「低NOx ドライ方式水素専焼/混焼ガスタービン」が 日本機械学会賞(技術)を受賞

2025年06月03日

賞状受理
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マイクロミックス燃焼器
マイクロミックス燃焼器

川崎重工が開発した「低NOx ドライ方式水素専焼/混焼ガスタービン」が、2024年度日本機械学会賞(技術)を受賞しました。

日本機械学会賞は「日本の機械工学・工業の発展を奨励する」ことを目的として1958年に設けられ、毎年優秀な論文・技術が表彰されます。今回受賞した日本機械学会賞(技術)は、機械工業に関し数年以内に完成した新技術で、独創性、新規性、性能の相対的優秀性、社会への貢献、波及効果などの評価項目が優秀と認められた技術に贈られるものです。

今回受賞した「低NOx ドライ方式水素専焼/混焼ガスタービン」は、2023年に販売を開始した世界初のドライ方式で水素専焼が可能な燃焼器を搭載した1.8MW級ガスタービン「PUC17MMX」※1です。

水素には燃焼する際にCO2を排出しないというメリットがある一方、天然ガスに比べて燃焼速度が速く、燃焼温度が高いという特性を持つため、NOx排出量の増加や燃焼器部品の過熱などが課題となっていました。当社はマイクロミックス燃焼※2と追焚き燃焼※3を独自に組み合わせることで、これら課題に対応したドライ方式※4の水素専焼燃焼器の開発に成功しました。※5これにより、水素専焼・混焼において大気汚染防止法に準拠した安定かつクリーンな運転が可能です。また、水素と天然ガスの混焼運転にも対応しており、水素を体積比で50%から100%までの任意の割合で利用できることから、水素の供給量に応じてフレキシブルに運用できます。

当社は、将来的な水素エネルギーの普及を見据え、水素サプライチェーン(つくる・はこぶ・ためる・つかう)の構築を推進しています。日本のCO2発生量の約4割を占める発電分野において、水素を「つかう」ガスタービンは脱炭素化に貢献する重要な製品の一つであり、当社は今後もさらなる水素燃料対応のガスタービン燃焼技術の開発を進めてまいります。

※1  世界初ドライ方式「水素専焼」1.8MW級ガスタービンコージェネレーションシステムの販売を開始
https://www.khi.co.jp/pressrelease/detail/20230905_1.html
※2  小さな噴射孔から燃料を小分けに噴射し、多数の微小火炎にて燃料を燃焼させる川崎重工独自の燃焼方式。局所的な高温部分をなくし、NOx排出量を安定して低く保つことが可能となる。
※3  マイクロミックス燃焼の下流に追焚き燃焼を組み合わせた川崎重工独自の方式。追焚き燃料の調整で、マイクロミックス燃焼を安定させたまま出力を変更でき、NOx排出量を安定して低く保つことが可能となる。
※4  水噴射(あるいは蒸気噴射)を行わず、NOx 低減をする燃焼方法。燃焼エネルギーのロスが無いため水噴射方式と比べ発電効率は高くなるが、燃焼温度のコントロールが難しい。ドライ方式とすることで水噴射に付随する装置が不要となり、システムの簡素化が可能となる。
※5  本燃焼器は、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「水素社会構築技術開発事業」の一環として開発した技術を活用しています。