コージェネ大賞2023 技術開発部門「理事長賞」を受賞

2024年02月07日

コージェネ大賞2023 技術開発部門「理事長賞」授賞式写真

コージェネ大賞2023 技術開発部門「理事長賞」授賞式写真

川崎重工が開発した1.8MW級高効率ドライ※1・水素専焼ガスタービンコージェネレーションシステム「PUC17MMX」が、コージェネ大賞2023の技術開発部門で最上位となる「理事長賞」を受賞しました。コージェネ大賞は、一般財団法人 コージェネレーション・エネルギー高度利用センターが主催し、新規・先導性、新規技術、省エネルギー性などにおいて優れたコージェネレーションシステムを表彰することにより、社会的認知を図るとともに、普及促進につなげることを目的とした表彰制度です。

水素は燃焼する際にCO2を排出しない特性があるため、究極のクリーンエネルギーとして注目されていますが、天然ガスに比べて燃焼速度が速く、燃焼温度が高い特性を持つ水素を燃料とした発電設備では、NOx排出量の増加や燃焼器部品の過熱などが課題として挙げられます。これらの課題に対応するためドライ・水素専焼ガスタービンコージェネレーションシステムとして開発された「PUC17MMX」は、多数の微小な水素火炎を制御して低NOx運転を行う当社独自技術によるマイクロミックス燃焼器(以下、MMX燃焼器)を搭載し、水素専焼・混焼において、大気汚染防止法に準拠した安定かつクリーンな運転が可能です。(表1)

MMX燃焼器搭載ガスタービンは水素/都市ガス割合に応じた適切なバーナ配分とすることで、水素専焼から水素混焼率50%volまでの範囲で水素混焼運転が可能であり、水素の供給量に応じてフレキシブルに運用できます。
また、商用電源+ガス焚きボイラと比較して、水素50%混焼時のCO2削減量は年間4,300ton、水素専焼時のCO2削減量は年間12,900tonと、大幅にCO2を削減することができます。(図1)
今回の受賞は、世界初となるドライ方式で水素専焼が可能なMMX燃焼技術と、それによりCO2排出量の削減に大きく貢献できることが高く評価されたものです。※2

ガスタービンモデル M1A-17
発電出力 kW 1,786
水素消費量 Nm3/h 2,126
蒸気量(蒸気圧0.78MPaG) ton/h 5.0
NOx値(O2=16%換算) ppm 70以下
ガスタービン運転負荷範囲 %kW 0~100
発電端効率 % 28.0
総合効率 % 83.4

表1.PUC17MMXコージェネ性能(水素専焼時)

図1 PUC17MMXコージェネによるCO2削減効果
  1. ※1比較対象 商用電力+ガス焚きボイラ(ボイラ効率94%)
  2. ※2条件
    1. 負荷条件電力負荷1666kW、蒸気負荷5t/h
    2. GT運転条件吸気15℃、100%負荷、運転時間8500時間/年、蒸気圧力0.78MpaG
    3. 燃料供給圧力都市ガス0.5MPaG、水素0.8MPaG
    4. CO2排出係数都市ガス2.29t-CO2/MWh、購入電力0.451t-CO2/MWh、水素0t-CO2/MWh
図1 PUC17MMXコージェネによるCO2削減効果
PUC17MMX用のガスタービン
図2-1 PUC17MMX用のガスタービン
発電装置
図2-2 発電装置

日本のCO2発生量の約4割を占める発電分野において、水素を「つかう」ガスタービンは脱炭素化に貢献する重要な製品の一つです。当社は2030年までに、本燃焼器を当社が販売するすべてのガスタービンコージェネレーションシステムに搭載する予定としており、将来的な水素エネルギーの普及を見据え、水素サプライチェーン(つくる・はこぶ・ためる・つかう)の構築を推進していきます。

  1. ※1NOxの発生を抑制するために、燃焼器内に水(あるいは蒸気)を噴射するウェット方式に対して、水(または蒸気)噴射を用いない方式をドライ方式と呼ぶ。燃焼エネルギーのロスが無いためウェット方式よりも燃料経済性に優れる。
  2. ※2本燃焼器は、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「水素社会 構築技術開発事業」の一環として、「ドライ低NOx水素専焼ガスタービン技術開発・実証事業」(2019年度~2020年度)、「水素CGSの地域モデル確立に向けた技術開発・研究」(2021年度~2022年度)において開発した技術を活用しています。(図2)

【参考リンク】