次期掃海・輸送及び南極輸送支援用ヘリコプターの主契約者に決定

2003年07月31日

 

川崎重工はこのたび、海上自衛隊向けの次期掃海・輸送及び南極輸送支援用ヘリコプター「EH101」の機体及びエンジンの国産製造会社としてのプライム(主契約者)通知を防衛庁から受領しました。これにより当社は、平成15年度から調達開始になる同機について、主契約者としての調達準備作業に入ります。

なお、「EH101」の導入について、防衛庁では平成15年度に輸送用の1機が決定されており、今後約10年間にわたり、掃海・輸送用11機、南極輸送支援用3機の合計14機が調達される予定です。初号機の納入は、平成17年度末に予定されています。

「EH101」は、ウェストランド社(イギリス)とアグスタ社(イタリア)のジョイント・ベンチャー事業(※1)として共同開発された中型ヘリコプターで、エンジン3基装備による高い安全性、優れた航続性能、大容積キャビンによる搭載能力、ブレード/パイロン自動フォールド機能などの艦上運用能力、さらに高性能ローター・システムおよび最新のアビオニクス・システムによる高い信頼性と整備性を有している機体であり、輸送・対潜・早期警戒・捜索/救難など幅広い任務に適応できる多用途ヘリコプターです。

本機は、イギリス、イタリア、カナダ、デンマーク、ポルトガルの各国より合計140機以上採用され、すでに80機以上が運用されています。また、国内でも平成11年警視庁に採用され、災害派遣、離島への物資空輸などで活躍しています。

当社は、これまでに防衛庁向けのヘリコプターでは、陸上自衛隊の観測ヘリコプター「OH-1」を主契約者として国産開発し、現在も納入を行っています。また、陸上・航空自衛隊向け輸送ヘリコプター「CH-47J」や海上自衛隊向け観測ヘリコプター「OH-6」など、各種ヘリコプターの豊富な納入実績があります。

また民間向けでは、国産初のヘリコプターである「川崎式BK117ヘリコプター」をドイツのMBB社(※2)と共同開発し、1983年の初号機納入以来、現在までに消防・防災や警察、報道など各種用途向けに計137機を納入しています。

今回当社が「EH101」の国産製造会社としてプライム指名を受けたのは、当社の各種ヘリコプターの開発・製造・修理などに関する豊富な実績と技術力・信頼性が高く評価されたものです。

当社は、「EH101」プライム指名を機に、同機の導入・支援体制構築を精力的に進めるとともに、今後も防衛庁向けおよび民間向けヘリコプター事業に一層注力していきます。

※1:イギリスのウェストランド社とイタリアのアグスタ社は2001年にAgusta Westland社として統合されています。
※2:MBB社(メッサ-シュミット・ベルコウ・ブロウム社)は、現在のECD社(ユーロコプタードイツ社)です。