奈良女子大学と共同で「女性エンジニア養成プログラム」を開催 ~未来への挑戦!エネルギー×モノづくり~

2025年09月25日

川崎重工は、国立大学法人 奈良国立大学機構 奈良女子大学工学部と共同で、「女性エンジニア養成プログラム」として2025年7月31日~8月1日には中高生向けに、8⽉4⽇〜5⽇には大学生向けにワークショップを実施しました。本プログラムは、奈良女子大学が様々な企業とコラボレーションし、エンジニア分野のジェンダーギャップ解消に向けて、理工系職業を目指す女子学生同士の新たな交流を育むイベントとして実施されており、当社も2023年度からサポートしています。

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女性エンジニア養成プログラム(Women Engineers Program)
https://we.nara-wu.ac.jpouterlink

1. 女性エンジニア養成プログラムの開催概要・目的
奈良女子大学では、2022年4月に日本の女子大学として初めて工学部を開設し、各方面から大きな注目を集めました。工学系分野における女性の少なさは、ジェンダーバイアスの象徴とされており、女性エンジニアの不足は社会的にも喫緊の課題となっています。この課題に対する具体的な取り組みとして、奈良女子大学工学部では2023年より、複数の企業と連携して女性エンジニア養成プログラム 「Women Engineers Program」(以下、WE Program)を企画・実施しています。WE Programは、中学3年生・高校生から大学生までを対象としており、工学分野への関心を高めるとともに、将来リーダーシップを発揮できる女性エンジニアの育成を目指した複数のワークショップを開催しています。また、参加者同士や企業との交流を通じて、女性エンジニアのコミュニケーション拠点の形成も図っています。参加費は無料で、交通費・宿泊費も全額支給されるなど、参加者の負担を軽減し、より多くの若い女性が工学分野に触れる機会を提供しています。
2. 川崎重工のワークショップの概要
当社は、2023年度から奈良女子大学のWE Programに参画しており、持続可能な社会の実現に向けた人材育成の一環として、今年度も中高生向けと大学生向けにワークショップを実施しました。そのうち、中高生向けのワークショップ「未来への挑戦!エネルギー×モノづくり」では、次世代育成を目指した当社有志団体である「未来創造本部 みらいほん」が採用部門と連携し、ワークショップの企画、設計、運営を行いました。

ワークショップの内容はこちら
https://we.nara-wu.ac.jp/wp-content/uploads/2025/05/439b7e31116bcdb6cf6068dce57fd1b8.pdfouterlink

中高生向けワークショップ「未来への挑戦!エネルギー×モノづくり」

中高生向けのワークショップは、当社の明石工場内にある技術開発本部(兵庫県明石市)で実施し、20名を超える生徒が参加しました。本ワークショップでは、工場見学を通じて現場のリアルな技術に触れ、ワークショップでは科学的思考法を取り入れた課題解決型の学習を実施。さらに、女性エンジニアとの座談会では、キャリアや働き方についての対話を通じて、将来の自分を重ねるきっかけを提供しました。

ワークショップ① 「理念からロゴへ "自分たちらしさ"を形にする挑戦」

ワークショップ前半では、参加者は仮想の「会社」を立ち上げる設定のもと、企業理念・会社名・ロゴの創造に取り組みました。まず「どんな価値を社会に届けたいか?」をグループで話し合い、理念を言語化。抽象的なテーマに悩みながらも、対話を通じてそれぞれの想いが形になっていきました。続いて、理念を体現する会社名を考案。ユニークな造語やキーワードをもとにしたネーミングが生まれ、笑いや驚きが飛び交いました。最後は、会社名と理念を視覚的に表現するロゴづくり。色や形にこだわりながら、各グループが創造力を発揮しました。発表では、ロゴに込めた意味や工夫を熱心に語る姿が印象的で、理念から形へと価値観を表現するプロセスを通じて、創造力とチームワークを育む貴重な体験を提供しました。

