ベトナム向け排煙脱硫設備を受注

2003年12月24日

 

川崎重工は、ベトナム電力公社向けに排煙脱硫設備1基を発電設備一式の建設を担当するLilama(リラマ)社(ベトナム建設省傘下の建設会社)より受注しました。受注金額は約20億円で、設備の完成は、2006年3月の予定です。なお、当社がベトナム向けに排煙脱硫設備を受注したのは、今回が初めてです。

今回受注した排煙脱硫設備は、ベトナム クァンニン省 ウォンビに建設予定の出力30万KWの石炭火力発電所に設置されます。同発電所は、ベトナムの近代化、経済発展により増大する電力需要に対応するためにベトナム電力公社により建設されるものです。

排煙脱硫設備は、石油や石炭を燃料とする火力発電所で発生する有害な硫黄酸化物(SOx)を除去するための環境対策設備です。当社が今回受注した設備は、世界的に最も普及した湿式石灰石-石膏法のスプレー塔方式(※)であり、その安定した運転実績と保守の容易さに特長があります。最近では1995年に中国広西自治区の南寧化学工業集団向けに簡易型排煙脱硫設備を納入したのをはじめ、江蘇省揚州発電所向けに20万KW1基の排煙脱硫設備の運転を開始させているほか、貴州省安順発電所向けに30万KW2基、河北省定洲発電所向けに60万KW2基の設備を建設中であり、今回の受注では当社の海外市場におけるこれらの実績が高く評価されました。

ベトナム電力公社では、今回新設する発電所に隣接した既設の出力16万KWの発電所も、30万KWに発電能力を増強するために設備刷新を計画しており、経済発展に伴う電力需要の増加を受けて、ベトナム国内では排煙脱硫設備の需要が今後も期待されます。また、ベトナムと同様にフィリピンやマレーシアなどの東南アジア諸国や中国でも、電力需要の増大に伴う発電所建設や排煙脱硫設備案件が増加する見通しです。

当社は、本プロジェクトを通して今後経済発展による電力需要の拡大が期待されるベトナムをはじめとするアジア市場での排煙脱硫設備の拡販に注力していきます。

□契約の概要

1. 契約者 : Lilama社
2. 設置場所 : ベトナム電力公社 ウォンビ火力発電所
3. 引渡条件 : CIF
4. 契約範囲 : 設計、主要設備の供給、据付工事及び試運転の指導と運転員トレーニング。

アルカリ原料を含んだ水との混合液を噴霧する吸収塔(スプレー塔)の中に、硫黄酸化物(SOx)を含んだ排ガスを通し、化学反応により硫黄分を除去する方式。