コージェネ大賞2024 技術開発部門で「理事長賞」「優秀賞」を受賞

2025年02月10日

川崎重工が開発した水素対応のガスエンジンとガスタービンが、コージェネ大賞2024の技術開発部門で、「理事長賞」と「優秀賞」を受賞しました。コージェネ大賞は、一般財団法人 コージェネレーション・エネルギー高度利用センター(以下、コージェネ財団)が主催し、新規性、先導性、新規技術および省エネルギー性などにおいて優れたコージェネレーション・システム(以下、コージェネ)を表彰することにより、コージェネの社会的認知を図るとともに、より優れたコージェネの普及促進につなげることを目的に2012年度より開始した表彰制度です。

当社は、脱炭素社会の実現に向けた水素エネルギーの普及を見据え、水素サプライチェーン(つくる・はこぶ・ためる・つかう)の技術開発を進めています。中でも水素ガスエンジンと水素ガスタービンは、日本の二酸化炭素発生量の約4割を占める発電分野における脱炭素の重要な製品のひとつであり、今回の受賞は、これらの水素利用技術が「つかう」分野での脱炭素化に大きく貢献するものとして、高く評価されたものです。

  1. 技術開発部門 理事長賞

【受賞件名】

水素30%混焼対応 高効率8MW級ガスエンジンKG-18-T.HMの開発

【受賞者】

川崎重工業株式会社

【概要】

「KG-18-T.HM」は、天然ガスに対し体積比で30%まで水素を任意の割合で混合した燃料で運転可能なガスエンジンです。発電出力8MWクラスで世界最高効率を誇る天然ガス焚き高効率ガスエンジン「KG-18-T」をベースに開発しました。天然ガス・水素混焼の両モードを搭載していることから、水素が十分に供給されるまでの間は、天然ガス焚き高効率ガスエンジンとして活用し、水素の普及とともに水素混焼ガスエンジンとして使用することが可能です。
また、今回開発した技術は既設の「KG-18-T」に対してレトロフィット工事と水素供給設備の追設行うことで、水素燃料が利用可能となったタイミングで、水素混焼エンジンとして運用することも可能です。今回実証試験に用いたエンジンも神戸工場の既設「KG-18-T」に水素対応のレトロフィット工事を施し、2024年10月から「KG-18-T.HM」として実証運用を開始しています。

KG-18-T.HM外観
KG-18-T.HM外観
実証設備の外観
実証設備の外観
授賞式の様子
授賞式の様子

  1. 技術開発部門 優秀賞

【受賞件名】

水素専焼 大型ガスタービンコージェネレーションの製品化

【受賞者】

川崎重工業株式会社

【概要】

天然ガス専焼から水素専焼までフレキシブルに運用が可能な「PUC180-H2(20MWクラス)」および「PUC300-H2(30MWクラス)」の大型ガスタービンコージェネを、国内メーカーとして初めて製品化しました。
ガスタービンは天然ガス専焼の燃料ノズルをベースに新たな燃料ノズルを開発し、併せて燃料制御装置および制御ソフトの開発を行い、天然ガス専焼から水素専焼まで任意の割合での燃焼を可能としました。この技術は現在ご使用いただいている天然ガス用ガスタービンにレトロフィット工事を行うことで水素専焼とすることが可能なため、新設だけではなく既設にも適用可能です。なお、本技術は国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)補助事業の成果を含みます。
水素専焼・混焼ともに無負荷から全負荷まで運用可能な特性を活かし、再エネの調整用電源としても活用できるほか、水素専焼・水素/天然ガス混焼・天然ガス専焼とシームレスな燃料切り替えが可能な特長を活かして、水素供給量や経済性を考慮して任意の燃料比率を選択し、CO2削減と経済性・運用安定性のバランスを確保することができます。
当社は、各出力クラスのガスタービン発電装置についても開発を進めており、他クラスでも水素専焼適用機を展開予定です。

PUC180-H2 発電装置
PUC180-H2 発電装置
(長さ17.5m×幅3.5m)
PUC300-H2 発電装置
PUC300-H2 発電装置
(長さ24m×幅4.5m)
授賞式の様子
授賞式の様子

当社は今後も、脱炭素社会の実現に向けて、さらなる水素エネルギー利用技術の開発に取り組んでまいります。

【参考リンク】