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写真①-1 ロゴ作成説明風景

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写真①-2 ロゴ作成風景

ワークショップ② 「つくる・動かす・考える:風力発電で体験するものづくりの魅力」

ワークショップ後半では、紙コップなどの身近な素材を用いて、参加者自身が風車を製作する風力発電に取り組みました。羽根の枚数や角度、形状などの条件を変化させながら、発電効率の向上を目指す試行錯誤を通じて、ものづくりの本質に触れる構成としました。さらに、科学的思考を育むことを目的に、実験計画法の考え方のもと、限られた時間内で最適な条件を導き出すプロセスに挑戦してもらいました。最終的には、発電した電気を活用し、キットを用いた手のひらサイズの水素ロケットの発射や、電池駆動の鉄道車両模型の走行を体験。「つくる」「動かす」ことの楽しさを通じて、ものづくりの魅力を体感してもらうとともに、課題解決に向けて「考える」ことの意義を学ぶ機会を提供しました。

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写真②-1 風力発電キット一式(一部市販のキット使用)

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写真②-2 ワークショップ②の風景(風車作成)

ワークショップ③ 「工場見学および座談会」

工場見学では、大気中のCO₂を直接回収するDAC(Direct Air Capture)技術や、人と自然な対話ができる自律走行型サービスロボット「Nyokkey(ニョッキー)」など、環境・福祉などの各分野で注目される先進技術を間近に体感。参加者には、技術の社会的意義や仕組みについて理解を深めてもらいました。ワークショップの最後には、女性エンジニアを含めた社員との座談会を開催。研究開発のやりがいや進路選択のエピソード、学生時代の経験など、リアルな声に触れることで、参加者には自分の将来像をより具体的に思い描くきっかけを得てもらいました。

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写真③ 中高生向けプログラム参加者の集合写真

学生へのアンケート結果

今回のイベントでは全国から20名を超える生徒が参加し、イベント終了後には以下のような意見が寄せられました。

「モノづくりをされている企業では黙々と作業や開発をしていて堅いイメージだったのが、すごく面白そうだなと思うようになった」

「理系を選んだけれど、その先の進路などがあまり見えていなかったので今回プログラムに参加してその辺りが少し見えてきた」

「女性エンジニアの方々の話を聞いて(仕事の内容や働き方が)具体的に分かり、自分の将来を決める大切なイベントになった」

「やりがいを持って仕事をされている事が伝わり、考えた物が形になっていく楽しさが実感できた」

「川崎重工という会社に就職したいなと感じた」

「初めての人とコミュニケーションをとりながらの協力や試行錯誤をすることが、こんなに楽しいと思わなかった」

「自分の意見を採用してもらった時や誰かがすごく良い意見を言った時、とても嬉しかった」

ワークショップを終えて

2日間にわたる中高生向けのワークショップを通じて、参加者の方々が真剣に、そして楽しみながら取り組まれている姿が非常に印象的でした。仲間と協力し、試行錯誤を重ねながら課題に挑戦する過程では、観察・仮説・検証といった科学的思考の基本プロセスを自然と体験されていました。また、今回のイベントでの学生同士の交流、工場見学、社員との交流といった経験が、参加者の進路選択やキャリア形成において、現実的かつ主体的な判断を促す基盤となることを期待しています。

当社は今後も、持続可能な社会の実現に向けて、教育機関や行政、地域社会との協働を通じて技術力と人材育成の両面から社会に貢献し、ものづくりの現場から未来を支える取り組みを推進していきます。

【関連サイト】

未来創造本部「みらいほん」について
https://www.khi.co.jp/sustainability/social/contribution/nextgeneration.html

神戸市が開催する高校生限定の海洋人材育成プロジェクト「Ocean's17 enent」にて造船ワークショップを開催
https://www.youtube.com/watch?v=sHzt2K3kwLoouterlink