神戸製鋼所より石炭火力発電所向け灰処理設備2基を受注

2016年04月11日

川崎重工は、株式会社神戸製鋼所より神戸製鉄所火力発電所(仮称)向け灰処理設備2基を受注しました。当社は本設備の設計・製作、機器調達、据付工事を一貫して担当し、1基目は2021年度、2基目は2022年度の完工を予定しています。

今回受注した灰処理設備は、発電燃料として使用される石炭の燃焼灰をハンドリングするシステムで、神戸製鉄所火力発電所(仮称)に建設される2ユニット(発電出力は各65万kW)に設置されます。

本設備は、電気集塵器で捕集されたフライアッシュ(排ガス中に含まれる飛灰)を処理する系統と、ボイラの底から排出されるクリンカアッシュ(炉底灰)を処理する系統で構成され、クリンカアッシュの処理には、イタリアのMagaldi(マガルディ)社から技術導入した乾式クリンカコンベヤを用いた乾式処理方式を採用しています。水でクリンカアッシュを冷却・輸送し、脱水後にトラック等で灰捨場に運搬する従来の湿式処理方式と異なり、クリンカアッシュを乾いた状態のまま空気で冷却し、粉砕してフライアッシュ処理系統に輸送することができるため、フライアッシュとの一括処理が可能になるとともに、給水や排水処理、脱水、貯水などに必要な設備が不要になることから、低環境負荷や低コスト、省スペースを実現します。さらに、クリンカアッシュの顕熱※1や未燃炭素の反応熱、火炉からの輻射熱※2などの熱回収が可能で、ボイラ効率が向上し省エネルギーに貢献します。

当社は、乾式処理方式の灰処理設備の納入実績を有する国内唯一のメーカーで、2002年に神戸製鋼所の神鋼神戸発電所1号機向けに初めて納入して以来、今回の受注を含めて、国内で12基の受注実績があります。また、従来の湿式処理方式を含めると、国内の事業用石炭火力発電所において60基の納入実績があり、約80%のシェアを占めています。今回の受注は、当社の高度な技術力や豊富な実績が高く評価されたものです。

日本国内では火力発電所の新設・増設が多数計画されており、当社は今回受注した灰処理設備をはじめとする発電設備用機器の供給を通じて、今後もエネルギー・環境分野で積極的な展開を図っていきます。

 

  ※1 顕熱 物質の状態を変えずに、温度を変化させるために費やされる熱量。
  ※2 輻射熱 熱が電磁波の形で物体から物体へ直接伝えられる熱。

 

□ 設備の概要

  1.納入場所 株式会社神戸製鋼所 神戸製鉄所火力発電所(仮称)
  2.灰処理方式 クリンカアッシュ処理・・・・ 乾式クリンカコンベヤ処理方式
フライアッシュ処理・・・・ 真空・圧送組合せ輸送方式
灰貯蔵設備 ・・・・灰サイロ(3基)
出荷設備 ・・・・乾灰船積、湿灰船積、乾灰トラック積、湿灰トラック積
  3.発電プラント仕様 65万kW×2基 石炭専焼(微粉炭)

 

C3160411-1.jpg