米国ワイオミング州でCO2分離回収技術実証試験設備の起工式を開催
2023年06月30日
川崎重工は一般財団法人カーボンフロンティア機構(以下、カーボンフロンティア機構)と共同で、2023年5月2日に米国ワイオミング州ジレット市に位置するDry Fork石炭火力発電所に隣接するIntegrated Test Center(以下、ITC*)においてCO2分離回収技術実証試験設備の起工式を行いました。本起工式は、ITC、及び今春から同様に実証試験設備建設を開始するMembrane Technology & Research社(以下、MTR*)との共催により開催し、日米関係者約70名が参加しました。
米国側からは、ワイオミング州Mark Gordon知事、ジレット市Lundvall市長をはじめ関係者から挨拶があり、ワイオミング州・市政府関係者、Dry Fork発電所及びITC関係者が参加されました。日本側は在デンバー日本国総領事館三上総領事から祝辞を賜り、カーボンフロンティア機構塚本理事長と、当社エネルギーソリューション&マリンカンパニー CCUS事業推進室長の安原が代表として挨拶を述べました。
本実証試験は環境省委託事業「環境配慮型CCUS一貫実証拠点・サプライチェーン構築事業委託業務(固体吸収剤による分離回収技術実証)」により実施するもので、ITCにCO2分離回収設備を設置し、Dry Fork発電所から排出される排ガスよりCO2を分離回収する際のアミン由来の物質の環境影響評価試験を実施するものです。
実証試験に採用されるCO2分離回収技術は、川崎重工が独自に開発したアミン固体吸収剤を用いてCO2を分離回収するもので、従来のアミン吸収液法による技術と比較して低温蒸気によるCO2の分離・再生が可能なため、より省エネルギー効果の高い技術として期待されています。本試験は固体吸収剤によるCO2分離回収技術を用いた世界初の環境影響評価試験となる予定です。
本実証試験設備は本年10月末に建設ならびに試運転を完了し、11月から環境影響評価試験を実施する予定です。実証試験を予定通りに実施すると共に計画通りの成果を達成するよう全力で取り組んで参ります。
当社は2050 年のカーボンニュートラル達成に向けたソリューションの一つとしてCO2分離回収技術に注力しており、今回の実証試験を通して同技術の普及を加速させることを目指します。
- *ITCはCO2分離回収技術開発を目指す研究者へ発電所実排ガスを提供しサポートする技術開発拠点です。今回の起工式は川崎重工/カーボンフロンティア機構、ITC、及び並行して別事業を実施するMTRとの共催で行われたものです。MTRはメンブレンを使ったCO2分離回収装置の建設を行い、2024年4月に竣工となる予定です。