立体交差化工事を短期間で実現する「ジェットクロス工法」を開発

2004年07月13日

川崎重工は、株式会社竹中土木と共同で、交差点や踏切の立体交差化工事を短期間で実現する「ジェットクロス工法」を開発しました。

近年、都市部の交通渋滞を緩和し活性化を図るため、交差点や踏切の立体化が進められていますが、大掛かりな交通規制が敷かれるとともに、工事現場が道路交通や鉄道運行上の制約を受けて工事期間が長期化することにより、更なる渋滞が発生しています。また、工事中の振動・騒音等が長期間にわたることにより、周辺住民の生活環境への影響を抑制することが求められています。
今回新開発した「ジェットクロス工法」は、工事に必要とされる作業占有帯を小さくすることで、工事期間中の車線規制や通行止めによる二次渋滞を回避しつつ、上・下部同時施工などにより工期を従来の6ヶ月から最短で2.5ヶ月に短縮することができる画期的な施工技術です。


「ジェットクロス工法」の特長

■工期を2.5ヶ月に短縮
下部工の完成を待たずに上部工の着手を可能としたことにより、上・下部工を同時に施工でき、工期を大幅に短縮できます。また、橋梁部分への傾斜道路であるアプローチ部の施工においては、部材のプレキャスト化により現場作業を迅速化します。

■交通規制の最小化
交通規制が必要な工事占有帯を、立体化する幅員程度に収めることが可能なことから、工事中でも右折専用車線を確保でき二次渋滞の抑制を図れます。また、交差点の全面通行止めは夜間1~2回で済みます。


<ジェットクロス工法を支える技術>

(1)下部工施工に「構真柱(こうしんちゅう)」を採用
橋脚に、建築の逆打ち工法で実績のある「構真柱」を採用しています。強靭な構真柱を先に立てることで、下部工の完成を待たずに上部工に着手でき、工期を大幅に短縮できます。

(2)上部工架設に、独自の送り出し架設工法を開発
実績のある従来の送り出し架設工法を改良し、交差点部の架設を簡略化しました。現場条件により、「手延べ式」と「キャスター付ベント式」を選択できます。
・「手延べ式送り出し架設」では、交差点に仮設材を設置する必要がなく、既設の歩道橋や分離帯などを備えた交差点で特に有効な工法です。従来の送り出し架設で必要としていた橋桁の降下作業を省略できるよう改良し、工期の短縮を図れます。
・「キャスター付ベント架設」は、ジャッキ付台車で橋桁先端を支持しながら送り出す工法で、交差点部の交通規制は夜間1回で済みます。ドーリー(橋桁架設用の大型建設車両)に比べて非常にコンパクトなため、ドーリーの搬入経路が確保できない現場条件での工事を可能とします。

(3)プレキャストブロックを採用したアプローチ部施工
中空で軽量なプレキャストブロックを千鳥状に積み上げ、数を減らすことで、基礎地盤への影響を抑えるとともに施工性も向上します。

当社は、世界最大の吊橋である明石海峡大橋や世界初の旋回式浮体橋である夢舞大橋をはじめ、高速道路のジャンクションや立体交差橋など、数多くの鋼橋を手掛けた実績があります。特に、送り出し架設においては、豊富な経験を有し、業界でトップクラスの施工実績を持っています。
今後、当社は、竹中土木と共同で両社のノウハウを活かした立体交差急速施工「ジェットクロス工法」の積極的な営業活動を展開していきます。

なお、立体交差急速施工「ジェットクロス工法」は、7月15~16日にマイドームおおさか(大阪市)で開催される「建設技術展2004近畿」に出展します。