普及型バイオガスプラントの実証設備を完成

2003年02月19日

 

川崎重工は、北海道上川郡清水町で建設を進めていた、普及型バイオガスプラントの実証設備を完成し、本格的な稼動を開始します。

今回完成した設備は、1998年に当社がフォルケセンター(デンマーク)から技術導入した「フォルケセンター方式バイオガスプラント」です。当プラントは、受入槽、発酵槽、コージェネレーション設備、消化液貯槽、その他機器の各ユニットで構成しています。発生したバイオガスはガスエンジン式コージェネレーション設備の燃料として利用され、発電された電力および温水は、当設備を設置した一般酪農家の牧場内施設ですべて使用します。

今回完成した「宮崎牧場バイオガスプラント」の特長は、以下のとおりです。

(1) 受入槽、発酵槽、コージェネレーション設備、消化液貯槽、その他機器で構成し、各ユニットをシンプルかつコンパクトに設計しており、建設コストおよび運転コストを低く抑えられます。
(2) シンプルな発酵プロセスの採用と、水平円筒型発酵槽の採用によりプラント機器類の高さが低くおさえられ、運転および日常の保守・点検が容易で、高度な専門知識がなくても日常のメンテナンスが可能です。

この設備は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募した「平成13年度 環境調和型エネルギーコミュニティフィールドテスト事業」の補助により、当社が行う「普及型メタン発酵、コージェネレーション実証設備事業」を目的としたプラントです。本事業で当社は、日本の酪農・畜産農家で深刻化する糞尿処理と、糞尿を原料とするバイオガスを利用したエネルギー有効利用設備の普及をねらった、普及型バイオガスプラントの設置、および運転データの採取を行います。

この実証設備を設置した清水町は、道内でも厳寒期の気象条件が特に厳しい北海道十勝地域にあり、バイオガスプラントの安定した運転が極めて難しい地域で、このような厳しい環境下で安定的にバイオガスプラントの運転を行い、日本の風土に適した、操業しやすい普及型バイオガスプラント技術の確立を目指すものです。

現在わが国では、し尿処理施設での有機エネルギーの回収の義務化に続き、「家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律」(1999年11月1日施行)により、2004年11月以降、家畜排せつ物の屋外放置に本格的な規制が実施されるため、家畜排せつ物の適正処理ならびに資源としての有効利用を目的とする設備の普及、市場の拡大が期待されています。

当社は、2001年3月に独立行政法人北海道開発土木研究所向けに6.3m/日処理のメタン発酵施設(コージェネレーション設備付き)「フォルケセンター方式バイオガスプラント」、ならびに有機性堆肥化施設、試験圃場などで構成される付帯施設の納入実績を持ちます。また、2001年6月には同プラントの国内における独占販売権をフォルケセンターより取得しています。

今回の実証設備事業を通して、当社は普及型メタン発酵システムとエネルギーを有効利用できるコージェネレーションシステムを採用したバイオガスプラントの経済性や有用性を実証し、「フォルケセンター方式バイオガスプラント」の国内での普及を目指します。

□実証設備事業の概要
1.設置場所 :北海道上川郡清水町(宮崎牧場)
2.バイオマスの種類 :牛糞尿
3.燃料化設備の能力 :7。2t/日
4.コージェネレーション能力 :20kWh/h(ガスエンジン式)
5.事業実施内容 :バイオガスプラントの設計および機器設備の製作、据付工事、試運転、および運転データ等の採取