大型貫流ボイラで初めてVOC(揮発性有機化合物)の完全燃焼処理に成功(川重冷熱工業)

2010年08月31日

  川重冷熱工業は、大型貫流ボイラで初めてVOC(揮発性有機化合物)を直接燃焼法で酸化分解させる「VOC燃焼システム」の開発に成功し、VOCを完全処理することを実機で実証しました。

VOC(Volatile Organic Compounds)とは、揮発性を有し大気中でガス状となる有機化合物の総称で、主に塗料・印刷インキ・接着剤・洗浄剤などに含まれており、代表的な物質として、トルエン・キシレン・イソプロピルアルコールなどの物質があります。大気汚染防止法ではVOCの排出抑制に対し、法規制及び自主的な取組促進などの施策が講じられています。しかしながら、専用の処理設備は規模が大きく装置価格が高価で、ランニングコストもかかることから、特に中小製造業においてさらなるVOCの排出削減への取り組みが求められています。

このたび当社が新開発した「VOC燃焼システム」は、多くの工場で生産に利用されるボイラの燃料にVOCを混入し燃焼させ、VOCを確実に処理できる700℃以上の高温で酸化分解する直接燃焼法を採用しています。これにより、専用処理装置が無くてもVOCを完全処理することが可能となり、処理コストの削減が図れます。

VOCを貫流ボイラで燃焼処理するためには、不安定に発生する多種類のVOCへの対応が課題となりますが、貫流ボイラで当社のみが採用している高度なPI(比例積分)燃焼制御に加え、VOC混合による必要空気量を安定させる燃焼制御の開発により、VOCの完全処理を達成しています。当社は、レンゴー株式会社武生工場に納入した大型貫流ボイラIF-6000AGE(換算蒸発量6t/h)に本システムを採用し、数種類のVOCを処理する実証試験を行い、いずれも酸化分解により排出基準値を大幅にクリアしました。

本システムの主な特長は以下のとおりです。

1. ボイラ缶体内でVOCが完全に高温処理されることによる高信頼性。
2. 触媒燃焼法の触媒や吸着法の活性炭のような劣化要素が無く、保守および管理が容易。
3. VOC処理のために消費される燃料代の削減。
4. 独自の制御システムにより幅広いVOC混合比率で適正な燃焼と蒸気圧力を維持。

当社は、VOCを安価かつ完全に処理できる特長を生かして化学・製紙・印刷工場を中心に積極的に提案します。今後も、さらなるVOC削減技術を通して地球環境保護と省エネルギーに貢献していきます。

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