中国で車載用廃LIBリサイクルシステムの実証試験に成功

2024年01月12日

川崎重工業、中国海螺創業グループ※1、両社の合弁会社である安徽海螺川崎節能設備製造有限公司 (以下CKM) は、3社共同開発で使用済の車載用リチウムイオン電池 (以下 LIB)のリサイクル設備の実証試験を実施し、高純度のリチウムの回収に成功しました。

廃LIBリサイクル実証試験設備
廃LIBリサイクル実証試験設備

レアメタルを含有するLIBは、電気自動車普及に伴い需要が高まってきており、主要な材料であるリチウム、コバルト、ニッケルなどのレアメタルは将来の供給不足が懸念されています。一方で、廃LIBの排出量は年々増加傾向の見通しで、リサイクルによるレアメタルの安定確保が産業界全体の重要な課題となっております。

当社はセメント焼成で培った焼成技術、化学プラントで培った溶出技術を応用し、以下の特長を持つ車載用廃LIBリサイクルシステムを開発しました。

  • NCM系、LFP系※2のいずれの廃LIBも処理可能
  • 連続的かつ大量の廃LIBを処理可能
  • 硝酸、硫酸等の強酸を使用しない低環境負荷かつ経済的な処理方法
  • 電解液による発火を抑制した安全な処理方法
  • 高純度のリチウムを回収可能

今後も当社は長年培った技術力と経験を活かし、開発を推進し、中国海螺創業グループと廃LIBリサイクルを事業化することにより、循環型社会の促進に貢献していきます。

  • ※1 中国海螺創業グループ:中国最大手で世界有数のセメントメーカである海螺セメントを傘下に持ち、セメントや建材、ごみ処理などの事業を展開している企業集団。
  • ※2 NCM系:リチウム、ニッケル、コバルト、マンガンが主成分の正極材を用いたLIB
  •  LFP系 :リン酸鉄リチウムの正極材を用いたLIB

実証試験設備の概要

  • 所在地:中国安徽省蕪湖市
  • 処理能力:20ton(廃LIB)/day
  • 敷地サイズ:150mx50m
  • 対象電池:NCM系、LFP系廃LIB