水素混焼DLE燃焼器を搭載した8MW級ガスタービンコージェネレーションシステムを受注

2023年09月26日

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PUC80D」に搭載する「M7A-03D」ガスタービン

川崎重工は、イビデンエンジニアリング株式会社(以下、イビデンエンジニアリング)と共同で、JFEエンジニアリング株式会社(以下、JFEエンジニアリング)からDLE1燃焼器を搭載したガスタービンコージェネレーション設備「PUC80D」1基を受注しました。同製品は水素を体積比30%まで任意の割合で天然ガスと混焼し、安定した低NOx2運用を実現します。当社はガスタービン発電装置および付帯機器の供給と据付指導、試運転指導を担当し、イビデンエンジニアリングはこれら設備の据付、配管・配線工事を担当します。

今回受注した「PUC80D」は、JFEエンジニアリングが日清オイリオグループ株式会社向け(以下、日清オイリオグループ)に行うエネルギーサービス事業用として横浜磯子事業場に設置され、20254月の運用開始を予定しています。また、2027年以降に水素供給網の整備状況を踏まえつつ、水素を燃料として活用することを目指しています3

当社のDLE燃焼器を搭載した天然ガス焚きガスタービンは、全ての機種でガスタービン本体を改造することなく水素混焼に対応することが可能です4。既存システムの機器を流用しながら、水素圧縮機と燃料混合システムなどを追加するだけで水素と天然ガスを混焼できるため、実績あるガスタービンの信頼性を継承したまま水素エネルギーを活用することができます。今回の受注は、将来の水素混焼運用によって脱炭素化を目指す日清オイリオグループおよびJFEエンジニアリングから、当社の実績と技術を高く評価されたものです。

当社は、お客様の多様な水素利用ニーズに応えるため、水素混焼から専焼(水素100%)による発電に幅広く対応するガスタービン燃焼器を市場投入しており、さらなるラインナップの拡充に向けた開発に取り組んでいます5。これらの水素発電技術は、CO₂フリー水素や副生水素の利用拡大において重要な役割を担います。また、日本のCO₂発生量の約4割を占める発電分野において、水素を「つかう」ガスタービンは、脱炭素化に貢献する重要な製品の一つです。当社は、将来的な水素エネルギーの普及を見据え、水素サプライチェーン(つくる・はこぶ・ためる・つかう)の構築を推進するとともに、今後もさらなる水素燃料対応のガスタービン燃焼技術の開発を進めてまいります。

 ■PUC80D主要スペック

ガスタービンモデル M7A-03D
発電出力(kW 7,550
燃料消費量(m3N/h 3,126
蒸気量(t/h 35(追焚あり)
NOx値(ppm)(O2=16%換算) 6(脱硝装置あり)
発電効率(%) 32.8
総合効率(%) 93.1

【条件】ガスタービン:吸気温度15℃ 大気圧力=101.3kPa 燃料=都市ガス ブロー率=0%

1 Dry Low Emissionの略。水や蒸気の噴射に拠らず燃焼温度を低く制御することで、NOx排出量を削減する方式。
2 窒素酸化物のこと。物が高温で燃えたときに空気中の窒素と酸素が結びついて発生する酸化物であり、光化学スモッグや酸性雨の原因物質のひとつ。大気汚染防止法や地方自治体の条例により排出量が制限されている。
3 日清オイリオとJFEエンジのプレスリリースのリンク
https://www.nisshin-oillio.com/company/news/down2.php?attach_id=1590&uid=8723
4 コージェネレーションシステム用ガスタービン全機種で 水素混焼DLE燃焼器の市場投入を完了(2023331日)
https://www.khi.co.jp/news/detail/20230331_5.html
5 水素社会実現に向けて(資料P.19「水素ガスタービン開発ロードマップ」)
https://www.khi.co.jp/energy/hydrogen-introduction.html

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