「787ドリームライナー」前部胴体を初出荷

2007年01月11日

 

 

 

川崎重工は、ボーイング社が開発を進めている新型旅客機「787ドリームライナー」の当社担当部位である前部胴体の開発製造を完了し、本日、名古屋第一工場から初出荷します。
今回出荷した前部胴体は、名古屋第一工場近くの岸壁からバージ(艀:はしけ)によってセントレア(中部国際空港)に運ばれ、専用機(ボーイング747ラージカーゴフレーター「ドリームリフター」)で米国サウスカロライナ州のグローバルエアロノーティカ社へ空輸されます。そこで後部胴体と合体したのち、ワシントン州のボーイング社へ空輸され、最終組立に入ります。
「787ドリームライナー」は、200~300席クラスの高効率運航を目指した中型旅客機であり、設計の斬新さや革新的な生産技術が多数導入されています。当社は、「787ドリームライナー」の開発および量産事業に参画し、前部胴体、主脚格納部および主翼固定後縁を担当しています。特に、当社が担当する胴体構造部位においては、民間旅客機として世界で初めて複合材製の一体成形構造が採用され、製造方式が従来と大きく異なります。
当社は、2006年7月10日に、「787ドリームライナー」向け製品を生産する新工場を竣工し、複合材部品の加工から前部胴体の組立までを一貫生産する効率的な製造ラインを構築しました。今回出荷した前部胴体は、この新工場に設置した、プリプレグテープを同時に積層できるファイバープレイスメント装置「プリプレグ自動積層機」や、直径約6メートルの巨大な円筒形をした「マンドレル治工具」、積層された複合材を高温高圧で焼き固める世界最大級(直径約9メートル)の「オートクレーブ(複合材硬化炉)」などの最新鋭設備を駆使し、完成に至りました。
当社は、「787ドリームライナー」開発プログラムにおいて、他の共同開発パートナーも同様に後部胴体等の製造に取り組む中、最初に胴体部分を出荷することができました。これは、当社の設計者、生産技術者および現場関係者の弛まぬ努力によって、開発スケジュールを確保したものです。今回の初出荷は、本プログラムの成功にむけての大きな一歩であります。
現在、「787ドリームライナー」は2007年後半の初飛行を目指している試作初号機の完成に向け、各社担当部位の作業は最終段階に差し掛かっております。当社においても、今回の初出荷で弾みをつけ、続く次号機の製造にも万全を期し、計画どおり出荷できるよう全力を挙げて取り組んでいきます。
当社は、引き続き高品質な製品の提供を通じて、ボーイング社の本プログラムに貢献していくとともに、民間航空機事業の拡大に向けて積極的に取り組んでいきます。

□ボーイング787(基本型)の主要諸元
座 席 数   210~250席
最大離陸重量   約214t(476,000lbs)
航続距離   14,800~15,700km
最大巡航速度   マッハ0.85
搭載エンジン   GEnx(GE社製)/Trent1000(RR社製)
機体サイズ   全長57m、翼幅60m、全高17m