世界初、舶用電子制御ディーゼル機関での過給機カット運転を実用化

2009年04月21日

 

 

 

川崎重工は、温室効果ガス(CO2など)の削減や、昨今の燃料油価格の変動に応える技術として、世界で初めて舶用電子制御ディーゼル機関において過給機カット運転を実現するシステムを実用化しました。

本システムは、3台以上の過給機を装備する主機関の部分負荷運転において、1台の過給機を積極的に不作動とすることにより、掃気圧、空気圧縮圧、燃焼最高圧を上昇させ、熱効率の向上を図り、燃費を低減する運転を実現するものです。2008年末に、川崎-MAN B&W 12K98ME型主機関の陸上運転において本システムの試験運転を実施し、最大約4%の燃費低減を実証しました。
本システムの初号機は、2008年度末就航の川崎汽船向け8000TEUコンテナ船主機関に搭載しています。

一般的に、主機関の燃焼改善を行うと火炎温度が上昇するためNOx排出量が増加するとともに、排ガスエネルギーが減少し排熱利用システムの出力が減少します。本システムは、排気弁開閉タイミング、燃料噴射タイミング、排ガスバイパス率を負荷に応じて最適な値に制御することによって、燃費低減と排ガス温度の確保、NOx排出規制を満足させます。また、本運転の実施においては、カットする過給機のガス流路に閉塞板を挿入することが必要ですが、主機関側の設定変更については主機関操縦パネル上にある「過給機カット運転モード」を画面上でワンタッチ選択するのみであり、主機関の操縦者に配慮した操作方法を適用しています。

当社は、今後も舶用電子制御ディーゼル機関の可変制御機構を最大限に生かし、主機関単体だけでなく船舶のエネルギーシステムや運航条件も含めた、全体最適を考慮した新たな運転モードを積極的に開発していきます。