ボイラによる未利用副生水素の有効利用システムを新開発(川重冷熱工業)

2009年08月04日

 

 

川重冷熱工業は、ボイラ燃焼制御において、副生水素を従来よりも簡便かつ安定的に燃焼制御できる「都市ガス(13Aガス)と副生水素の混焼システム」を新開発しました。

化学製品などの生産過程から副産物として発生する副生水素は、ボイラの燃料として活用可能であり、さらに燃焼に際しCO2を全く発生させずCO2の削減効果が大きいため、近年、有効利用の要望が強まっています。しかしながら、副生水素は発生量が安定しないため、都市ガスと混焼して利用する場合、ボイラに空気量および排ガスO2を測定する計測装置を個別に設置し、これらの計測装置による燃焼制御が必要となることから、副生水素の有効利用の阻害要因となっています。

このたび当社が新開発した「都市ガスと副生水素の混焼システム」は、長年にわたる副生燃料の燃焼制御の技術を基に、都市ガスと副生水素の流量から最適な空気量を演算することにより、空気量および排ガスO2を測定する計測装置を設置せずに、不安定な発生量の副生水素を有効利用できる業界初の画期的な燃焼システムです。
本システムの初号機である炉筒煙管ボイラを納入した南海化学工業小雑賀工場(和歌山県和歌山市)においては、従来廃棄していた副生水素を本システムで有効利用することにより、年間109万m3Nの天然ガス使用量と年間2500tのCO2が削減されます。

本システムの具体的な特長は、以下のとおりです。

(1) 都市ガス専焼と都市ガス/副生水素混焼の両燃焼モードを搭載しており、操業変動により副生水素が発生しない場合でも、蒸気需要に対応可能。
(2) 制御ロジックの改善により、燃焼モードの切替はボイラ負荷に関わらず運転継続しながらワンタッチ操作で可能。
(3) 計測装置を設置して燃焼制御を行う従来システムに比べてイニシャルコストが低い。
(4) 炉筒煙管ボイラのみでなく、水管ボイラへの搭載も可能。

当社は、副生水素の発生量が少ないために、副生水素をボイラ燃料として利用することを断念し、大気放出しているユーザーや化石燃料焚ボイラ設備の併設が必要であったユーザーに対して、本システムを積極的に提案していきます。今後も副生バイオマスの有効利用なども視野に入れ、省エネルギー・環境負荷低減に貢献していきます。

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