石川県の珠洲市浄化センター向けに5種類のバイオマスを混合処理する複合メタン発酵処理施設を納入(カワサキプラントシステムズ)

2007年07月25日

 

  川崎重工グループのカワサキプラントシステムズは、珠洲市浄化センター(石川県)内に複合バイオマスメタン発酵処理施設を納入しました。本施設は、国土交通省と環境省が連携して推進するバイオマス利活用に関する初の事業として、国土交通省の「新世代下水道支援事業制度」に採択され、環境省の支援を受けて建設しました。当社は2006年1月に受注した後、建設工事を進めて、2007年4月から試運転とメタン発酵槽の立上げを行い、本日、本施設を竣工しました。

今回納入した施設は、下水汚泥やし尿、浄化槽汚泥、農業集落排水汚泥などの有機性廃棄物と珠洲市の主要産業である水産加工の過程で発生する魚のアラなどの事業系生ゴミを集約混合処理し、同時に処理過程で発生したメタンガスを施設の加温や汚泥を乾燥する際の熱エネルギーとして有効活用する先進的な施設です。また、本施設で製造された乾燥汚泥は有機肥料として地域に還元され、循環型社会の形成に大きく貢献します。

本施設は、各バイオマスの受入・前処理設備、メタン発酵設備、汚泥脱水設備、汚泥乾燥設備、加温設備、脱臭設備などで構成されており、当社はシステム全体の設計から、主要機器の供給、機器据付等の試運転を含む施工までの現地工事一式を行いました。本施設の特長は以下のとおりです。
1. 各バイオマスの発生量、質の変化にも大きな影響を受けずに、将来にわたり継続して安定した運転を行うことができます。
2. 各バイオマスの前処理設備は、プラスチックなどの発酵不適物を効果的に除去できるよう配慮されています。特に魚のアラなど水産加工廃棄物を含む生ごみについては、破砕分別機に改良を加えることにより、高い回収率を得るとともに、可溶化処理を行いメタン発酵の効率化を図っています。
3. 鋼板製縦型メタン発酵槽は、当社が海外から導入した技術をベースに改良を加えたもので、効率的なメタン発酵を行うことができます。
4. 本施設から発生する排水は既設の下水処理施設で処理するため、新たな設備を付加する必要がなく、浄化センターからの放流水にも影響を与えません。

当社はこれまで、バイオマスメタン発酵処理施設の分野で実証設備を含む2件の実績を有するとともに、生ごみのメタン発酵処理についても実証試験を行うなどバイオマスエネルギーの利活用に積極的に取り組んでいます。

今後とも当社は、バイオマスをはじめとする未利用で再生可能なエネルギーの有効利用を促進する技術開発や製品の拡販を通じて、温室効果ガス排出量削減や資源の有効利用による循環型社会構築に貢献していきます。

□施設の概要
所在地 石川県珠洲市熊谷町地内 珠洲市浄化センター内
主要機器 スイングハンマー式破砕分別機
  メタン発酵槽(500m3
  ガスホルダ(400m3
  スクリュープレス式汚泥脱水機
  間接加熱式蒸気乾燥機
施設規模 日平均(日最大) 事業系生ゴミ 1.4wt/日 (2.4wt/日)
    下水汚泥 15.3wt/日 (22.5wt/日)
    し尿 7.6wt/日 (11.3wt/日)
    浄化槽汚泥 8.1wt/日 (14.6wt/日)
    農業集落排水汚泥 0.5wt/日 (0.7wt/日)
    合計 32.9wt/日 (51.5wt/日)