高知県仁淀川町が取り組むバイオマス実験事業において 自社開発の木質バイオマスガス化発電システム等を使った実証試験を完了(カワサキプラントシステムズ)

2010年07月13日

 

  川崎重工グループのカワサキプラントシステムズは、高知県仁淀川町が取り組むバイオマス実験事業に参画し、自社開発した木質バイオマスガス化発電システムおよびペレット製造設備を使った実証試験を完了しました。

本実験事業は、仁淀川町が独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から「バイオマスエネルギー地域システム化実験事業」として委託を受け、2007年4月より3ヵ年かけて実証試験を行ってきたものです。
当社は仁淀川町より委託を受け、木質バイオマスによる小規模分散型としては世界で初めてとなる流動層ガス化・ガスタービン発電設備、およびペレット製造設備など実験事業の中核となるプラントを設置し、3年間にわたりプラントの操業を担当しました。本プラントは、当社が開発した流動層ガス化炉とガスタービンによる低カロリーガス燃焼技術を適用した独自のシステムです。

実験を通じて、操業の最適化・自動化を目的とした改良を行うとともに、各設備の耐久性や環境への影響などに関する検証・確認を行いました。今回の実証プラントは、ガス化発電設備において安定して150kWの発電操業を実現するとともに、ペレット製造設備で年間約600トンのペレットを製造し、重油代替燃料として地域の4施設にペレットの安定供給を続けています。これらのバイオマスエネルギーの利用により得られるCO2削減効果は、年間約800トンに相当することが確認されています。
NEDO委託事業としての実証試験は完了しましたが、仁淀川町では、実験事業終了後もバイオマス事業として、バイオマスガス化発電設備およびペレット製造設備の操業を継続していく意向です。

本プラントでは、流動層ガス化炉にて約650度で木質バイオマスを熱分解によりガス化し、多量のタール成分を含む生成ガス(COとH2)をそのままガスタービン燃焼器に導入してガスタービンによる発電を行います。従来、処理が困難なことから除去または分解されていたタール成分を高温のままガスタービンに導入し、燃料として有効利用しているため、同規模の直接燃焼・蒸気タービン発電方式に比べ約3倍の高効率発電が可能であり、小規模なバイオマスを利用できます。

川崎重工とカワサキプラントシステムズは、2007年度より2009年度までの3年間、高知県が推進する「協働の森づくり事業」に賛同し、高知県および仁淀川町との間で「『Kawasaki-仁淀川学びの森』パートナーシップ協定書」を締結していますが、2010年度も契約を継続することを決定しました。本事業の協賛金は、仁淀川町内での間伐や林道整備に充当されCO2削減に寄与するとともに、社員研修における体験間伐などを通して、地域住民との交流を図る活動を行っています。
当社は、本事業への協賛を通じて、林地残材や間伐未利用材の有効活用によるエネルギー自給システム構築・地域の活性化を目指す仁淀川町を側面からサポートしていきます。

当社は、バイオマスや風力、太陽光などの未利用で再生可能なエネルギーの活用を促進する最新技術の開発や製品の拡販を通じて、温室効果ガス排出量削減や資源の有効利用による循環型社会構築に貢献していきます。

□ 設備の概要

(1) 設備構成 : 流動層ガス化炉、ガスタービン発電設備、排熱ボイラ、ペレット製造設備
(2) 燃料 : 林地残材(末木、枝条、曲材等)の破砕物
(3) 発電電力 : 150kW
(4) 発電効率 : 15%
(5) 蒸気発生量 : 400kg/h
(6) 運転時間 : 2,000時間/年間
(7) ペレット生産量 : 600トン/年間