環境マネジメント


環境憲章

川崎重工グループでは環境経営活動を推進するため、共有すべき価値観、環境経営活動の原則並びに構成員一人ひとりの日々の行動に求められる指針を盛り込んだ「環境基本理念」と「行動指針」を「環境憲章」として定めています。

環境基本理念

川崎重工グループは「ものづくり」を通じて社会の発展に寄与することを基本に据え、「陸・海・空にわたる基礎産業企業」としてグローバルに事業を展開する中で、地球環境問題の解決を図るため、「脱炭素社会の実現」、「循環型社会の実現」及び「自然共生社会の実現」を目指し、環境に調和した事業活動と地球環境に配慮した自社製品・サービスを通じて、社会の「持続可能な発展」に貢献する。

行動指針

地球環境問題は、人類共通の重要課題と自覚し、環境との調和を経営の最重要課題の一つとして、自主的・積極的にグローバルに取り組む。

  1. 1.生産活動において、省資源・省エネルギー・リサイクル・廃棄物の削減に取り組み、環境への負荷の低減を推進する。
  2. 2.製品企画、研究開発、設計段階において、資材の購入、製造、流通、使用、廃棄の各段階での環境負荷をできる限り低減するよう配慮する。
  3. 3.事業活動による生態系への影響の最小化を図るとともに、生態系の保全に積極的に取り組む。
  4. 4.地球環境問題解決のために、環境保全、省エネルギー、省資源に有効な新技術・新製品を開発し、社会に提供する。
  5. 5.環境関連の法規、規則、協定および関連業界の自主行動計画等を遵守するにとどまらず、必要に応じて自主管理基準を設定し、一層の環境管理レベルの向上に努める。
  6. 6.環境教育・広報活動を通じ、全従業員の地球環境問題への意識の高揚を図り、一人ひとりがライフスタイルの見直しや社会貢献活動への参加を促進する。
  7. 7.環境経営活動に関する環境マネジメントシステムを構築し、定期的に環境経営に関る会議を開催し、見直しを行い、活動の継続的改善を図る。

Kawasaki地球環境ビジョン2050

3つのフリー(CO2・廃棄物・有害化学物質)へ挑戦

川崎重工グループは、地球温暖化の抑制に向けて発効されたパリ協定や、国連により採択された持続可能な開発目標(SDGs)を受け、将来の持続可能な社会の実現に協働して取り組むことを宣言し、2017年に「Kawasaki地球環境ビジョン2050」を策定しました。
2050年に目指す姿である、「CO2 FREE」、「Waste FREE」、「Harm FREE」の3つの大きな目標に挑戦し、地球温暖化の抑制、循環型社会の推進、生物多様性の保全に貢献していきます。

Kawasaki地球環境ビジョン2050

環境経営活動基本計画2023(2023~2025年度)

環境憲章に掲げる環境基本理念および行動指針、グループミッション、グループビジョン2030に基づき、社会ニーズ(ESG投資、情報開示)に応え、環境保全と事業成長の両立、ならびに「Kawasaki地球環境ビジョン2050」のCO2 FREE、Waste FREE、Harm FREEの実現につなげる重点施策として環境経営活動基本計画を策定しています。
2021年までは3年ごとに計画を策定し、その進捗を毎年フォローしていましたが、脱炭素への動き、資源循環、生物多様性など、環境に対する要請事項が刻々と変化していることを踏まえ、2022年から3年先を見据えた計画として策定し毎年見直しています。

CO2 FREE(脱炭素社会の実現)では、当社グループのカーボンニュートラル戦略を環境計画の中で具現化し、2030年の国内事業所におけるカーボンニュートラル実現に向けた動きを進めていきます。
Waste FREE(循環型社会の実現)では、サーキュラーエコノミーへの対応として、サーキュラーエコノミー型ビジネスモデルの検討を進めていきます。
Harm FREE(自然共生社会の実現)では、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)の要求に対応するため、当社グループの事業が生物多様性に与えるマクロの影響調査結果と対策の開示を進めていきます。

