ロールス・ロイス社の最新鋭旅客機用エンジン「TRENT1000」の主要部品を初出荷

2005年10月31日

 

 

川崎重工は、ロールス・ロイス社(英国)の最新鋭旅客機用エンジン「TRENT1000」開発初号機用の主要部品である中圧圧縮機(IPC)ドラムを完成し、ロールス・ロイス社のダービー工場に初出荷しました

当社は、最新鋭旅客機用エンジン「TRENT1000」の開発・生産プログラムに参画しており、現在ロールス・ロイス社と共同で開発を進めています。「TRENT1000」は、ボーイング社(米国)が開発中の新型旅客機「787 Dreamliner」(250~300席クラスの中型機)への搭載が決定し、すでに全日本空輸、ニュージーランド航空、ノースウェスト航空、LOTポーランド航空よりエンジン受注を獲得しています。

中圧圧縮機(IPC)ドラム(中圧圧縮機部の回転体)は、8段のチタン合金製ディスクを電子ビーム溶接したもので、最新の設計・製造技術を駆使したエンジンの中核となる部品です。当社は、「TRENT1000」の開発・生産プログラムにおいて、IPCモジュールの設計・製造・組立を担当しており、2005年11月初旬からロールス・ロイス社にて組立が開始される開発試験用エンジン向けにIPCドラムを初出荷しました。今回出荷したIPCドラムを組み込んだ開発用エンジン初号機の試運転は、2006年2月に実施される予定です。
今後は、開発試験用エンジン部品に続き、飛行試験用以降のエンジンに組み込まれるIPCモジュールの組立・納入を2006年中頃に開始します。なお、「TRENT1000」エンジンの型式証明取得は2007年、エンジンが搭載された新型旅客機「787 Dreamliner」の就航は2008年を予定しています。

「TRENT1000」は、推力53,000~70,000ポンドの最新鋭旅客機用エンジンで、すでに開発・生産している4機種の「TRENTシリーズ」の最新モデルとして位置付けられます。「TRENTシリーズ」はこれまで約1,700台の受注実績を持つ同社の主力旅客機用エンジンです。

当社とロールス・ロイス社は、1959年に航空機用エンジン「オリフュース」のオーバーホールに関する技術提携契約を締結して以来、防需航空機用エンジン、旅客機用エンジン、舶用ガスタービンエンジンなどの幅広い分野で緊密な協力関係を築いています。
特に、旅客機用エンジンの分野では、ロールス・ロイス社の「RB211」(B747/B767用)、「TRENT700」 (A330用)、「TRENT800」(B777用)、「TRENT500」(A340‐500/600用)などの開発・生産プログラムに当社が参画している他、「V2500」(A320シリーズ用)の国際共同開発・生産事業には両社が共に参画しています。

今後とも当社は、エンジン開発技術力の高度化、生産基盤の強化を進めるとともに航空機用エンジンの共同開発・生産プログラムへ積極的に参画するなど、航空機用エンジン事業の発展に注力していきます。