ニューヨーク・ニュージャージー港湾局向け新型電車の初編成を引き渡し

2009年07月29日

 

 

川崎重工は、当社の米国現地法人Kawasaki Rail Car, INC.(KRC:ニューヨーク州ヨンカース市)を通じて、ニューヨーク・ニュージャージー港湾局ハドソン横断公社(PATH:Port Authority Trans-Hudson Corp)向け、新型電車(PA-5)の初編成を引き渡しました。

今回引き渡した新型電車は、2005年5月に受注した340両の第1編成8両で、ニューヨークとニュージャージーを結ぶ通勤路線で営業運転されるものです。PA-5電車は、ステンレス車体に信頼性の高い制御装置や空調装置、ドア開閉装置、放送装置などを備え、安全性や快適性に配慮した車両です。

本電車は初編成であることから、兵庫工場で製作から試験までを行いましたが、残りの量産車332両については、車両構体製作をリンカーン工場(米国ネブラスカ州)で、機器取付け・艤装など最終組立、試験をヨンカース工場(米国ニューヨーク州)でそれぞれ行い、順次PATHへ引き渡します。

当社は、1984年にPATHより初めて電車(PA-4)95両の製造と、既存の電車(PA-1、PA-2、PA-3)248両のリハビリ(寿命延長のための改修工事)を受注し、遂行してきました。なお、今回の新型電車の引き渡しにともない、既存の電車(PA-1、PA-2、PA-3)は老朽化のため順次廃棄されることから、2011年の完納によりPATHが保有する電車はすべて当社製に置き換わることになります。

米国では、オバマ政権が打ち出した「グリーン・ニューディール政策」を追い風に、鉄道を含む交通インフラに連邦政府資金の投資が増加する見通しです。また、多くの州や都市で税収を鉄道投資に充てる政策が住民投票で承認されており、今後も北東回廊の都市交通やアムトラックをはじめとする都市間交通の既存車両置き換えや輸送力増強に関するプロジェクトが大幅に増加することが予想されています。すでに、都市部の地下鉄路線の増強・更新や、都市近郊の通勤路線の快適性向上などにともない、地下鉄電車・通勤電車・二階建客車の発注が増加しています。今後とも当社は、高い技術力と信頼性をもとに、環境負荷の少ない交通手段である鉄道車両を国内外に提供していきます。