農水省よりバイオエタノール製造実証事業の事業主体として採択

2008年11月18日

 

 

 

 

川崎重工グループのカワサキプラントシステムズは、農林水産省が公募した「ソフトセルロース利活用技術確立事業(第2回ソフトセルロース利活用モデル)」において、このほど、(社)秋田県農業公社とともに、稲わら等を原料とするバイオエタノール製造実証事業の実施主体に採択されました。

本事業は、食糧供給と競合しない未利用資源である稲わらや籾殻等のソフトセルロースからバイオエタノールを製造する技術の確立を目指すもので、稲わら等の収集運搬実証や、稲わら等を原料とするバイオエタノールの製造実証および走行実証の一体的取り組みを、農水省が支援します。今回の事業では、秋田県の全面的な支援のもと、日本有数の稲作地帯である秋田県大潟村(八郎潟干拓地)で採れた稲わらを使用し、収集運搬実証については秋田県農業公社が、バイオ燃料製造実証および走行実証については当社が事業主体となり、平成20年度から24年度にかけて実証試験を行います。

当社が担当するバイオ燃料製造のシステムは、原料の前処理・糖化工程・発酵工程・蒸留工程から構成されます。今回、当社は稲わらの糖化工程において、新技術としてNEDOと共同開発中である「熱水式バイオエタノール製造技術」を採用する予定です。この方法は、従来用いられてきた硫酸を使用せず、熱水を用いてセルロースの糖化処理を行うもので、硫酸を使用する従来の方法に比べて、その分離・回収・固定のための設備を必要としないため、反応容器の腐食対策の低減や硫酸回収設備の削減などによってコストを抑えることができます。

バイオマスの利活用は、地球温暖化防止や循環型社会の形成などに資するものとして世界的に期待されており、わが国の施策としても、京都議定書や新・国家エネルギー戦略において普及目標が掲げられています。一方で、稲わら等農産物の非食用ソフトセルロースは、農村部に広く分布しているものの、これを利用して効率的にバイオ燃料を製造する技術が未だに確立されていないため、その利活用のための開発・取り組みが強く求められている状況があります。

当社はバイオマス事業に関して、高知県仁淀川町の木質バイオマスガス化発電実験事業や、石川県珠洲市浄化センターの複合バイオマスメタン発酵処理施設へも納入実績があり、今回の採択は、その技術力と経験が高く評価されたものです。今後とも当社は、バイオマスや風力、太陽光などの再生可能なエネルギーの有効利用を促進する最新技術の開発や拡販を通じて、温室効果ガス排出量削減や資源の有効利用による循環型社会構築に貢献していきます。

□バイオ燃料製造実証設備の概要
(1)設置場所 : 秋田県 潟上市 昭和工業団地内
(2)生産能力(最大) : 200リットル/日 (年間112日稼動予定)
(3)敷地面積 : 4,800m2 (80m×60m)
(4)製造エタノール濃度 : 99.5vol%