています。同社は、燃料電池技術の大規模な工業化と水素駆動トラックの量産開始を、当初は欧州市場を対象として2030年代初頭に目指しています。
川崎重工について
川崎重工は、「グループビジョン2030」のもと、「エネルギー・環境ソリューション」「近未来モビリティ」「安全安心リモート社会」の3つの注力領域を通じて社会課題の解決に取り組んでいます。水素は、川崎重工の長期成長戦略における中核的な柱です。日本のエネルギー基本計画に沿い、製造・液化・輸送・貯蔵・利用に至る一貫した水素サプライチェーンの構築を、日本・欧州をはじめとする各国の政府や産業パートナーとの連携のもとで推進しています。川崎重工は、産業利用および大型モビリティ向けの大規模・長距離輸送を可能にする液化水素技術のリーディングカンパニーであり、現在、4万立方メートル級の液化水素運搬船の建造に着手しているほか、神奈川県川崎市扇島には5万㎥の液化水素貯蔵タンクを備えたLH₂ターミナルの建設を進めており、これは世界最大級の規模となります。これらは、水素の安定供給とゼロエミッションモビリティの拡大を支える堅固なインフラ基盤を形成するものです。
| ※1 | : | Zero Emission Vehicle CO2や有害な排ガスを出さない車 |
| ※2 | : | 「日独連携水素サプライチェーン構築に向けた覚書」を締結(2025年9月15日) https://www.khi.co.jp/pressrelease/detail/20250915_1.html |





