水素流通を見える化し、水素取引を支援する『水素プラットフォーム』の実証試験を開始

2024年01月30日

川崎重工は、水素流通を一元管理し、国内外の水素取引を支援するデジタル管理システム『水素プラットフォーム』(以下、本プラットフォーム)の開発を進めており、本年4月より実証試験を開始いたします。

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水素プラットフォーム概念図

脱炭素社会実現に向けた水素の供給・利用の社会実装が進む中、今後、国際取引の発展が見込まれています。その一方で、水素サプライチェーンの運用においては、製造源の多様化や国際間輸送が含まれるなど水素流通が地理的・時間的に広範囲となり、関わるプレイヤーも多岐にわたることから、製造源や流通経路、各段階でのCO2等の温室効果ガス(GHG)排出量など属性情報の管理が複雑化します。そのため、製造から利用に至るまでのサプライチェーン全体の水素の流通をデジタル管理して「見える化」することで、水素をトレースできる仕組みが不可欠です。

さらに、将来の水素取引においては、水素の「低炭素性の証明」が重要になります。評価さらには認証を取得することで、水素事業者が透明性・信頼性をもって低炭素水素を取引できるだけでなく、非財務情報の評価・開示を進める企業などの水素利用者にとっても、評価・認証があることで安心して水素を使うことができ、事業活動の脱炭素化の推進につながります。

このような背景を受け、当社では水素事業者そして水素利用者に向けて、製造源やGHG排出量などの水素属性や取引に関するデータ、情報等を効率的に一元管理することにより、低炭素水素のトレーサビリティを確保するとともに、複雑な水素流通を見える化し、水素取引を円滑化できるプラットフォームの構築とサービス提供を計画しています。
具体的には、以下の4つのサービスから提供を開始し、将来的には市場の要請に応じてサービスを拡充していきます。

水素の所在地や炭素集約度*1等の属性情報管理によるトレーサビリティの確保
GHG排出量および炭素集約度評価および管理
低炭素水素の認証取得支援
水素取引の支援

現在、本プラットフォームの基本設計が完了しており、提供サービスの有効性を検証するため、株式会社大林組が取り組む「大分県九重町 地熱由来水素利活用事業 *2」を対象に、本年4月より実証試験を開始します。本実証試験により、スピーディーな課題抽出や機能改善・向上が可能となり、システムの詳細設計を効率的に進めることができます。
2025年中に設計・開発を完了し、顧客評価を経たうえで、水素サプライチェーンに携わる多くの事業関係者に利用いただけるプラットフォームとして、2028年頃の商用化を目指しています。

本プラットフォームが提供する各種サービスは、水素市場の環境整備を加速させ低炭素水素の取引を活性化させるとともに、低炭素水素の早期普及に資するものと考えます。当社は、技術開発・実証・商用化はもちろん、デジタル分野からも水素社会を牽引し、水素の社会実装そして世界全体のカーボンニュートラル実現に向けて貢献してまいります。

*1 炭素強度またはCarbon IntensityCI)とも呼ばれる、製品(ここでは水素)1単位あたりのGHG排出量
*2 大分県玖珠郡九重町において、大林組が進める地熱発電およびその発電電力を利用してグリーン水素を製造する実証プラントを建設し、複数の需要先へ供給する一連のプロセスを実証する日本初の試み。
https://www.obayashi.co.jp/news/detail/news20210718_1.html

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