ドライ式低NOx水素専焼小型貫流ボイラを新発売(川重冷熱工業)

2021年04月26日

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【小型貫流ボイラ WILLHEAT(ご参考)】

川重冷熱工業は、ドライ式低NOx1水素専焼バーナを搭載した小型貫流ボイラ「WILLHEAT(ウィルヒート)」シリーズを20215月より発売します。

本製品は、当社がこれまで石油化学プラントや製鉄所、苛性ソーダの生産工程などで発生する副生水素を燃料とするボイラの製造で培った技術と、川崎重工の持つ水素関連のノウハウを組み合わせて開発しました。地球環境にやさしい次世代エネルギーとして期待が高まりつつある水素を燃料としたバーナを新開発し、ボイラー技士免許が不要な小型貫流ボイラに搭載しました。

水素は燃焼時に二酸化炭素を排出しないクリーンなエネルギーですが、火炎温度が高いことから天然ガス燃焼時に比べて約3倍のNOxが発生します2。本製品の特長は、NOx排出量を抑えるために通常採られる、燃焼室への蒸気噴霧3や排ガス再循環4を必要としないドライ式バーナです。独自の水素と空気の混合方式により、省エネ法5で定められた低空気⽐6においても、天然ガス焚き並みの低NOxを実現しました。さらに、蒸気噴霧がないため、蒸気出力や熱損失などの無駄がなく、また排ガスを再循環させる機器が不要なため、メンテナンス性が高まるなど、従来の水素燃焼ボイラと比べて低コストでの運用を可能にしました。

川崎重工グループは、将来の水素エネルギーの普及を見据え、水素エネルギーサプライチェーンに必要なインフラ技術の開発・製品化に注力しています。当社も川崎重工グループとして、今後もボイラや吸収冷温水機での水素関連製品の技術革新とラインナップ拡充に積極的に取り組み、多様な市場ニーズに的確に応えながら、環境負荷の低減、低炭素・脱炭素社会の実現へ貢献していきます。

本製品の特長および仕様は次のとおりです。

1.特長

環境・安全・省エネ性能
NOx排出量は、省エネ法の空気比基準5において、60ppmO25%換算)以下を実現。
燃焼開始前、燃焼停止後に、配管内部の残留水素と空気が可燃混合気にならないよう窒素パージ機能を付加。
定格ボイラ効率98%(蒸気圧力0.49MPa、給水温度15℃、給気温度35℃)を実現。
押込送風機と給水ポンプは、インバータ連続制御により実用運転時の消費電力を低減。
独自のPID(比例・積分・微分)制御により、実用運転時のボイラ効率を高く維持。
利便性
小型ボイラー取扱業務特別教育修了者が取扱い可能。(ボイラー技士免許不要。伝熱面積が10m2以下、最高使用圧力が1.0MPa以下)
高い蒸気品質
連続燃焼PID制御および連続給水PID制御の採用により、燃焼段階切替えによる圧力変動・給水時の缶内温度変化による圧力変動を低減。(±0.005MPa7
気水分離器水位を連続給水PID制御とすることで水位安定化を図り、気水分離器の旋回機能とあわせて、蒸気の高乾き度(99.8%7)を達成。

2.仕様表

形式 WF-750/1000GEX-H WF-1500/2000GEX-H
容量(換算蒸発量) 750kg/h 1,000kg/h 1,500kg/h 2,000kg/h
最高使用圧力 0.98MPa
NOx値 60ppm以下(O2=5%換算)
定格ボイラ効率 98%
使用燃料 水素

1 窒素酸化物のこと。物が高温で燃えたときに空気中の窒素と酸素が結びついて発生する酸化物であり、光化学スモッグや酸性雨の原因物質のひとつ。大気汚染防止法や地方自治体の条例により排出量が制限されている。
2 都市ガス用バーナで水素を燃焼した場合の当社実験値。
3 蒸気噴霧とは、ボイラから発生した蒸気の一部を燃焼室に噴霧することで燃焼温度を下げ、NOxの生成を抑制する方法。蒸気のロスや燃焼室での熱損失が発生する。
4 排ガスの一部を燃焼室に還流させることで燃焼温度を下げ、NOxの生成を抑制する方法。
5 省エネ法(エネルギーの使用の合理化等に関する法律)では「工場等におけるエネルギーの使用の合理化に関する事業者の判断の基準」にボイラの空気比基準が定められている。
6 低空気比とは、燃料の量に対して混合する空気量が少ない状態のこと。低空気比で燃焼することで排ガス熱損失を抑えることができ、高いボイラ効率で運転することができる。
7 蒸気負荷静定時の性能を示す。

■参考リンク

開発時のプレスリリース https://www.khi.co.jp/pressrelease/detail/20180514_1.html

■お問合わせ先

川重冷熱工業株式会社 東京本社
営業・サービス総括室 営業・サービス企画部
Tel: 03-3645-8251
E-mail: sspd@kte-corp.co.jp

■川重冷熱工業株式会社の概要

(1) 本店所在地 滋賀県草津市青地町1000番地
(2) 代表者 代表取締役社長  篠原 進
(3) 設立年月 1972年3
(4) 資本金 14億6,050万円(JASDAQ上場)
(5) 事業内容 ボイラ・空調機器・吸収式ヒートポンプなどの製造、販売、据付、アフターサービスなど
(6) 従業員数 520名(2021年3月末現在)

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