新開発のLNG運搬船「エネルギーホライズン」の引き渡し
2011年09月02日
川崎重工は、本日、東京エルエヌジータンカー株式会社および日本郵船株式会社向け177,000m3型LNG運搬船「エネルギーホライズン」(当社第1664番船)を引き渡しました。
本船は、モス型としては世界最大船型となる177,000m3型LNG運搬船の第1番船となります。当社LNG運搬船の従来の標準船型は、世界の主要なLNGターミナルへ入港できる汎用性と優れた推進性能を有した147,000m3型ですが、本船はその特長を保持したまま、カーゴタンクを大型化することによりLNG積載量を大幅に増加させています。
本船の推進プラントはLNG運搬船としては世界初となる、当社が新開発した再熱サイクルプラント「川崎アドバンストリヒートタービンプラント(川崎URAプラント)」が採用されています。当プラントでは、ボイラで作られた蒸気は高圧タービンを回転させた後に一旦ボイラに戻され、再加熱後に中圧タービンを回転させます。このような再熱サイクルを採用することと、ボイラで作る蒸気を高圧・高温化することで、熱効率を大幅に向上させています。これにより、燃料消費量は従来の蒸気タービン推進プラントと比べて約15%改善します。
本船の引渡、主要目ならびに特長は次のとおりです。
<引 渡>
2011年9月2日 |
<主要目>
全長 |
約300 メートル |
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長さ(垂線間長) |
286.50 メートル |
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幅(型) |
52.00 メートル |
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深さ(型) |
28.00 メートル |
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満載喫水(型) |
11.65 メートル |
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総トン数 |
141,136 トン |
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載貨重量 |
87,257 トン |
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貨物タンク容積 |
177,440 m3 (-163℃、100%において) |
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主機関 |
川崎URA-450型再熱式蒸気タービン機関×1基
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航海速力 |
約19.5ノット |
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定員 |
44名 |
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船級 |
日本海事協会(NK) |
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船籍 |
日本(東京) |
<特 長>
1) |
本船は、4個のモス型球形独立型LNGタンクを持ち、合計で177,440m3の貨物タンク容積を有する大型LNG運搬船です。 |
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2) |
LNGタンクには、当社が独自に開発した川崎パネル方式による防熱システムを採用し、高い防熱効果によりLNGの蒸発率を約0.1%/日としています。 |
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3) |
貨物タンク区画は、二重船殻、二重底構造とし、LNGタンクはその内側に配置されているため、万一の船体損傷時でも直接タンクに損傷が及ばないよう安全に保護されています。 |
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4) |
操舵室は、最先端の電子航海機器を装備し、従来分散配置していた航海機器を集中配置して操作性の向上を計るとともに、全周に窓を配置して360度の視界を確保し、太洋航行中にはワンマン操船が可能となっています。 |
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5) |
荷役関係の監視・制御は、船橋下の居住区前面、貨物積込/揚荷区域の見通しが良い位置に設けた荷役制御室で行います。荷役制御室には、統合制御監視装置 (IAS)を配置し、荷役関係の監視・制御のほか、機関状態監視を行えるようになっています。本IASは、開発時にオペレータの経験、意見を数多く取入れて、特にオペレータの操作性に配慮したシステムとしています。 |
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