米国連邦航空局(FAA)よりヘリコプター用トランスミッションの修理認定を取得

2003年07月29日

川崎重工は、ヘリコプター「MD900エクスプローラー(以下、MD900)」用トランスミッションの整備事業において、米国連邦航空局(以下、FAA)より修理認定を取得しました。なおトランスミッションに対するFAA修理認定取得は、国内の航空宇宙産業では当社が初めてです。

MD900は、米国MDヘリコプターズ社(以下、MDHI社)が製造する小型双発ヘリコプターで、テールローターを持たないノーター(NOTAR®)機構により低騒音でかつ安全性にすぐれ、主に報道用途や警察・救急用途として、世界で約100機、国内では12機が活躍しています。

MD900用トランスミッションは、当社が1990年に自社開発、明石工場で製造し、MDHI社に1994年より供給を開始、すべてのMD900に搭載されています。トランスミッションは、エンジンのパワーをローターに伝える最重要部品で、MD900用トランスミッションは小型・軽量で高い信頼性を有し、MDHI社ならびにユーザーから高い評価を得ています。

これまでMD900用トランスミッションの整備・修理は、機体製造元のMDHI社を通じて実施してきましたが、直接ユーザーからの整備・修理依頼へのニーズに応えるために、必要とされるFAA認定を取得すべく、これまで認定基準に従い、品質管理基準の整備、検査員及び整備士の教育・訓練、明石工場内の専用修理場の新たな設置などに取組んできました。今回これらの体制整備が評価され、厳しい審査を経てFAA認定の取得に成功しました。

今回のFAA認定取得により、当社は直接ユーザーからMD900用トランスミッションの整備・修理作業を請け負う事が可能となり、より迅速かつキメ細かなサービスの提供ができるとともに、運用データを得ることで将来のより良い製品の開発に結び付けることができます。

当社はこれまでにも、ヘリコプター用トランスミッションの国内トップメーカーとして「川崎式BK117ヘリコプター」(国産双発多用途ヘリコプター)、「OH-1ヘリコプター」(防衛庁向け観測ヘリコプター)のトランスミッション、「AB139ヘリコプター」(ベル・アグスタ・エアロスペース社製)の高速ギアボックスなど多くのトランスミッションの開発・製造および修理を担当しています。特にBK117ヘリコプターのトランスミッションは、累計100万時間以上の無故障記録を有しており、ヘリコプター用トランスミッションの技術は世界トップクラスであると高く評価されています。

今後当社は、今回のFAA認定取得を機に、民間航空機用エンジン整備事業においてより高度な技術と信頼性の高いサービスを提供し、積極的な事業展開を図っていきます。