新型燃料噴射装置を開発し、三種類の燃料に対応するガスタービンコージェネレーション設備をトルコに初納入

2003年08月06日

川崎重工は、LPG(液化石油ガス)を液体のまま燃焼(液相燃焼)でき、三種類の燃料(LPG、天然ガス、軽油)が使用可能な新開発の燃料噴射装置を搭載したコージェネレーション設備を、トルコの繊維製造会社・オズデリック社(所在地:ブルサ市内)に納入しました。なお、当社が産業用ガスタービン発電設備をトルコに納入するのは初めてです。

今回当社が開発した新型燃料噴射装置は、LPGの一部を気化させて得られる気化熱を利用し、燃料通路を冷却することで、LPGが燃料ノズル内で気化して流量制御できなくなること(ヴェーパーロック)を防止しています。これにより安定したLPG液相燃焼ができるとともに、これまで部品の耐熱性の問題から、燃料として使用することが困難であったLPGやブタン100%の液相燃焼も可能にしています。

今回納入した設備は、新型燃料噴射装置を搭載し、自社開発の7,000kW級ガスタービンエンジン「M7A-02」を使用したコージェネレーション設備で、7,000kWの電力と12トン/時の蒸気を供給します。発生した電気と蒸気は、オズデリック社の繊維製造工場内で主に使用します。また本設備は、新型燃料噴射装置によりLPG、天然ガス、軽油の三種類の燃料を使用することが可能で、通常は天然ガスを燃料として使用し、運転中に天然ガス供給が停止した場合、軽油やLPGに燃料を自動的に転換できるため、安定した電力供給が可能です。

当社はLPG以外にも、2002年1月にジメチルエーテル(DME)の液相燃焼技術開発に国内で初めて成功しています。今後LPG、DMEなど、液体ガス燃料対応の新型燃料噴射装置を、自社開発のガスタービン全機種に適用する予定です。

当社は、自社開発による150~20,000kW級の産業用ガスタービン発電設備を保有しており、1976年以来、非常用発電設備、コージェネレーション発電設備合わせて7,000台以上の納入実績を持っています。国内では、顧客の使用条件に合わせた多様な製品バリエーションや、キメ細かなアフターサービス体制により60%以上の市場シェアを持つトップメーカーとして高い信頼を得ています。また海外でも各地に販売・サービス拠点を設置しており、これまでアジア・欧米を中心に500件を超える納入実績を持っています。

今後も当社は環境負荷低減、省エネルギーに貢献し、多様な顧客ニーズに幅広く対応するガスタービン発電設備の開発、販売に注力していきます。