自社開発の純国産20MW級高効率ガスタービン「L20A」を搭載したコンバインドサイクル発電設備を納入

2004年07月27日

 

川崎重工は、住友商事株式会社が千葉食品コンビナートで実施するオンサイト熱電併給事業(千葉美浜発電プロジェクト)向けに、総出力50MWのコンバインドサイクル発電設備を納入しました。

本発電設備は、当社が自社開発した純国産の20MW級高効率ガスタービン「L20A」が商用として初めて採用された発電設備で、当社が2003年10月にフルターンキー契約で受注したものです。また、本発電所の建設では、当社は計画段階から参画し、設計、土木建設工事、機器製作・据付、メンテナンスはもとより、発電設備を常に最適の状態で運用できる「運用支援システム」の供給やオペレーション指導まで広範囲にわたって担当しました。

今回納入した発電設備は、高効率ガスタービン「L20A」を用いた発電設備2基、排熱ボイラ2基、蒸気タービン1基および複数の貫流ボイラで構成されます。「L20A」をシステムの核とし、各機器の組み合わせを最適化することで、熱電供給を受ける千葉食品コンビナート内の複数工場と、売電を行うサミットエナジー株式会社の熱電需要の変動に柔軟に対応でき、総合エネルギー効率を大幅に改善すると同時に、CO2削減など環境対策面でも大きな効果が発揮されます。また蒸気供給においては、食品工場で必要とされる蒸気の直接・間接利用に対応するため、ボイラからの直接送気方式に加えてコンバータによる熱交換方式も採用し、構成会社の個別要求に対応できる設備となっています。

千葉美浜発電プロジェクトは、従来の熱電併給事業では1社1工場での自家消費が一般的であったのに対し、工業団地を構成する複数工場への熱電供給事業と電力小売事業とを結び付けたもので、50MW規模の発電所としては他に例を見ない全く新しい事業形態です。単独工場による導入では分散型発電のメリットが十分生かしきれなくても、複数工場へのエネルギー供給により発電設備の能力を最大限に発揮でき、今後分散型発電分野においてこのような事業形態が広く採用されることが期待されています。

「L20A」は、10MW以上の発電市場参入を目指し、当社が長年培ってきた産業用ガスタービンの技術と経験をベースに最新の流体解析技術や材料技術などを駆使し、1998年から自社技術にて開発を進めてきた最新鋭の純国産高効率ガスタービンです。2000年9月に初号機完成、2001年11月より当社明石工場に「L20A」を用いたコージェネレーションシステムを設置し、工場内に電気と蒸気を供給しています。当設備は極めて良好に稼動しており、信頼性の確認ができたことから、この実績を基に現在国内外で積極的に営業活動を展開しています。

現在、当社は出力150kWから18,000kWまでの純国産ガスタービンを品揃えし、これまで非常用発電設備やコージェネレーションシステム向けに7,000台以上を納入しています。当社製ガスタービンは技術力と信頼性の面で高い評価を得ており、国内の中小型産業用ガスタービン市場で常に60%を越えるシェアを確保し、トップメーカ-の地位を堅持しています。

今後も環境適合性に優れ、総合熱効率の高いガスタービンは、温暖化防止や環境負荷低減といった地球環境保全に最適な原動機として、需要拡大が期待されます。当社は今回の商用初号機の納入を弾みとして、国内外で同ガスタービンをはじめとする純国産ガスタービンを用いた発電設備事業を一層積極的に展開していきます。

今回納入したコンバインドサイクル発電設備の概要は、以下のとおりです。

□設備概要

 
設備構成 ・コンバインドサイクル発電設備「PUCS500」
<機器構成>
「L20A」ガスタービン発電設備×2基
排熱ボイラ×2基、蒸気タービン発電設備×1基
・貫流ボイラ×7缶
燃料 都市ガス13A
発電出力 50MW