川崎重工は、排温水や排ガスを利用した小型バイナリー発電設備の製造・販売を開始します。 販売に先駆け、当社神戸工場で250kW級の小型バイナリー発電設備の試運転を本年4月より実施し、このたび所期の性能を確認しました。 バイナリー発電とは、沸点の低い媒体を利用することで低温熱源からエネルギーを取り出し、タービン発電機を稼動させることで、電力を生み出す省エネルギーシステムです。これまで未利用であった排温水(80℃~120℃)や排ガスを有効利用して電力を得ることから、CO2排出削減に貢献することが可能です。 当社が新たに製造・販売する小型バイナリー発電設備は、同様のシステムであるフロンタービン発電設備で培った技術を活用しており、新たな低沸点媒体(特許申請中)の採用により優れた環境性能、高い経済性を実現します。
本システムの主な特長は次のとおりです。 (1)優れた環境特性媒体の適用(特許申請中)
オゾン破壊係数(ODP)がゼロ、地球温暖化係数(GWP)も非常に小さく、かつ熱回収効率の大きな媒体を採用しています。
(2)小型パッケージ
直結高速タービン発電機の採用と熱交換器の高性能化により、コンパクトな小型パッケージ化を実現しています。
(3)媒体保有量の最小化
流下液膜式蒸発器(特許申請中)を採用し、媒体保有量の最小化を実現しています。
(4)キャンドタービン発電機の採用
軸封装置が不要なキャンド型の採用により、媒体の外部漏洩を防止します。
小型バイナリー発電設備は、工場、ごみ焼却場、下水処理場、発電所等における排熱や地熱、温泉熱水といった分散低温熱源の有効利用を可能とするシステムであり、50kWから250kWの出力範囲でラインアップします。 また、1980年代に開発・納入したフロンタービン発電設備で培った技術を活用することで、優れた環境特性を持つ新たな低沸点媒体使用の4MW級までの大型バイナリー発電タービンのラインアップも予定しています。
当社は今後とも環境負荷低減に貢献する発電設備の提供、販売に取り組み、エネルギー・環境ビジネスを積極的に展開していきます。
□標準主要目
型式 |
KFR-1 |
KFR-2 |
発電端出力 (kW) |
50~125 |
100~250 |
温水入口温度 (℃) |
80~120 |
80~120 |
温水入口流量* (ton/hr) |
90 |
180 |
タービン発電機入口蒸気圧力* (KPaG) |
312 |
312 |
タービン発電機入口蒸気温度* (℃) |
80 |
80 |
タービン発電機回転数 (rpm) |
約9,000 |
約9,000 |
発電機型式 |
永久磁石式3相交流 高周波同期発電機 |
永久磁石式3相交流 高周波同期発電機 |
*各型式の最大発電端出力で、温水入口温度が98℃の状態値を一例で示します。 |