1.8MW級 水素ガスタービン「PUC17MMX」が日刊工業新聞社 十大新製品賞 増田賞を受賞

2024年01月25日

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川崎重工が開発した1.8MW級のドライ・水素専焼型のガスタービン「PUC17MMX」が、第66回十大新製品賞において最上位の「増田賞」を受賞しました。十大新製品賞は、日刊工業新聞社が主催し、その年に開発、実用化した、モノづくりの発展や日本の国際競争力強化に役立つ製品が表彰されます。

水素には燃焼する際にCO2を排出しないというメリットがある一方、天然ガスに比べて燃焼速度が速く、燃焼温度が高いという特性を持つため、NOx排出量の増加や燃焼器部品の過熱などが課題となっていました。

当社はマイクロミックス燃焼1と追焚き燃焼2を独自に組み合わせることで、これら課題に対応したドライ方式の水素専焼燃焼器(以下、「本燃焼器」)の開発に成功し、世界で初めて製品化しました。3 これにより、水素専焼・混焼において大気汚染防止法に準拠した安定かつクリーンな運転が可能です。また、水素と天然ガスの混焼運転にも対応しており、水素を体積比で50%から100%までの任意の割合で利用できることから、水素の供給量に応じてフレキシブルに運用できます。
今回の受賞は、世界初となるドライ方式での水素専焼が可能な本燃焼器を搭載したガスタービンの製品化を通じて、CO2排出量の削減に大きく貢献できる点が高く評価されたものです。

当社は2030年までに、本燃焼器を当社が販売するすべてのコージェネレーションシステム用ガスタービンに搭載する予定としており、将来的な水素エネルギーの普及を見据え、水素サプライチェーン(つくる・はこぶ・ためる・つかう)の構築を推進していきます。日本のCO2発生量の約4割を占める発電分野において、水素を「つかう」ガスタービンは脱炭素化に貢献する重要な製品の一つであり、当社は今後もさらなる水素燃料対応のガスタービン燃焼技術の開発を進めてまいります。

1 小さな噴射孔から燃料を小分けに噴射し、多数の微小火炎にて燃料を燃焼させる川崎重工独自の燃焼方式。局所的な高温部分をなくし、NOx排出量を安定して低く保つことが可能となる。
2 マイクロミックス燃焼の下流に追焚き燃焼を組み合わせた川崎重工独自の方式。追焚き燃料の調整で、マイクロミックス燃焼を安定させたまま出力を変更でき、NOx排出量を安定して低く保つことが可能となる。
3 本燃焼器は、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「水素社会 構築技術開発事業」の一環として、「ドライ低NOx水素専焼ガスタービン技術開発・実証事業」(2019年度~2020年度)、「水素CGSの地域モデル確立に向けた技術開発・研究」(2021年度~2022年度)において開発した技術を活用しています。

■日刊工業新聞社 第66回「十大新製品賞」について
https://corp.nikkan.co.jp/p/honoring/jyudaishinseihinshou

■事業名:水素社会構築技術開発事業

事業期間:2014年度~2025年度

事業概要:https://www.nedo.go.jp/activities/ZZJP_100096.html

■ドライ方式水素ガスタービンで、窒素酸化物の大幅削減と水素・天然ガス混合燃料を用いた実証運転に

成功

https://www.khi.co.jp/pressrelease/news_220929-2.pdf

■世界初ドライ方式「水素専焼」1.8MW級ガスタービンコージェネレーションシステムの販売を開始

https://www.khi.co.jp/pressrelease/detail/20230905_1.html

■水素ガスタービン開発ロードマップ

https://www.khi.co.jp/energy/hydrogen-introduction.html