医薬・医療向けロボット「MC006V」を新発売
2025年07月01日
医薬・医療向けロボット「MC006V」
川崎重工は、医薬・医療向けの6軸垂直多関節ロボット「MC006V」(以下、本製品)の販売を7月1日より開始しました。
医薬・医療領域の製造現場は、人が介在することによる作業ミス、微生物や異物の混入、抗ガン剤等の高薬理活性医薬品を取り扱うことによる曝露※1への対策が求められる環境であり、ロボットによる製造作業の自動化・無人化のニーズは高まっています。このニーズに応えるため、当社は医薬・医療向けのロボットである「MCシリーズ」の販売を2013年に開始しており、現在までに国内外の製薬会社において、バイアル充填、滅菌工程への供給、包装工程等の製薬プロセスで幅広く導入されています。
本製品は、「MCシリーズ」の最新機種として、従来機種の特長である医薬品製造で求められる高度なクリーン環境への対応、ロボットを含めた製造設備の除染(滅菌)に用いられる薬品への高い耐性を維持しながら、従来機種と比べ、より大きな「最大可搬質量」、より速い「動作速度」、より広い「最大リーチ」を実現しています。これにより、幅広い製造プロセスに適用できるようになり、製造作業のさらなる生産性向上に貢献します。
当社は今後も、製薬業界をはじめとする高いクリーン環境が求められる領域での自動化・無人化のニーズに対応するソリューションを提供していきます。
<「MC006V」の主な特長>
1)医薬環境に最適化されたロボット設計
・ | 医薬品製造の清浄度基準であるGMP※2で定められる高クリーン環境(グレードAおよびB)での使用を想定して設計。(清浄度の国際規格ISO 14644-1に準拠したクラス5※3相当にも対応) | |
・ | 最大可搬質量は「MCシリーズ」最大の6kgに向上(従来機種の最大可搬質量:4kg) | |
・ | 「MCシリーズ」最速の動作速度、最も広い最大リーチ (従来機種比で、第1軸の動作速度は約2倍、最大リーチは104mm拡大) |
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・ | 保護等級IP67相当の防水防塵性能や滑らかなボディにより、薬品でのクリーニング作業を容易化 | |
・ | ツール用ケーブルをロボット先端まで内蔵し周辺装置との干渉を最小限化 (医薬品製造に使用される設備であるアイソレータ※4等の狭い空間に設置することが可能) |
2)除染(滅菌)に使用する過酸化水素ガス(VHP)への耐薬品性
・ | ロボットの表面材質・シーリング・構成部品に耐VHP性の高い部材を採用することで、製薬設備の除染に使用する薬品の中でも特に強い腐食性を持つVHPを繰り返し使用する環境に対応 |
<主要諸元>
商品名 | MC006V |
発売日 | 2025年7月1日 |
国内販売価格 | オープン価格 |
動作自由度 | 6軸 |
最大リーチ | 610㎜ |
最大可搬質量 | 6㎏ |
位置繰り返し精度 | ±0.03㎜ |
※1 | 曝露:作業者等が細菌、ウイルス、有害薬品にさらされること | |
※2 | GMP(Good Manufacturing Practice):安全で品質が確保された医薬品を安定して供給するための品質管理基準。4つのグレード(A~D)に分類され、それぞれ作業時と非作業時の最大許容微粒子数、空中微生物数、表面付着微生物数などを規定 | |
※3 | ISO 14644-1に準拠したクラス5:ISO 14644-1は 国際標準化機構(ISO)が定める清浄度の指標。1m³中の粒子数に基づきクラス1~9に分類される。クラス5は、1m³中に0.1μm以上の粒子が10万個以下の超洗浄空間であり、医薬品無菌工程や半導体製造で求められる環境基準 | |
※4 | アイソレータ:医薬品製造において、滅菌物質や危険物質を取り扱う際に使用する装置 |
■ロボティクスサイト
https://kawasakirobotics.com/jp/