北米唯一の鉄道車両の一貫製造を行う最新鋭の鉄道車両専用工場が完成

2001年11月08日

川崎重工は、本年2月より米国現地法人Kawasaki Motors Manufacturing Corp. U.S.A. (以下、KMM)のリンカーン工場内に建設を進めていた最新鋭の鉄道車両専用工場をこのほど完成し、今月よりニューヨーク市交通局向け地下鉄電車の艤装工程の稼動を開始します。この工場は、鉄道車両の一貫製造を行う北米で唯一の工場として、2002年4月より構体製作から車両完成までの一貫製造を開始する予定です。

米国では大規模な新線敷設プロジェクトに加え、既存車両の代替や輸送力増強に関するプロジェクトが大幅に増加することが予想されています。新工場は、これらのプロジェクトを始めとする米国向けの需要に対しての新たな拠点として大きな役割を果たす工場となります。

新工場は、KMMリンカーン工場の136万m2の広大な敷地を活かし、約4万m2の建屋内に約480mの直線の構体ライン、艤装ラインを持ち、工場入口から出口にかけて構体(ボディ)製作、試験、塗装そして内装・配管・配線といった艤装作業が一連の流れとして完了するレイアウトとなっています。また、工場内の製造車両の移動手段としてゴム台車や空気浮上台車を採用することにより、床面にレールのない全面平滑な構造になっています。これらの特長により、新工場は製造車両や部品などの物流を整流化するとともに、製造する車両に合わせて工場レイアウトを簡単に変更できる高効率かつ、フレキシブルな工場です。

また、KMMリンカーン工場は1974年に日本の二輪車・四輪車メーカーとして初めて二輪車の米国生産を開始した工場です。長年の量産品事業で培った生産システム(KPS)やITを駆使した物流システムを保有しており、新工場では、これらのシステムを積極的に適応・応用していくことで、日産1両の高い生産性で車両製造を行います。

今後当社は、兵庫工場(兵庫県神戸市)を国内車両および北米以外の輸出車両の製造、新工場向けの台車枠の製造ならびにシステムの開発・設計を主業務とするマザーファクトリーと位置付け、米国東海岸向けの各種鉄道車両に関して豊富な納入実績を持ち顧客からも高い評価を得ているKawasaki Rail Car Inc.(ニューヨーク州)と、新工場の3工場間で密接な連携をとり、鉄道車両事業を推進していきます。これにより当社は、生産性の向上、海上輸送費の削減、為替リスクの低減、生産のフレキシビリティの向上といった面で、大きなメリットを見込んでいます。

昨今、鉄道車両は環境負荷の少ない交通手段として、米国をはじめ世界各国でその有用性が見直されています。当社は、今回の新工場完成を機に鉄道車両事業の一層の発展に注力していきます。

※KPS(カワサキ・プロダクション・システム)
Just In Timeシステムをベースに当社の各生産ラインにおける適用を通じて開発・実証された当社独自の合理的な生産管理技法で、量産・個別生産を問わずあらゆる生産ラインに展開が可能なシステムです。