米国唯一の鉄道車両の一貫製造を行う最新鋭の鉄道車両工場が本格稼動

2002年04月18日

川崎重工は、米国現地法人Kawasaki Motors Manufacturing Corp. U.S.A.(以下、KMM)のリンカーン工場内に完成した最新鋭の鉄道車両工場において、ニューヨーク市交通局向け地下鉄電車の一貫製造を皮切りに鉄道車両製造を本格的に開始します。

新工場は、米国向けの鉄道車両を中心に、構体製作から車両完成までの一貫製造を行う唯一の鉄道車両工場です。米国では大規模な新線敷設プロジェクトに加え、既存車両の代替や輸送力増強に関するプロジェクトが大幅に増加することが予想されており、新工場はこれらのプロジェクトを始めとする米国向けの需要に対する新たな生産拠点として大きな役割を果たす工場となります。

新工場は、KMMリンカーン工場の136万m2の広大な敷地を活かし、約4万m2の建屋内に約480mの直線の構体・艤装ラインを持ち、工場入口から出口にかけて構体(ボディ)製作、試験、塗装そして内装・配管・配線といった艤装作業が一連の流れとして完了するレイアウトとなっています。また、工場内での製造車両の移動は、ゴム台車や空気浮上台車により行い、床面にレールがない全面平滑な構造になっています。これらの設備により、新工場は製造車両や部品などの物流を整流化するとともに、製造する車両に合わせて工場レイアウトを簡単に変更できる高効率かつ、フレキシブルな工場です。

また、KMMリンカーン工場は1974年に日本の二輪車・四輪車メーカーとして初めて二輪車の米国生産を開始した工場です。長年の量産品事業で培った生産システム(KPS)やITを駆使した物流システムを保有しており、新工場では、これらのシステムを積極的に応用し生産性を高めており、日産1両(昼勤のみ)の車両製造が可能です。

新工場が本格稼動を開始したことで、当社は兵庫工場(兵庫県神戸市)を国内向けおよび北米以外の輸出車両の製造、新工場向けの台車枠製造ならびにシステムの開発・設計を主業務とするマザーファクトリーと位置付け、米国東海岸向けの鉄道車両に関して豊富な納入実績を持ち、顧客からも高い評価を得ているKawasaki Rail Car Inc.(ニューヨーク州)と、新工場の3拠点で密接な連携をとり、海上輸送費・為替リスクの低減を実現するとともに、高効率でフレキシブルな生産体制を構築し、鉄道車両事業の一層の発展に取り組みます。

なお、新工場の本格稼動に際し、4月19日(現地時間)には、当社関係者、KMMリンカーン工場のあるネブラスカ州関係者ら約170名が出席する、オープニングセレモニーを開催する予定です。

※KPS(カワサキ・プロダクション・システム)
Just In Timeシステムをベースに当社の各生産ラインにおける適用を通じて開発・実証された当社独自の合理的な生産管理技法で、量産・個別生産を問わずあらゆる生産ラインに展開が可能なシステムです。