東京モノレール向けに世界初となる停電時非常走行用の鉄道システム用地上蓄電設備(BPS)を納入

2014年06月09日

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(ギガセル) (東京モノレール向けBPS)

川崎重工は、東京モノレール株式会社(以下「東京モノレール」)向けに、停電時の非常走行を目的とした鉄道システム用地上蓄電設備(Battery Power System、以下「BPS」)を世界で初めて納入しました。

 今回納入したBPSは、東京モノレールの品川変電所と多摩川変電所に設置され、停電で駅間に停止した電車を最寄り駅に自力走行させるための電力を供給する設備で、自社開発の大容量ニッケル水素電池「ギガセル®」20モジュール×2並列で構成されています。今年開業50周年を迎える東京モノレールでは、東日本大震災を契機として、電力会社からの電力供給が止まり、電車が駅間に停車した際の乗客の安全性確保策を検討してきました。両変電所へのBPS導入により、朝のラッシュ時に上下線35.6km全線で最大17編成が駅間に停車した場合でも、最寄り駅へ乗客を安全に移動させることが可能になります。

ギガセル®は、高速充放電が可能で負荷応答性能が高く、安全性に優れたニッケル水素電池です。これまでの鉄道用電力貯蔵設備は、電車の停止や減速の際に発生する回生電力を充電し利用する省エネルギーが目的でしたが、今回ギガセル®の大容量・高速充放電性能により、世界で初めて営業運転での蓄電池による停電時非常走行が実現しました。また、ギガセル®は、チョッパ装置などの電力変換装置や制御装置無しでき電線と直結できるため、設備の低コスト化および小型化を実現しています。さらに、制御装置等を介さないため制御遅れや変換損失がなく、高い省エネ効果が得られ、かつ信号設備に対する誘導障害の原因となる高調波を発生させないことを特長としています。
今後、東京モノレールで回生車両の導入がさらに増加すれば、既に他の鉄道事業者が利用しているBPSと同様に、省エネルギー効果も見込まれます。

当社は、回生電力の有効利用による省エネルギー化や、き電線電圧の安定化を主な目的として、実証試験を含めて国内外の鉄道事業者に複数のBPSを納入した実績を有しています。BPSによる停電時非常走行は、大規模地震発生時の有効な対策として、モノレール会社や地下鉄事業者をはじめ多くの鉄道事業者から関心が寄せられています。

今後とも当社は、鉄道事業の安全・安心、省エネルギーに貢献するため、BPSの営業活動を積極的に展開していきます。