ブラジル製鉄所向けに炉頂圧回収発電設備を完成

2003年10月07日

川崎重工は、ブラジルのウジミナス(Usiminas)製鉄所第三高炉向けの炉頂圧回収発電設備(発電能力18,800KW)を完成させました。

炉頂圧回収発電設備は、製鉄所の高炉から発生する高炉ガスの圧力をタービンにより電気エネルギーとして回収するものです。本設備は、高炉ガスの有効利用が可能で省エネ効果が高いことに加え、高炉ガスをタービンで回収する際の騒音低減や除塵などの機能も備えており、環境対策にも効果があることから、日本国内の大型高炉には100%設置されています。

当社の炉頂圧回収発電設備は、高炉炉頂圧の制御を従来の調速弁方式ではなく、タービンの可変静翼で行います。このタービンの可変静翼による制御方式は、高炉ガスの流入量を弁で制御するのではなく、高炉ガスの全量をタービンに流し込み、タービンの静翼の角度を自由に変えることにより、タービン内を通過するガスの量および圧力が変動しても、エネルギーロスが少ない高効率で低騒音の発電が可能です。

近年ブラジル国内では、電力不足が深刻化するとともに工業用の電気料金が上昇傾向にあり、ウジミナス製鉄所でも電力コストを削減する必要に迫られていました。今回、同製鉄所にとって初めての炉頂圧回収発電設備が導入されたことで、同製鉄所は年間電力料金を大幅に節約することができます。

当社は、炉頂圧回収発電設備のトップメーカーとして、すでに国内外で38基の納入実績を有しており、ブラジルにおいては、ツバロン(発電能力20,000KW)、アソミナス(同11,340KW)の両製鉄所にも炉頂圧回収発電設備を納入しています。また、最近では中国の宝山鋼鉄股分有限公司向けの炉頂圧回収発電設備(発電能力20,440KW)を受注しており、着々と実績を伸ばしつつあります。

今後とも当社は、炉頂圧回収発電設備をはじめ、化学・セメントなどのプラント向けの廃熱回収ボイラなど、エネルギーの有効利用と公害の防止に寄与する製品の販売に注力していきます。

□契約の概要

1.納入場所 : ウジミナス製鉄所(ミナスジェライス州イパチンガ市)
2.設備形式 : 湿式炉頂圧回収発電設備
3.機器構成 : 回収タービン、発電機、電機制御設備など
4.発電能力 : 18,800KW