LNG運搬船「BISHU MARU」の引き渡し
2017年12月26日
164,700m3型LNG運搬船「BISHU MARU」
川崎重工は、本日、川崎汽船株式会社向け164,700m3型LNG運搬船「BISHU MARU」(当社第1713番船)を引き渡しました。
本船は、2016年に運用が開始された新パナマ運河を通峡できる船型として、当社が開発した164,700m3型LNG運搬船の第2番船です。世界の主要なLNGターミナルへ入港できる従来船の船体寸法を維持しつつ、カーゴタンクを大型化し、LNG積載量を増加させることで、LNG輸送コストの削減と船主の多様なLNGトレードに柔軟に対応します。
また、船体構造を改良して重量を軽量化するとともに、水線下の船体形状の最適化を図ることで、推進性能を最大限に高めています。さらに、主機関に当社が開発した再熱式蒸気タービン推進プラント「川崎アドバンストリヒートタービンプラント(川崎URAプラント)※」を搭載することで、輸送効率を大幅に向上させています。
当社は、今後とも、クリーンエネルギーとして需要増加が予想されるLNGをはじめとする各種ガス運搬船の建造に積極的に取り組んでいきます。
本船の引き渡し、主要目ならびに特長は次のとおりです。
<引き渡し>
2017年12月26日 |
<主要目>
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<特 長>
1) |
本船は、4個のモス型球形独立LNGタンクを持ち、合計で165,109m3の貨物タンク容積を有する大型LNG運搬船です。 |
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2) |
LNGタンクの防熱システムには、当社が独自に開発した川崎パネル方式を採用し、高い防熱効果によりLNGの蒸発率を約0.08%/日以下としています。 |
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3) |
主機関に「川崎URAプラント※」を搭載し、従来の147,000m3型LNG運搬船に比べ、25%以上の輸送効率向上を図っています。 |
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4) |
貨物タンク区画は、二重船殻、二重底構造とし、LNGタンクはその内側に配置されているため、万一の船体損傷時でも直接タンクに損傷が及ばないよう安全に保護されています。 |
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5) |
操舵室は、最先端の電子航海機器を集中配置して操作性の向上を計るとともに、全周に窓を配置して360度の視界を確保しています。 |
※川崎アドバンストリヒートタービンプラント(川崎URAプラント)
高圧タービンを回転させた蒸気を一旦ボイラに戻し、再加熱後に中圧タービンへ送り返すという再熱サイクルを採用し、熱効率を大幅に高めた蒸気タービンプラントです。2011年9月に川崎アドバンストリヒートタービンプラントの初号機を搭載したLNG運搬船が就航しました。本船では、初号機での海上試運転、実航海で得られたデータに基づき、さらに改良を加えた蒸気タービンプラントを搭載しています。