CO2 FREE、Waste FREE、Harm FREEの重点施策は、各ページをご覧ください。


環境経営推進体制

川崎重工グループでは取締役会をグループ全体のサステナビリティ基本⽅針と基本計画を審議・決定する最高意思決定機関と位置付けています。
また、取締役会の監督のもと、社長を委員長とする執行側の委員会としてサステナビリティ委員会を設置し、取締役会で定めた基本計画に基づく各種施策を決定し、その進捗状況を取締役会に報告しています。
気候変動に係るリスクと機会を含む環境経営戦略は、グループ全体のサステナビリティ基本方針の一つとして、サステナビリティ委員会にて審議する体制を整え、定期的に取締役会に環境経営に関する活動報告を行っています。

また、環境管理およびエネルギー管理に関する基本的事項を定め、環境経営活動基本計画の事業部門への展開やエネルギーの有効な利用の推進などを目的に、環境管理体制・エネルギー管理体制を定めています。

環境管理体制・エネルギー管理体制

責任者

最高環境管理統括者 代表取締役副社長執行役員 中谷 浩


環境法令遵守

環境法令への対応

環境法令等の遵守および法改正の周知徹底や環境担当者のレベル向上を図るため、「環境法令等遵守連絡会」を適宜開催することで本社環境管理部門を中心とした当社グループの環境担当者と共に環境事故等の未然防止に努めています。
これまでに、2000年以降のEUにおけるELV指令※1、RoHS指令※2、REACH規制※3などの化学物質に対する法規制や、モーターサイクルにおける排ガス規制(EURO 4)などに取り組んできました。
2022年度は準拠法令の改正がありませんでした。今後も継続して適用対象となる法規制に関する情報収集を行います。

  1. ※1ELV指令:廃自動車に関するEU指令(リサイクル・重金属使用制限等)
  2. ※2RoHS指令:電気・電子機器に対する有害物質使用制限に関するEU指令
  3. ※3REACH規制:化学物質の登録・評価・認可・制限に関するEU規制

環境コンプライアンス

当社グループでは、環境法令を遵守した環境管理活動に努めています。         
2022年度に罰金を受ける事例はありませんでした。

また、環境問題を引き起こす事故・汚染や、環境問題に関する苦情の件数はESGデータのページにまとめています。いずれも処置および再発防止策を講じ、解決しました。


環境教育

各種研修の実施

環境経営への理解促進を目的に、グループ従業員向けに各種研修を行っています。

対象者 教育内容(実施形式) 教育実施頻度 2022年度実施結果
幹部職員 環境経営を中心とした内容(Eラーニング形式) 環境経営活動基本計画(3か年計画)策定に合わせて教育内容を改定し、計画期間内に受講

実施:
2023年2月15日~3月31日

受講済:
約4,500名(約95%)

※ 対象者全員に実施

一般従業員 環境経営推進に係る実務的な内容(冊子の配付による) 環境経営活動基本計画(3か年計画)策定に合わせて教育内容を改定し、改定時に全員および以降の入社者に配付

実施:
2022年4月~2023年3月

配布数:
約350部

環境意識の向上

環境意識の向上を目的に、定期的に社内向けの情報発信を行っています。職場だけでなく、地域社会や家庭においても環境に配慮した行動が実践できるよう、社内報「かわさき」への環境関連記事の掲載、環境月間「社長メッセージ」の配信、またイントラネットにおける情報発信(省エネ事例紹介、森づくり活動報告、各事業所の環境活動など)を通じて、継続して啓発活動を行っています。
2023年2月発行の社内報では気候変動に対する川崎重工グループの取り組みに関する記事を掲載しました。アンケート結果では、当該記事が良かった記事の1位に選ばれるなど、関心の高さが伺えました。

有資格者の養成

エネルギー環境マネジメント活動の充実のため、エネルギー環境関連法令で求められている法的有資格者の養成にも力を入れています。直近4年の社内の有資格者数はESGデータで示しています。
また、社内資格としてISO14001の環境管理・監査員養成研修を行っています。2022年度末時点での環境管理・監査員は1,530人です。