高知県仁淀川町が取り組むバイオマス実験事業において、自社開発の木質バイオマスガス化発電システム等を使った実証試験を開始(カワサキプラントシステムズ)
2007年05月18日
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川崎重工グループのカワサキプラントシステムズは、高知県仁淀川町が取り組む実験事業に参画し、自社開発した木質バイオマスガス化発電設備およびペレット製造設備の設置を完了し、実証試験を開始しました。 本事業は、仁淀川町が独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から「バイオマスエネルギー地域システム化実験事業」として委託を受けて取り組んでいるものです。 当社はこの事業の一環として、木質バイオマスによる小規模分散型としては世界で初めてとなる流動層ガス化・ガスタービン発電設備と、その排熱を利用したペレット製造設備などの中核システムの設置を、2007年3月までに完了しました。この発電設備は、当社が開発した流動層ガス化炉とガスタービンによる低カロリーガス燃焼技術を適用した独自のシステムです。また、2007年4月、当社は仁淀川町から再委託を受け、本事業の経済性等を評価するための実証試験を開始しました。この実証試験は、2009年度まで3年間にわたり実施されます。 これらを受けて、本日、仁淀川町の主催で、関係者による本設備の火入れ式が執り行われます。 本設備は、木質バイオマスを利用したガスタービン発電設備および排熱ボイラにより蒸気を発生させる熱電併給システムと、ガスタービン排熱を利用したペレット製造設備で構成されます。 今回の実証試験では、高知県佐川町の株式会社ソニア敷地内に設置した木質バイオマスガス化発電システムにより、林地残材等を利用して150kWの発電を行うとともに、排熱ボイラにより木材乾燥機に蒸気を供給します。また、排熱ボイラの排熱と発電した電力の一部を利用して600トン/年の木質ペレットを生産し、地元の温水プール・宿泊施設や養護施設など4ヶ所で重油代替燃料として利用します。 本実験事業は、仁淀川流域の森林に放置されている林地残材、間伐未利用材を有効利用し、将来的に地域で必要なエネルギーを自給するシステムを構築することを目的としています。仁淀川町では、本事業を通じて林業の構造転換を図り、雇用の創出と地域の活性化を進めることが期待されており、当社の木質バイオマスガス化発電システムは小規模で高効率なエネルギー転換技術として、これに寄与するシステムと高く評価されています。 当社は、平成13~16年度にNEDOの委託を受け、(財)エネルギー総合工学研究所、高知県、東京大学、東京農工大学、島根大学などと共同で本システムの研究開発を実施しました。本システムでは、流動層ガス化炉にて約650℃で木質バイオマスを熱分解によりガス化し、多量のタール分成分を含む生成ガス(COとH2)をそのままガスタービン燃焼器に導入してガスタービンによる発電を行います。従来、処理が困難なことから除去または分解されていたタール成分を高温のままガスタービンに導入し、燃料として有効利用しているため、同規模の直接燃焼・蒸気タービン発電方式に比べ約3倍の高効率発電が可能であり、小規模なバイオマスを利用できます。 当社は、バイオマスや風力、太陽光などの未利用で再生可能なエネルギーの有効利用を促進する最新技術の開発や製品の拡販を通じて、温室効果ガス排出量削減や資源の有効利用による循環型社会構築に貢献していきます。 □設備の概要
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