国内初の洋上風力発電システムを北海道瀬棚町に納入

2004年02月09日

 

川崎重工と五洋建設は共同で、北海道瀬棚町に国内初の洋上風力発電システム(定格出力1,200kW)を納入しました。なお、本システムは2003年2月にフルターンキーで受注していたものです。

今回納入した風力発電システムは、北海道瀬棚町の瀬棚港東外防波堤の背後水域(港湾区域で沖合い約700m、水深約13m)の海底に基礎を建設し、単機出力600kWの風力発電機2基を約330mの距離間で設置したもので、陸上の受変電設備とは全長約1.2kmの海底ケーブルで接続されています。本システムは、防波堤内側を有効活用した国内初めての洋上風力発電システムで、川崎重工の陸・海・空に事業展開する総合エンジニアリング力と、五洋建設の豊富な海洋土木工事の技術、経験を結集して建設したものです。

今回設置した単機出力600kWの風力発電機は、ヴェスタス社(デンマーク)製で、海面から発電機中心までのハブ高さ約47m、翼の外径約47mです。本発電機は、常に最高出力が得られるように風速の変化に合わせ回転翼を最適な角度(ピッチ)に制御して風を最大限とらえるピッチ制御と、激しい風速の変化に連動する回転翼とタービンの回転数の変動幅を、電気的制御により出力を一定にするスリップ制御機能を備え、発電出力の安定を図っています。

川崎重工は、2001年12月に大型ウィンドファーム(単機出力1,650kW×9基)を「さらきとまないウィンドファーム」向けに納入したほか、2002年1月には、住友商事の100%子会社「サミットウインドパワー酒田」向けに、大型ウィンドファーム(単機出力で国内最大2,000kW×8基)を受注するなど、豊富な実績を持っています。また2000年6月には、風力発電機でトップシェアを持つヴェスタス社(VESTAS WIND SYSTEMS A/S、デンマーク)製風力発電機の輸入総代理店であるヴェステックジャパン(株)に資本参加しています。なお、今回の納入により、川崎重工の風力発電機の納入実績は計24基になります。

五洋建設は、2000年3月に島根県安来市で600kWの風力発電機を自ら建設・所有し売電しているほか、北海道幌延町(750kW×17基)、東京都江東区青海の埋立地(850kW×2基)で風力発電建設の実績を持っています。

今回の国内初となる洋上風力発電システムの納入は、すでにヨーロッパで推進されている大規模洋上風力発電の国内での実現に向け弾みとなるものです。川崎重工と五洋建設は、今後も環境問題に配慮した自然エネルギーによる発電の普及に注力していきます。