ニューヨーク市交通局向け地下鉄電車を追加受注

2008年11月10日

 

 

 

 

川崎重工は、ニューヨーク市交通局(NYCT: New York City Transit)より地下鉄電車(R160)140両を追加受注しました。受注金額は約275百万ドル(約270億円)、納期は2010年3月の予定です。

今回の受注は、2002年10月にアルストム社(仏)と共同で受注したベース契約660両(うち当社は260両)に付随するオプション契約(オプション2)382両(うち当社は140両)が行使されるものです。すでに2007年7月、オプション1として260両を追加受注しており、当社のR160受注総数は660両となります。

本プロジェクトにおいて当社は、R160の車両設計および660両の車両製作を担当します。また、台車については、アルストム社製車両を含む、全てのR160車両(1,662両)に当社製の台車が採用されています。

R160地下鉄電車は、ステンレス車体に信頼性の高い制御装置や空調装置、ドア開閉装置、放送装置などを備え、安全性や快適性に配慮した車両です。車両構体製作をリンカーン工場(米国ネブラスカ州)で、機器取付けと最終組立て、試験をヨンカース工場(米国ニューヨーク州)でそれぞれ行い、順次NYCTに納入しています。現在400両以上の当社製車両が営業運転に投入され、車両の信頼性を示す無故障での連続走行距離が契約要求の3倍以上の実績を達成するなど、客先や利用客より高い評価を得ています。

当社は、NYCT向けでは1982年にR62地下鉄電車325両を受注して以来、累計2,079両の受注実績を持ち、R160地下鉄電車の納入が完了すると、NYCT向け地下鉄車両ではボンバルディア社(加)を超えて、当社がトップシェアを占めることになります。今回の受注は、当社のNYCT向けの豊富な納入実績と技術力が高く評価されたものです。

米国では、次期大統領であるオバマ氏が鉄道を含む交通インフラへの公共投資の充実を公約しており、今後も連邦政府資金の投資が増加する見通しです。また、多くの州や都市で税収を鉄道投資に充てる政策が住民投票で承認されており、今後も北東回廊の都市交通やアムトラックをはじめとする都市間交通の既存車両置き換えや輸送力増強に関するプロジェクトが大幅に増加することが予想されています。すでに、都市部の地下鉄路線の増強・更新や、都市近郊の通勤路線の快適性向上などにともない、地下鉄電車・通勤電車・二階建客車の発注が増加しています。今後とも当社は、高い技術力と信頼性をもとに、環境負荷の少ない交通手段である鉄道車両を国内外に提供していきます。

□R160車両の概要
  (1)車種 : 地下鉄電車〔5両1編成、通常2編成(10両単位)で運行〕
  (2)寸法 : 18.325m(長さ)×2.98m(幅)×3.665m(高さ)
  (3)車体素材 : ステンレス鋼

※ NYCTは、ニューヨーク州交通局(MTA: Metropolitan Transportation Authority)傘下の鉄道会社。MTAの傘下には、NYCTのほか、ロングアイランド鉄道、メトロノース鉄道等がある。